劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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SCREEN117 害虫

宮崎あおい、蒼井優のファンは必見だが、観客に観察力を要求する映画公式サイト

 本作は2002年に公開されたもの。
今や日本を代表する若手人気女優となっている
宮崎あおいと蒼井優が15歳の時に共演した貴重な映画です。
二人とも若い、というより幼い! 彼女達のファンであれば必見!
。。。と言えるでしょうが。。。ただこの映画、観客を選びます。
つまらないと言う人もいれば、傑作と言う人もいて、人によって評価が大きく分かれるようです。

 ともかくこの映画、説明をしない映画です。
セリフが少ないというのもありますが、
(主人公サチ子(宮崎あおい)は寡黙な少女で、なかなか感情を表に出しません。
いつもポケットに手を入れて歩く様子は、何かを秘めているようで象徴的です。)
意図的に分かりにくく場面を切り取って見せているのです。
 例えば冒頭からいきなり、女性が手首を切って自殺しようとするシーンで始まりますが、
彼女がサチ子の母親であるのが分かるのは後になってから。
しかも彼女が自殺しようとした理由は、最後まで分かりません。
分かっているのは彼女が自殺未遂を起こしたという事実だけ。

 サチ子が母親と二人暮らしの母子家庭であるのも、何か訳有りのようですが、
映画の本筋と関係ないためか、これも全く説明なし。
 途中要所要所で、字幕の文章が出てきますが、
それがサチ子とサチ子の担任だった元小学校教師とがやり取りする
手紙の文章であるのが分かるのも、しばらくたってからです。

 極めつけは、予告編にも出てくる住宅が燃えているシーン。
この映画の中で重要なエピソードなのですが、
この家が誰の家なのか判別できるのは、火災が起こるずっと前の1カットだけなのです。
(私も始め、燃えているのが×子の家とは気付かず、それを知った時は驚きました。
なぜ彼女の家が標的にされたのか、私は未だにはっきり理解できていません。
どなたか分かる人は教えて下さい。)
 ともかく、今どきの全てが腑に落ちるように構成された観客に親切な映画と違い、
観る者に注意力と考えることを要求する映画です。

 さらにこの映画、観ると気が滅入る映画に属するというのが、
人によって好き嫌いが分かれる点でもあります。
「モンスター」や「火垂るの墓」などと同じで、なすすべなく転落していく人を描いており、
最後はぷつんと断ち切られたような終わり方。
何ともやるせなく、後を引くエンディングです。

 監督は「黄泉がえり」「どろろ」の塩田明彦監督。
監督は「サチ子こそが害虫であり、ゴジラである」と言っているそうです。
シニカルで悪意を含む「害虫」という比喩をタイトルにしたのは
脚本を書いた女性、清野弥生だといいます。
周囲の男をみな惹きつけ、不幸にしていくサチ子を
女性として許せなかったんでしょうか(^_^;)。
サチ子はただ存在していただけで、意図して人をおとしめようとした訳ではないのに。
本人に悪意は無くとも社会的に有害であるから「害虫」なんでしょうけれど。

 監督はこの映画の続編の構想も語っているそうですが、
「どろろ」の続編もままならなかったのに、どうなんでしょう?
実現したらすごいことです、私は「どろろ」の続編よりも観てみたいと思います。
                    (☆☆)
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by am-bivalence | 2010-12-08 23:12 | 人間ドラマ | Comments(0)