劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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SCREEN122  誰も知らない

 大人としての覚悟を問われる 公式サイト

 10月に早稲田松竹で是枝監督特集があり、
初めて「誰も知らない」を観ました。
同時上映の最新作「奇跡」は今一つだったのですが
(そもそも"まえだまえだ"兄弟があまり好きではない(苦笑))、
「誰も知らない」はずっしりと観ごたえのある映画でした。

 実際にあった子供置き去り事件を題材に作られたこの映画、
内容は重いし、子供たちが追い込まれていく様子に、
観ていて、いたたまれなくなる映画でした。
でも目を逸らすことができません。
彼らがどうなってしまうのか、最後まではらはらさせられたからです。
出ている4人の子供達は自然でいかにも子供らしい。
柳楽君、この頃から真っ直ぐな目力あります。

 子供達を放ったらかしにして悲惨な状況に遭わせてしまう
母親のいい加減さには怒りを覚えますが、
YOU演じる母親はどこか憎めないところがあって、
こんな母親、いかにもいそうに思えてくるのが怖いところです。
キャスティングが絶妙です。
 一見、子供達に愛情を注いでいるように見える母親が、
簡単に子供を見捨ててしまうところは理解し難いかもしれませんが、
子供をペットと同じ感覚で扱っていると思えば、納得いくのではないでしょうか。
子供がちょっと不満を漏らし反抗的になると、プイと見捨ててしまうところは、
犬などを面倒になると簡単にを捨ててしまう人達に通じるように思います。
冒頭、子供をカバンの中に隠して引越して来る様子など、
ペット禁止のマンションに動物を持ち込むような感覚なんでしょうか。

 唯一の救いは兄弟のリーダー的存在である長男の明です。
いい加減な母親とは対照的に、しっかり者で道徳意識を持ち合わせています。
彼は生活に困窮しても、万引きなどの犯罪の誘惑に惑わされず、
援交で生活費を作ってくれた女子高生の友人も拒否してしまうのです。

 それにしても観ているうちに、この母親を単純に非難することが出来るのか、
私には自信がなくなってきました。
 彼女は2人目の子供を出産したとき、
男に捨てられ精神的にかなり不安定だったのではないでしょうか。
出生届を出す気になれないうちに機会を逸してしまい、
そのままずるずると生活を続け、心の痛手を癒すために男を渡り歩いて、
3人目、4人目が出来てしまい。。。
(妄想です(笑))
 面倒なことを後回しにして、そのまま放置してしまう、
まずいことは分かっていてもその状況から抜け出せない。。。
そんなことって誰でも何かしら経験ないでしょうか?
でも実はそれは、面倒だからではなくて、
行動する勇気がないのを面倒とごまかしていないでしょうか?

 YOU演じる母親は明にこう言います、
「私は幸せになっちゃいけないの?」
彼女は全く自覚していなかったのです。
自分を犠牲にしても負わなければならない責任があることを。
自分の事しか頭にない行動が、周囲に多大な負担をかけていることを。

 なぜ子供たちがこんな目に逢わなければならないのか考えるうち、
自分は大人として責任ある行動をしているのか、
自身にも問いかけさせてしまう映画なのでした。
                     (☆☆☆☆)
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Commented by mellowww at 2011-12-23 23:13
わー懐かしい!
わたしは映画館で観ました。

どうしようもないな・・・って思いながらも、
映画の中の話が、すこぶる身近に感じてコワイ思いをした、
そんな気持ちが蘇ります。

またDVD借りて観てみようかな。
今だとまた感じ方も変わってるかもしれません。
Commented by am-bivalence at 2011-12-24 09:24
mellowwwさん、いつもコメントありがとうございます。
ほんとこの映画、現実感があってある意味怖い映画ですね。
私はこれを観ていろいろ考えることがあって、
こんなことはあまりないのですが、実生活にも影響されました。
旧作ですが個人的に今年一番印象に残った映画です。
by am-bivalence | 2011-12-23 21:27 | 人間ドラマ | Comments(2)