劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

SCREEN132 ゴジラ 60周年記念デジタルリマスター版

「ゴジラ」に垣間見る戦争の影 公式サイト

 ハリウッド版「ゴジラ」公開に先立ち、オリジナルの「ゴジラ」デジタルリマスター版が公開されました。
リメイク版「ゴジラ」にこんな副産物が付いてくるなんて、
私としては新作公開よりもこちらの方がかなり嬉しい(笑)。
10代の頃にTVでしか観たことがなかった伝説的作品が映画館の大画面で観られるのですから。
しかもゴジラと因縁深い有楽町でもやっている。
なので観に行ってきました、近場でなくシャンテまで。

 映画が始まるとオープニングにあのテーマ曲が。
「ゴジラ」が甦っている!とワクワク感が高まります。
デジタルリマスターされているだけあって傷が無いのはもちろん、音声も明瞭な気がします。
 でもねえ。。。1954年公開の古典的作品、やはり時代を感じてしまいます。
子供の頃喜んで観ていた「大怪獣ガメラ」も今見直すとチープな作りにツッコミ所満載だったりするように、「ゴジラ」も今見るとオイオイと突っ込みたくなります。当時としては大人の観客も意識した怪獣映画としては高い年齢層を狙ったものだったのですが。
伝説は伝説のまま、そっとしておいたほうが良かったかも(笑)。

 面白いのは志村喬演じる山根博士。いち早くゴジラを調査しその脅威を警告して、
一見良識的科学者のように見える山根博士ですが、
ゴジラの殺害には反対し、捕獲して研究することに固執します。
あの狂暴で放射能まみれのゴジラをですよ。
 この辺り、ゴジラを倒すオキシジェンデストロイヤーを造った芹沢博士よりも
山根博士のほうにマッド・サイエンティストぶりを感じてしまいます。
逆に、意図せずして自分の生み出したオキシジェンデストロイヤーを畏怖し苦悩する芹沢に、とてもヒューマニズムを感じます。

 今「ゴジラ」を観直してみて気付かされるのは、映画の背景に見える戦争の影です。
「ゴジラ」公開は1954年、第二次大戦終結から9年しか経っていません。
 ゴジラが首都圏を襲う経路は、実はB-29の空襲経路だそうです。
ゴジラの背後で東京の街が火の海と化し、病院が野戦病院のように怪我人で溢れる様は、当時の人にはとてもリアリティを持って恐怖と不安を呼び覚ましたのではないでしょうか。ちょうど3.11以降、我々が地震や津波に対して持つように。
いや実際に戦争を経験し命を危険に曝した世代には、それ以上だったでしょう。
 芹沢博士も戦争で片目を失い顔に傷を残した設定になっています。
戦争の傷を忘れるため研究に没頭した成果がオキシジェンデストロイヤーという大量破壊兵器となってしまう悪夢。水爆という大量破壊兵器の申し子であるゴジラに対抗するには大量破壊兵器しかないという矛盾。
 芹沢が苦しみ最後にあのような行動を取るのを、子供の頃私は理解できなかったのですが、今は理解できる気がするのでした。     (☆☆)
[PR]
by am-bivalence | 2014-06-22 01:12 | SF | Comments(0)