劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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screen1 トゥモロー・ワールド

 映画の醍醐味は疑似体験であることを再認識させてくれた、
ハリウッド娯楽作とは一線を画す秀作
  公式ホームページ

 この映画をSFアクション映画と思って見た人は、
がっかりすると思います。
 だってSF映画なら必ず出てくるであろう、
未来テクノロジーのガチェットはほとんどないし、
人類に子供が生まれなくなった理由も、結局はっきり説明されずじまいですから。

 でも、この映画の価値は、SFではない点です。
近未来SFという比喩を使って、現在を写した物語なんです。

 次の世代が生まれなくなった絶望で荒廃した世界、
テロが頻発し、難民があふれ、貧富の差が拡大した世界、
民兵と軍の市街戦が始まるスラムは
現在のイラク、ソマリアといった
内戦状態の続く国家、"失敗国家"そのものです。

 クライマックス、弾丸の飛び交う市街戦を
1ショット撮影で駆け抜けていく臨場感は
圧巻です。
いつ頭を撃ち抜かれるかもわからない恐怖感を疑似体験させる迫力。
これは映画館で体験するべきでしょう。
他にも車内の場面など、撮影技術に工夫があります。
                            (☆☆☆)

  (以下ネタバレ)
 子供を取り返すため、戦場を駆け抜けた果てには、
小さな奇跡が待っていました。
激しく撃ち合っていた戦場で、新しい命を守るために、
敵味方関係なく全員が戦闘を止めるのです。
小さな命を守ろうとする崇高さと、その後もやはり殺し合いを続ける矛盾。
かけがえのない命は同じはずなのに。

 全編荒廃した世界が続き、
娯楽映画とは言えない重苦しさを湛えた映画です。
全国ロードショーより単館系で公開したほうがよかったんじゃないでしょうか。


 参照映画:「サルバドル-遥かなる日々-」 オリバーストーン監督 1986年
   中米エルサルバドルでの内戦の恐怖を 報道カメラマンの視点で追った力作。
   この頃のオリバーストーンの映画は面白かったのですが。。。

 参照書籍:「カラシニコフ」 松本仁一 朝日新聞社
   傑出した自動小銃カラシニコフを狂言回しにして、
  失敗国家と言われるアフリカ諸国での内戦の惨状を報告するドキュメント。
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by am-bivalence | 2006-12-30 02:45 | 人間ドラマ | Comments(0)