劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

screen3 クラッシュ

 見る者に差別の根源を味合わせる傑作  公式ホームページ

2006年に劇場で見たベスト映画の一つとして、
クラッシュを取り上げてみました。

 この映画が出色なのは、ほとんどの登場人物が
良い人が良い人のまま、悪い人が悪い人のままでいないことです。
映画・ドラマに限らず、物語では原則として
登場人物の善悪が決まっているものです。
現実はそんなことないわけで、
これはいわば"ドラマ文法"なんです。

 「クラッシュ」は"ドラマ文法"を破ることで、
わざと観客を混乱させます。
この混乱の原因は、「先入観」です。
善人を善人と、悪人を悪人と思い込む
観客自身の「先入観」が混乱を生むのです。
そして「先入観」は「偏見」を生み、
「偏見」が「差別」を生みます。
それがこの映画のテーマ「人種差別」になるんだと思います。

 つまりこの映画は、自分は差別などしないとか、
人種差別とは関係ないと思っている観客にも、
「人種差別」の根源となる「先入観」を
観客自身のはらわたの中からつかみ出し、
突きつけてしまうのです。
この映画、見る者が試されます。

 もう一つ、登場人物の多さもこの映画の特徴ですが、
人物同士の関係、ストーリーは混乱せずに最後まで追っていけました。
これはちょっとすごいことだと思います。
複数の主人公が登場する群像映画は、エピソードが交錯して、
途中でストーリーを追いきれないことが間々あるからです。
原案、脚本、監督のポール・ハギス、並々ならぬ技量です。
ミリオンダラー・ベビーといい、今後もちょっと注目です。

 と思っていたら、ポール・ハギス、
新作007に人間ドラマを持ち込み、成功させました。
                         (☆☆☆☆)


 参照映画:「007 カジノロワイヤル」 マーティン・キャンベル監督 2006年
   新ジェームズ・ボンドのダニエル・クレイグは
  公開前いろいろ物議をかもしていましたが、思ったほど違和感はなく、
  ポーカーフェイスの肉体派ボンドに仕上がっています。
   見終わると切なくなった、初めての007映画です。
[PR]
by am-bivalence | 2007-01-07 20:38 | 人間ドラマ | Comments(0)