劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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screen4 リトル・ミス・サンシャイン

  競争社会アメリカの価値観にチャチャを入れ、
 あきらめないことに意義を見出す
  公式ホームページ

 どうもアメリカ人には、
常にポジティブでいなければならない、
という脅迫観念があるみたいです。
 それは入社試験で前向きな姿勢を見せないと落とされるように、
いつもポジティブに見せていないと、
競争社会で落ちこぼれるという不安が
裏にあるようにも感じられます。

 何かと競争することに肯定的なアメリカは、
平等主義日本では(ネガティブに使っているつもりはありません)、
ほとんどあり得ない子供のミスコンも盛んなようです。
(関係無いですが、映画のミスコンの雰囲気は、
ジョンベネ・ラムジーのニュース映像とそっくりでした。)

 アメリカ社会の競争の激しさは、
winner/loserの格差の大きさが根本にあるようです。
というより、格差の拡大が競争をより厳しくさせるのでしょうか。
競争肯定社会は、勝者/敗者の価値観が支配していきます。

 アメリカ人自身、勝者/敗者の二元化を
ちょっとヘンじゃないかと思う人がいて、
このコメディ映画ができたようです。

 面白いのはこの一家、客観的に見れば敗者ばかりですが、
本人達は自分をそう思っていないことです。
薄々気付いてはいるようですが、それを認めようとしません。
 そう、この家族は、お父さんの「成功のための9ステップ」を胡散臭そうに思いながら、
実は9ステップ目の「負けることを拒否する」を実践しちゃってるんです。

 だから、この映画の可笑しさは負け犬の自虐的な笑いではなく、
壊れかけた車を懸命に押して走らせようとするような、
真剣さの中の可笑しさです。
 ただこの映画は笑わせるだけでなく、次にほろりとさせて、
最後は負け組家族を応援したくさせるのです。
勝ち負けにこだわらずに、がんばった自分を褒めてやれと。
 エロじじいも、最後はいい事言ってます。

 脚本が良く出来ており、エピソードの一つ一つが
意外なところでリンクしています。
                (☆☆)


参照書籍:「アメリカ病」 矢部 武 新潮新書
   ポジティブ脅迫観念以外にも、現代アメリカのヘンな部分を理解する上で
  参考になります。
   映画「スーパーサイズ・ミー」の元ネタとなった裁判も取り上げています。
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by am-bivalence | 2007-01-10 22:04 | コメディ | Comments(0)