劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

intermission3 正しい資質


 仕事で煮詰まったり、孤立感に悩まされると、
私は一時期、お酒を飲みながら「ライトスタッフ」の
クライマックスを見返していました。

「ライトスタッフ」はアメリカ最初の7人の宇宙飛行士と、
トップテストパイロットだったチャック・イェーガーの物語です。

 アメリカ初の宇宙飛行士は、大統領の一言で
テストパイロットから人選することになります。
しかしこの時チャック・イェーガーは
トップパイロットでありながらテストもされませんでした。
彼が選抜条件である大学卒でなかったからです。

 宇宙飛行士となり世界中の注目を浴びる7人と対照的に、
チャック・イェーガーは宇宙開発とは無縁に過ごします。

 映画の終盤、ヒューストンで大歓迎を受ける宇宙飛行士達とオーバーラップして、
イェーガーは独り、航空機での高度記録に挑みます。
新記録高度の手前で不調になるエンジンを動かそうとしながら、
イェーガーが目指す空の先に見たものは。。。
星空、でした。
彼が目指したものも結局、宇宙だったのでした。
それを悟ったときの虚脱感。
 映画では2カットしか出てこない星空ですが、
映画ならではの映像表現でした。

 この直後、機は失速、墜落します。
その経過は原作に詳しく記述されています。
墜落していく機体を立て直そうとあらゆる手段を尽くすイェーガーと、
彼の陥ったジレンマの詳細は、文章でしか語れない面白さがあります。
 ちなみに映画では、イェーガーの独断で飛行したように演出していますが、
実際は正規に計画されたテストプログラムでした。
 この辺り、映画の意図が判ります。

 映画は、7人の最後ゴードン・クーパーが
宇宙に飛び立つところで終わります。
この飛行でクーパーは、新宇宙飛行記録を樹立しますが、
それも一時の栄光だったとナレーションが伝えます。
 誇り高く、気骨ある男たちを描いた映画は、
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲そっくりのテーマ曲で
勇気をくれたのでした。


 参照文献:「ザ・ライト・スタッフ 七人の宇宙飛行士」 トム・ウルフ 中公文庫
   ノンフィクション作家のトム・ウルフは自分で新しい概念を造るのが好きだそうで、
  「ライト・スタッフ」は彼が考え出した造語です。
   「ライト・スタッフ」とは、ウルフがテストパイロットに共通して見い出した資質、
  瞬時に的確な判断を下す能力、適性を指すようですが、
  明確に定義されているわけではありません。
[PR]
by am-bivalence | 2007-02-01 23:07 | 人間ドラマ | Comments(0)