劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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screen16 あなたになら言える秘密のこと

 癒せない心の闇を抱える人に。。。  公式サイト

 「硫黄島からの手紙」のヒットで関連書籍がいろいろ出て、
ちょっとしたブームになっています。
私も一冊、硫黄島の激戦体験者の手記を読んでみましたが、
一つ心を動かされたのは、生き残ったことを恥じる感覚でした。
あの激戦を生き残ったことを幸運に思うのではなく、
玉砕していった仲間を思って、死ななかった自分を恥じ入りながら生きていく感情は、
そんな辛い体験をしていない人間に、安易な共感を許さない壮絶なものがあります。

 「あなたになら言える秘密のこと」、
邦題はちょっと軽く、おしゃれな感じがしますが、気軽な気持ちでこの映画を観ると、
後半語られる内容の重さにめげてしまうかもしれません。
主人公ハンナの抱える人に言えない過去は、とても深刻で凄惨な体験でした。
私はそれなりに身構えて観たつもりでしたが、
やはりその体験談には 打ちのめされる気がしました。

 イザベル・コイシェ監督は、この作品が出来たのは
あるドキュメンタリーに携わったことがきっかけだったと言います。
ハンナの語る体験は信じ難いほど非人間的仕打ちですが、
実際にあったことを元にしているのでしょう。
 この作品中で、カウンセラーのインゲ女史は、ハンナのような人を
「生きていることを恥ずかしいと感じる人たち」と言います。
幸福なことに後ろめたさを感じる人たち。
硫黄島同様、悲惨な体験をしていない人間が
安易に理解したように語るのは はばかられるようにも思えます。
 ただ、ハンナは特殊な存在ではなく、
児童虐待、拉致監禁などといったことで、
現代日本でも起こりうることではないでしょうか。
そして、誰でも多少は持つであろう心の闇で共感することはできる様な気がします。

 映画は一見ハッピーエンドで終わりますが、
ハンナの問題が解決された訳ではありません。
ハンナの心の闇は消えたわけではなく、
それを生涯引き連れながら生きていくことになるのでしょう。
 この作品には冒頭、途中、最後に、少女のモノローグが入りますが、
少女が誰であるか最後まで説明されません。
しかし少女がハンナの中のトラウマの声であるのは明らかで、
最後にモノローグが入るのも、ハンナがずっと
彼女を抱え続けていることを示しているのです。
                            (☆☆(☆))

P.S.
 カナダ出身の主演女優、サラ・ポーリーは、ちょっと面白い経歴で、
芯の強い人であることを今回、公式サイトの関連リンクで知りました。
興味があればこちらを。


参照映画:「死ぬまでにしたい10のこと」 イザベル・コイシェ監督 2003年
    イザベル・コイシェ監督(前はコヘットと表記されてましたが…)の前作。
  英題は「My life without me」。 
  死期を知ったことで、やりたいことをリストにし、一つずつ実行していく女性の話です。
   気になったのは、彼女の作ったリストに自分のしたいことや、
  子供への思いはありますが、
  見事なまでに、夫に対する気遣いが無いことでした。
  気遣うどころか、浮気してみたいなんてリストアップしているのです。
   。。。あな、怖ろしい。
  本音のところ、女性にとって旦那の存在ってそんなものなんでしょうか。
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Commented by mellowww at 2007-03-03 23:23
はじめまして!

わたしも「あなたになら〜」の最後には圧倒され、簡単に「共感」や「同情」なんて言葉も使えなくなりました。

重い内容でしたが、わたしの中には全くない情報だったので、見れて良かったと思ってます。

わたしの一番好きな映画は「死ぬまでにしたい〜」なんですが、確かにだんなさんへのしたいことないですね(笑)

尽してきたからこそ、敢えてだんなさん以外への「したいこと」をリストアップしたのでは?…ムリムリですか(苦笑)
Commented by am-bivalence at 2007-03-04 16:19
mellowwwさん、はじめまして。
コメントありがとうございます!
 「あなたになら~」はユーモラスなシーンも多いんですが、
映画全体としては淡々としていて、ハンナの体験が際立っており、
その感想に終始してしまいました。
 ハンナの故郷での出来事は、私も全く知りませんでしたが、
世界中どこでも、紛争で無政府状態になったところでは
そういった惨事が起こりがちなのが現実のようです。
 映画では回想シーンが全くなく、ハンナの告白だけなんですが、
それだけでこれほど印象に残るものはちょっとありませんでした。

 「死ぬまでにしたい~」は、観終わって凛とした気持ちになった、
心に残るいい映画でしたね。
 夫にはずっと尽くしてきたからっていうのは、思いつきませんでした。
子供達にはまだ尽くし足りなかった?
親離れしていない子供達には配慮を、大人である夫には気兼ねしないとも言えますね。
自立した大人の考えたリストってことでしょうか。
「死ぬまでにしたい~」に対する理解が少し深まったような気がします。
Commented by mellowww at 2007-03-05 01:08
こんなご丁寧にコメント頂きまして、恐縮です(^^;)

本当に丁寧な文章で、読みやすいですね~

わたしのブログに「映画について」の項目ありますので、
もしお時間があれば、わたしのつたない文章をお楽しみください。。。

迷惑でなければ、リンクさせて頂きたいのですが、
もしお嫌でしたら、おっしゃってください!!
Commented by am-bivalence at 2007-03-05 22:32
 こんな文字だけの素っ気ないブログでよければ、
是非、リンクお願いします。
(アフェリエイト無しで著作権を尊重しようとすると、
こんなスタイルになってしまいました。
個人ブログでそこまで堅苦しくすることないとは思いますけどネ)
こちらもよろしければリンクさせて下さい。
 ブログ見ました。あの「ソウ」が大好きだとは!。。。たくましい(笑)。
もし「死ぬまでにしたいリスト」を作ることがあったなら、
だんなのことも少しは入れてあげて下さいね(笑)。
Commented by mellowww at 2007-03-05 23:13
素っ気ないってお思いかもしれませんが、とっても読みやすい文で先生みたいです。
早速リンクさせて頂きます♪

「SAW」大好きなんですけど、映画館で受けた感動(いろいろな意味での衝動)がもう何年も減ることがなく、
DVDあるんですけど、怖くて見れません(笑)

でも、最近ちょっと見てみようかな・・・と思ってます。

そういえば、自分の「死ぬまでにしたいリスト」作ってみようかな、機会がれば。えっと、だんなも少しは考慮して(爆)
Commented by am-bivalence at 2007-03-06 20:30
 リンクありがとうございました。
こちらもリンクさせて頂きました。
 文章を褒めてもらったなんて、今まで無かったですね。
学生の頃は作文、感想文の類は苦手でした。
だからブログの内容はかなり推敲してますけど。。。
素直にうれしいです。 ありがとうございます。

 "先生"ですか。ちょっと偉そうなこと、書きすぎましたか(笑)。
本人はそんな立派な人間ではありませんので、ご安心?を。

 大好きだけど恐くて見れないとは、随分複雑な想いがあるんですね。
DVD、ゆっくり楽しんで下さい。
Commented by mellowww at 2007-03-06 23:56
これからもどうぞよろしくです!

「SAW」のことを書き出したらキリがないっす(笑)

大好きっていう意味は、カメラワークや話の展開なんですけど、
やっぱり怖いですからね~(苦笑)

またDVD見たら、ブログに書きます!
Commented by am-bivalence at 2007-03-08 21:40
 また気が向いたら、コメントして下さい。
いつでも歓迎です。
私も気がついたらそちらにコメント入れてますので。
by am-bivalence | 2007-03-03 22:49 | 人間ドラマ | Comments(8)