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劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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screen18 それでもボクはやってない

 身近な例で、司法の機能不全を告発する力作  公式サイト

 気になる映画が面白いのか、判断つきかねる時に、
私はネットで満足度ランキングを参考にすることがあります。
多くの人が満足していれば、それほどハズレではないだろう、という訳です。
 私が参考にするサイトは二つ、
ムービーウォーカーの「見てよかったTOP10」と、
映画生活の「満足度ランキング」、「クチコミ」情報です。
(ただ、映画生活のランキングは、ちょっと怪しげな部分があります。
単館上映作品が、数人の最高評価で上位に来たりします。
クチコミも、誰でも何でも書き込めるため、玉石混淆です。)

 ランクを見ていて、前から気になっていたのが、
「それでもボクはやってない」でした。
ここのところ、どちらのサイトでも上位にランクされ続けているんです。
これは放って置けません。
 上映期間が終わる今頃になって観に行ったんですが、
これが評判に違わず、いい作品でした。

  この映画を観ると、痴漢に間違われる事が、いかに深刻な事態を招くか判ります。
取調べで痴漢行為を否認し続けると、何ヶ月も拘留されることもあります。
留置所の処遇、人権は、刑務所と大して変わらないのが実情なので、
その間は実質、刑を受けているようなものです。
 保釈金を払って出ようとしても、その金額は百万単位です。
それでも無実を訴えて、裁判に持ち込んでも
裁判官は最初から検察側寄りで、99%が有罪になる。。。
 映画はそんなちょっと怖い、痴漢冤罪事件の実態を
丁寧に追っていきます。

 映画では、主人公の電車内での事件場面を見せません。
本当は何が起こったのか、観客にも分かりません。
それが担当女性弁護士の被告に対する当初の疑惑も
観客に違和感を持たせません。
裁判での証言の食い違いも、予断を許さない緊張あるものにさせています。

 実際に痴漢被害で苦しんでいる女性も多いでしょう。
物証のほとんどない痴漢事件に対して、推定無罪を厳格に当てはめてると
多くの事件が無罪で終わってしまいます。
勇気を持って告発した女性の行動が無駄になります。
どうも最近の痴漢裁判は、そういった事件に対する社会的批判の高まりから、
被害者の証言だけでも罰する傾向になってきたようなのです。
それが冤罪を増やすという歪を生んでいます。
 この問題、根が深いです。

 官僚的な裁判官が実質的権限を握る現状の裁判制度、
誰もが自分の職務を忠実に行ってるのに、冤罪を生み続けるシステム、
観終っても、明るい気持ちになれない映画ですが、
この実態を知っただけでも意義がありました。
                        (☆☆☆)
Commented by mellowww at 2007-03-18 00:04
おおお!
これは見たかったんですが、同時期にやっていた「愛の流刑地」を、
野次馬根性で見てしまって、そっちを見逃してしまいました。

だんなに、「これは映画館で見るもん、ちゃうでしょー」って言われてのもあって・・・。わたしは映画館で見たかった!

機会があれば、映画館で。
DVDになったら必ず見ます。

とても身近な存在で、交通事故の様な後味の悪い犯罪だと思います、
チカンって。
Commented by am-bivalence at 2007-03-18 20:53
 だんなに
 「じゃあ「愛ルケ」は映画館で見るもんか?
 レンタルでもノーカットで見れるやろー」
って突っ込めばよかったのに。(笑)
「愛ルケ」は、私も野次馬根性で観ようかと、ちょっと思いました。(笑)
ミステリー仕立てになっているようですし。

 「それボク」は裁判のハウツー物的な面を宣伝していたので
見る気が起きなかったのですが、見てよかったと思います。
 確かに、冤罪に巻き込まれそうになった時に
観ていれば役立つと思いますけどね。
Commented by mellowww at 2007-03-18 22:27
おもろい!「愛ルケ」はそう言えば良かった!(笑)
でも、見てみたら結構おもしろかったですけどね(^^;)

今裁判ネタの本を読んでいるので、最近裁判系には興味があります。
Commented by am-bivalence at 2007-03-19 23:24
 「愛ルケ」面白かったですか。
じゃあ私もレンタル出たら観てみようかな。
ちょっとドキドキしますが。(*^_^*)

 裁判に興味あるのでしたら、「それボク」は必見です。
裁判制度の実際を分かりやすく見せてくれます。
チャンスがあったらぜひ観てみて下さい。
by am-bivalence | 2007-03-17 09:04 | 人間ドラマ | Comments(4)