劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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 敵味方混濁する娯楽サスペンス佳作  公式サイト

 オランダ出身のポール・バーホーベン監督を有名にしたのは、「ロボコップ」でした。
得意のバイオレンス描写が、B級SFアクションにマッチしていただけでなく、
娯楽映画にアイデンティティ探しを盛り込んで、作品に深みを持たせました。
超人的能力を持った(持たされた)ヒーローの孤独を描いた点では、
後の「スパイダーマン」シリーズに通じるものもあります。

 その後も「トータル・リコール」、「氷の微笑」といったヒット作を造りますが、
「ショーガール」ではラジー賞を貰ってしまったりもしています。
ラジー賞では実際に授賞式で賞を受け取ってみせるという、
独特のユーモアと気骨のあるところを見せました。
(ハリウッドでは、ラジー賞を取ると本当にギャラが下がるそうです。)

 そんなポール・バーホーベン監督が、
ハリウッドから引き揚げていたのをこの映画で知り、驚きました。
監督は、ハリウッド映画の制約を疎ましく思っていたようです。
ハリウッドではSFばかり撮っていましたが、
実は、もともとSF映画は好きでなかったらしいのも一因なのでしょうか。

 さておき、バーホーベン監督オランダ復帰作は、初心に戻り、
オランダ・レジスタンスの暗部を扱ったサスペンスでした。
 得意のバイオレンス、エロティックシーンは少ないものの、
生理的嫌悪感を刺激するような描写は健在で、めりはりある効果を上げています。
ヒロインは創作ですが、出てくるエピソードは史実に基づいているそうです。
ユダヤ人迫害を扱っていても、人種問題には深入りせず、
あくまで、サスペンス娯楽作品として仕上げているのが、
バーホーベンらしいところでしょうか。

 レジスタンスの中にいる裏切り者は誰か、というのがプロットの軸になるんですが、
味方の中に敵がいるだけではありません。
ナチ側にもレジスタンスに理解を示す人物がいたり、
終戦後もナチ残党やナチ協力者が解放軍に取り入っていたり、
戦犯収容所で虐待行為が行われたりなど、
二元論的に善悪を分けていないところにリアリティを感じさせます。
 ただ、正体が明らかになった裏切り者が、
結局、悪人ぶりをみせているのは、ちょっと残念ですが。

 大戦では被害者だったユダヤ人が、中東では紛争を起こし加害者となっているのを
ラストカットが暗示しているようで、善悪混沌とした、この映画らしい終わりかたでした。
                                      (☆☆
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Commented by mellowww at 2007-04-10 00:02
これ観たかったんです。観たら、またお邪魔しやっす!
Commented by am-bivalence at 2007-04-10 21:23
またのお越しを、お待ちしております。 m( _ _ )m
by am-bivalence | 2007-04-09 22:42 | サスペンス・スリラー | Comments(2)