劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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screen25 バベル

 運が悪い方向に向かっていく緊張感で見せる"オムニバス映画"  公式サイト

 イニャリトゥ監督は前作に「21g」という哲学的タイトルを使っていましたが、
今回も哲学的意味を持たせた凝ったタイトルを冠しています。
 「バベル」というタイトルに込めた意味で、
テーマは「言語の壁」とか「相互理解」なんだろうと勝手に想像していましたが、
実際は、「言葉があっても生じるコミュニケーション不全」や
「人の愚行が生み出す誤解」だったようでした。
 映画の内容とタイトルが一致しているようで、
一致していないようなところも、前作同様です。

 「21g」では、1シーンごとに時制が違うのじゃないかと思うほど、
これでもかと、時系列をいじっていたイニャリトゥ監督、
(まあ、それでも観ていてストーリーが解るのは、すごいのかも知れませんが。)
素直に時系列でプロットを見せない手法は、本作でも控えめながら健在です。

 ただ、前作では心臓移植を通して、
無縁だった3人がめぐり合うことになりますが、
「バベル」では4組のエピソードが互いに密接に関連しあう訳でもなく、
ほとんど独立した物語となってしまっているのが残念です。
「アメリカ人観光客狙撃事件」を軸にした、
単なるオムニバス映画といった印象で終わっています。

 映画宣伝では現代世界情勢を考えているような、
社会派映画のように印象付けていますが、
描かれる問題は、ほとんど個人のレベルに止まっている様に見えます。
強いて言えば、社会派的なのはメキシコ人の不法就労問題ぐらいでしょう。
これを観て「世界はまだ変えられる」のか、と想いを巡らすには、
ちょっと無理があるような気がします。

イニャリトゥ監督の作品は一回観ただけでは、
なかなか理解できそうにない、含みを持った複雑な部分があるのですが、
かといって、何度も観直したくなるかというと、微妙です。
もう一度観直す機会があれば、印象が変わるのかも知れません。

(以下、ネタバレ)
 登場人物達が自分の枠を捨てて、理解し合えるのは
「生命の危機」を感じたからのようです。
 アメリカ人夫婦は妻の死を予感して、
心が離れてしまう元になった子供の死に対する思いを語り合います。
モロッコの少年は兄の命のために自分の過ちを認め、警察に投降し、
メキシコ人の乳母は砂漠から脱出するために、
自分が逮捕されることもかえりみず懸命になります。
 「生命の危機」に直面しなかった日本人親子の関係は
結局何も変化していないように見えます。
 人は命がけでなければ、解り合えないものなのでしょうか。
                            (☆☆)
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Commented by mellowww at 2007-05-07 00:46
おかえりなさーい☆
GWは映画は一切観ず、欲望のままお金を使っていました(あほです)
「バベル」はもちろん観ますが、「21g」の監督さんなんですね。
「21g」結構好きなんですよ。じんわりくるストーリーでしたね、あれは。
映画を観た帰り道、全く意味がわからなかったとぼやくだんなの横で、
彼の問いに返事もせず、いろいろと考えていたのを思い出します。

ますます「バベル」が気になってきた。
Commented by am-bivalence at 2007-05-07 23:33
 GWは楽しめたようですね。私はのんびり過ごせました。
 「21g」観てたんですか。
筋を追うのも苦労しますが(笑)、玄人好みの
あの映画がお好きだとは、お目が高い。
 「21g」、GW前にTVで深夜放映していたので、
ビデオ録ろうとしたんですけど、
チャンネルを1つ間違えて、2時間砂の嵐が映っていました(*_;)。
。。。そのうちレンタルします。

 「バベル」は、出来が悪いわけではないんですが、
大仰(?)なタイトルもあって、期待し過ぎました。
「21g」がお好きなら、「バベル」も楽しめるかもしれません。
 私はイニャリトゥ監督の長編第一作「アモーレス・ペロス」が
ちょうど近所で限定上映しているので、観に行こうかと思っています。
by am-bivalence | 2007-05-06 22:11 | 人間ドラマ | Comments(2)