劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

screen29 転校生  さよなら あなた

 不思議さんが闊歩する、大林ワールドがお好きな方はどうぞ  公式サイト

 私は仕事の関係で一時期、広島に住んでいたことがあります。
広島に引っ越して最初に行ったのが平和祈念公園、次に宮島、
その次に行ったのが尾道でした。
 大林宣彦映画のロケ地を見て回るのと、尾道ラーメンを食べるためでした。

 「転校生」が公開されてから、もう25年も経つんですか。
確か小林聡美の映画デビュー作で、その熱演が評判になりました。

 「転校生」は少年と少女の心がひょんな拍子で
入れ換わってしまうという、お話です。
誰でも思いつきそうな安直な設定ながら、
実際に体が入れ換わったら起こるだろうドタバタを(下ネタ含め)、
丁寧に描いて見せました。
入れ替わったことで互いの違いに気付き、相手を思いやれるようになれる、
そんな、ちょっと成長の物語でもありました。
大林監督想い入れの、レトロな尾道の町並みが映画に情緒を与えていました。
足の悪い学級委員長の浴衣姿を見送るショットで
少女への淡い憧憬を感じさせたのは、大林監督の真骨頂でした。
当時、元気の無かった邦画の中で、数少ない秀作でした。

 「転校生」の成功でその後、大林監督は尾道を舞台に映画を撮り続けますが、
後作はどれもファンタジック過ぎて、「転校生」がリリカルとリアルのバランスが
一番良かったように思います。
(ただ私が良かったと感じた部分の半分は、原作に負うところが大きいようですが。)


 「転校生」を大林監督が再映画化するという話を聞いて、
旧作のファンとしてはうれしくもありましたが、
なぜ、今になって自分でリメイク? というのが正直な感想でした。
しかも尾道を離れて長野を舞台にするというのは、
どんな心境の変化でしょう?

 謎はパンフレットの監督自身の序文を読んで解けました。
進めていた企画が頓挫して、急遽引っ張り出したのが
旧作のリメイクというわけですか。
"長野を舞台に映画を"と頼まれたから、ですか。
頼まれたら断れないんですね、大林監督。
でも、長野を舞台にしながら、"やっぱり尾道がいい"というのが透けて見えちゃいます。
 それに、"「転校生」のような映画を"と言われて、
「転校生」を撮っちゃうのは、まんまじゃないですか?

 ただし、そこは百戦錬磨の大林監督、単なるリメイクにはしていませんでした。
映画は後半、旧作とは違う展開を見せ、明るいエンディングだった旧作とは
ある意味、正反対の終わり方をします。
 しかしこの展開、入れ換わるという設定なら、ありえる可能性だし、
考え方によってはとても深いテーマになるのですが、
そんな掘り下げ方はほとんど無いまま、映画は終わってしまいます。
だいいちこの展開では、元に戻ったとしても心から喜べないじゃないでしょうか。
 そこに深いテーマがあると思うんですが。。。

 タランティーノ(失礼!)のような映画マニアの監督が商業的拘束(ヒットさせること)
の圧力下で(観客を意識しながら)撮った映画は、しばしば傑作が生まれますが、
そんな監督がひとたび、拘束を離れて好きに撮ってしまうと、
(マニアック過ぎて)凡打に終わってしまうことがままある、
と言う評を読んだことがあります。
大林映画には、時々そんな雰囲気を感じます。
 この映画には、恋人の一美にキェルゲゴールを読ませようとする
エキセントリックな彼氏や、ヒロシ演じる妙なセリフ回しのバカ息子など、
いろいろ「不思議さん」が出てきます。
ヒロイン一美自身も物語世界に入り込んでしまう、「不思議さん」という設定です。
現実を超えた、そんな大林ワールドがお好きなら、この映画は楽しめるかもしれません。
                                             (☆)
[PR]
Commented by mellowww at 2007-07-08 23:47
「転校生」は昔、テレビかな、見たことがあります。
子供ながらにすごいファンタジーで、こんなこと起こったら、
絶対やだなって気持ち悪いって思ってました(笑)

ご本人がリメイクしてたんですね。
わたしはてっきり若手の監督が、大林さんを尊敬してし過ぎて、
リメイクに至ったと勝手に思ってました。
映画では観たいとは全く思ってませんでしたが、
前作をもう一度きちんと観てみたいな、と思いました。
Commented by am-bivalence at 2007-07-09 21:05
 「転校生」を観た感想が気持ち悪いっていうのは
初めて聞きました(笑)。
確かに、同級生の悪ガキたちがやることは
下品なことが多いですが(笑)。
映画って人によって受け取り方が全く違うことがあって、
面白いです。

 尾道に初めて行ったのは2003年の暮だったんですが、
アーケード街含め、映画の風景とほとんど印象が
変わっていないのが驚きでした。
田舎は良いですね~。(^_^)

 それと、毎回コメントありがとうございます。
一人でもこのブログを面白がってくれる人がいると思うと、
励みになりますネ。
Commented by mellowww at 2007-07-10 22:55
わたしの感想が特殊なんですかね・・・(汗)
尾道ってよく聞きますし、旅行のパンフにもあるので、
気にはなってました。

コメントについてですが、そんな御礼を言われるとは!!
びっくりです(笑)
前から言っていますが、amさんの文章は教科書みたいなんですよ。やさしい感じ。
忙しい時はムリして更新されなくても構わないので、
やめないで続けてくださいね☆

こんなおちゃらけたわたしも、ブログ続けます♪
Commented by am-bivalence at 2007-07-11 22:58
 大林監督は苦笑するかもしれませんが、
女性だったらそんなに特殊な感想じゃないかも。(^^;
赤の他人の男にからだ取られちゃうんですから。
 尾道は小さな町で、半日もあれば廻れてしまいます。
古い町並みに迷路みたいな路地がいい感じでした。
ノラ猫が多いです。
機会があれば立ち寄ってみて下さい。
 
 教科書と言われると。。。なんかぴんとこないなあ。
私もたまには「何じゃ~!このつまらん映画は!」と、
井筒監督みたいに書き捨てたいことがありますけど(笑)。
でもそれじゃあ、"愛情"がないでしょう?(*^_^*)

 あっ、映画じゃありませんが、「books A to Z」という
本の紹介をしているFMヨコハマのポッドキャスト番組があって、
北村浩子さんというアナウンサーの本の紹介のしかたが素晴らしく、
とても参考になります。

 http://www.fmyokohama.co.jp/onair/program/steps/books/

mellowwwさん読書好きのようなので、ipodお持ちでしたら一聴をお勧めします。
Commented by mellowww at 2007-07-14 00:28
ノラネコが多いとは!それは行かないと(笑)

教科書に対する気持ちを説明してなかったですね。
わたし、教科書ってスキなんです。
真実を冷静に、やさしく教えてくれるというか。
ほっとするのです。
あ、勉強はキライです(笑)

教えて頂いたサイト、すごいですね!!!
この連休にゆっくり見てみます☆
実はわたしは読書好きではなくて、波があるんですよ。
何年間に1回(苦笑)今、その波に乗ってます。
一番大きい波かも・・・。

残念ながらipod持ってないので・・・あ!
なんとauでも聴けると!!!!チャレンジ。

Commented by am-bivalence at 2007-07-14 21:12
 教科書的とはそういうことですか。
このブログにそんなことを感じていただけるとは、恐れ入ります。(^^;
たまに自分の文章を読み直すと、文の拙さに削除したくなることがあります。
そうもいかないので、あまり見ないようにするか、
こっそり手直ししてたりして。(^^;;;

 「books A to Z」はネタバレなしでその本の面白さを
解りやすく紹介していて、
うまいなあ、といつも感心して聴いてます。
私の教科書の一つですね。
時々でも本選びの参考にどうぞ。
 ipodがなければPCにiTunesをインストールしてポッドキャスト番組をダウンロード、PCで聴く手もありますよ。
by am-bivalence | 2007-07-06 23:19 | ファンタジー | Comments(6)