劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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screen34 夕凪の街 桜の国

 前半「夕凪の街」は佳作だが、後半「桜の国」は消化不良  公式サイト

 映画は前半「夕凪の街」と、後半「桜の国」の2部構成。
「夕凪の街」は原爆投下後、13年経った広島を舞台に
"原爆スラム"と呼ばれるバラック街で慎ましく生きる女性、
皆実が主人公です。
 夕方の土手を、靴を脱いで裸足で歩く姿が心地良さそうですが、
それも実は靴をすり減らさないためだったりします。
映画はクラシックとも見えるオーソドックスな演出で、
淡々と皆実の日々を追っていきます。

 この物語は彼女が受けた原爆症よりも、
被爆体験によるトラウマに焦点をあてています。
今でこそPTSDは知られていますが、当時はそんな
メンタルな問題は認識されていなかったでしょう。
原爆症以上に理解され難い苦しみを、皆実はずっと内に秘めています。

 皆実が苦しまされるのは、自分が生き残っている事への負い目で、
"誰かに死んで欲しいと思われたのに生きてる"
という言葉が胸につまります。
 皆実親子の銭湯での場面、銭湯にいる人たちの多くが
ケロイドを持っているのをまのあたりにして、
"不自然に、誰もあのことを触れない"
というのが、被爆者の心の傷の深さを思わせます。

 後半の「桜の国」は現在を舞台に、皆実の姪である七波が主人公。
いつも元気な七波ですが、彼女も人に言えない心の傷を持っていたことが、
物語が進むにつれ明らかになってきます。
その傷は結局、母やお祖母さんの被爆による傷が遠因になっているのですが、
そのことが、原爆という大罪が現在にも影を落とし続けていることを教えてくれます。

 ただ、「桜の国」の部分は物語が消化不良ぎみのような気がします。
被爆2世の問題を扱うことがデリケートだったのか、
物語は七波が父親を尾行して広島に行き、
図らずも自分のルーツを見つめ直すことがメインで、
七波のもつ傷や、被爆2世の問題は軽く触れているだけのように見えます。
 最後の父親の回想シーンで、七波が若い頃の両親を見つめる演出も、
なぜ聞いてもいない親達の物語を七波が知るのか説明がなく、
中途半端です。
 前半、こころを揺さぶられただけに、現代部分の物足りなさが残念です。
                                   (☆☆
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Commented by mellowww at 2007-08-22 22:31
前半の「被爆したみたい」発言は、本当に軽い気持ちで言ったと思うんですが、
広島や長崎の方が聞いたら、それは言葉の攻撃になりかねませんよね。。。

広島へ行った際、原爆ドームを見てきましたが、
キレイごとではなく、その場所だけがとても思い空気で冷たく、
非常に恐ろしい出来事があったんだな・・・と思い知らされました。

戦争というワードは、わたしは知らず知らずのうちに避けて通っていて、
どうも直視できません。なぜなんでしょう。。。

この映画も存在は知っていますし、観た方もいらっしゃって、
悪い映画ではないことは知っていますが、
わたしは観ません。観れません。

こんな個人的なおかしな意見をぶつけてしまってすみません。。。
Commented by am-bivalence at 2007-08-23 22:11
 冒頭の話は書くべきものではなかったようです。
反省。。。

 原爆の跡は原爆ドームだけでなく、
市内あちこちに点在しています。
中には爆心地近くにありながら倒壊ぜず、
いまだに使われていて、観光客も出入りしている建物もあります。
やっぱり広島の人にとって原爆の事実は、
普段は意識しないものの、身近なような気がします。

 映画を観た後で原作の漫画を読んでみたんですが、
面白いことに、原作者自身mellowwwさんと同じようなことを、
あとがきで語っています。
原作者は広島出身ではありますが、被爆とは関連がなく、
「原爆」に関するものをずっと避けてきたそうです。
原作者が原爆に関するものを書くきっかけは、
編集者に言われてですが、なぜ書く気になったかは、
興味がありましたら実際に読んでみて下さい。(^^)

 私が戦争について興味を持つのは、
いつか同じ間違いをしないように知っておきたいから、ですかね。
by am-bivalence | 2007-08-22 00:36 | 人間ドラマ | Comments(2)