劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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screen39 ボルベール(帰郷)

 古き良きイタリア映画へのオマージュ  公式サイト

 この映画、死んだはずの母親が生きていた秘密とは。。。という
ミステリー仕立てのプロットが気になって観てみたんですが、ちょっと期待外れでした。
 母親やその娘ライムンダの抱える秘密が途中でほぼ予想できてしまうので、
ミステリーとして観るには意外性がありません。

 映画の最初、ライムンダの娘が父親をはずみで殺してしまいます。
ライムンダは夫の死体を密かに処分しようとするので、
ドラマはサスペンスに向かうのかと思いきや、
後半は死んだはずの母親のことがドラマの中心になり、
夫の死体はどうでもよくなってしまいます。

 夫の死体を閉鎖したレストランの冷蔵庫に隠したことから、
ひょんな拍子で死体を冷蔵庫に入れたまま、
勝手にレストランを営業することになるシュチュエーション。
 ヒッチコックが好みそうなブラックコメディタッチなんですが、
いかんせん、ペネロペにコメディアンヌの才が無いので、これも中途半端。

 そう、この映画、ドラマがあちこっちにふらついて、中途半端な感じがするのです。
ラストの母とライムンダの和解も、感動するには盛り上がりに欠けます。


 良かったのは、ライムンダを筆頭にした女性達の逞しさ、したたかさでしょうか。
監督が「女性」というジャンルの映画が撮りたかったと言っているように、
主要登場人物はほとんど女性ばかりです。
 かといって、宮崎アニメのヒロインのように、女性を神格化している訳でもありません。
部屋に隠れている母親の気配を、ライムンダは母のオナラの臭いで気付いたりするのです。

 生活力旺盛なライムンダは、閉鎖しているレストランを
無断で営業してお金を稼ぐ機会を逃しません。
 ストーリーに絡んでくる主な男性は、ライムンダの父と夫の二人だけですが、
この二人がどうしようもない男で、女達の逞しさと対照的です。

 この生活に追われながらも逞しい生命力を見せるラテン系女達は、
まるで昔のイタリア映画を観ているようです。
 昔、タモリがイタリア大使館でやって見せてバカウケしたというイタリア映画のイメージ、
朝遅く起きてきたぐうたら息子に、スープをかき混ぜながら口うるさく小言を言う、
肝っ玉かあさんのイメージを連想させるのです。
 レストランを開くのに足りない材料を、近所の知り合いに頼んで譲ってもらうといった、
近隣や親類の結び付きが強いのも 現代では失われてしまったもので、
昔の映画を観るようです。

 監督はペネロペ・クルスに、ソフィア・ローレンなどの往年のイタリア名女優を
参考にするよう、言っていたそうです。
 そんな女性像を現代に描き直した、
これは監督のイタリア映画へのオマージュなんでしょうか。

 女性たちは、ただ逞しいだけではありません。
ライムンダが死んだダメ夫を埋めた場所は、
実は生前、夫が好きだった場所だったことが後で判ります。
ちらりと見せる、そんな女の度量の広さに、はっとさせられます。


 故郷の村への行き帰りに、風力発電機の風車が立ち並ぶ風景が度々出てきます。
なんでだろうと思っていたら、故郷の村というのはラ・マンチャ、
風車に立ち向かったドン・キホーテの出身地でした。
                          (☆☆)
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Commented by mellowww at 2007-10-10 20:11
お、これは監督がどうしてもペネロペに!って話題になった作品ですね。
ペネロペの衣装が結構気になってました。

amさん、いろいろ観ますね~
こういうのはなんとなく観ないのかな、って勝手に思ってました(笑)

Commented by am-bivalence at 2007-10-11 23:18
 さすが、この映画ご存知でしたか。
ペネロペの衣装、黒地に大きな花柄が華やかで印象的でした。
 ヒロイン達のバイタリティで元気を貰えるじゃないかと思って
観たはずなんですが、ちょっと予想と違ったようです。
悪い映画じゃないんですが。。。
見終わって、何でこの映画見たんだろ~と、しばらく考えてました。
 アホです。

 体調大丈夫ですか。急に暑さが去って風邪を引く人が多いみたいです。
無理せず、お大事に。
by am-bivalence | 2007-10-05 21:27 | 人間ドラマ | Comments(2)