劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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screen59 君のためなら千回でも

「美しい友情物語」とは言えない、後味の悪さ 公式サイト

 この映画の原題は「The Kite Runner」。
主人公アミールの誠実な「友人」だったハッサンが、
アフガニスタンでの伝統的遊び、凧合戦で、
糸を切られて飛んでいく凧を追いかける名人だったことから付けられています。
 邦題の「君のためなら千回でも」はハッサンのセリフから引用しており、
原作の邦題も当初「カイト・ランナー」だったのが、映画公開にあわせ改題されたそうです。
 この邦題、映画を「美しい友情物語」と思わせるために付けられたようですが、
私には美しい物語のようには見えませんでした。

 確かに「友人」のハッサンは主人公に対し、
あくまで忠実であり、立派な少年です。
それに対して主人公アミールは自分勝手で、
彼の行動が理解できず、感情移入できなかったのです。

 アミールとハッサンは主人の息子と使用人の息子という関係。
ハッサン自身は否定しているものの、
ハッサンはアミールに召使のように従っていて、
大前提として、二人の間には主従関係が見え隠れします。
純粋な友人というより、主人と従者の信頼関係のように思えてしまうのです。

(以下、ネタバレ)

 ひどいのはアミールのハッサンに対する仕打ちで、
新年のお祝いで街を挙げての凧合戦の日、
ハッサンがアミールの命令を忠実に守ろうとして、
街角でいじめっ子にひどい暴力を受けてしまいます。
それをアミールは見て見ぬ振りをしてしまうのですが、
それだけなら勇気が無かったというだけで、
まだ同情の余地があります。
 しかし、アミールはその後ハッサンを、
あろうことか、いじめっ子に無抵抗だった弱いやつと軽蔑し、
嘘をついて親子共々家から追い出してしまうのです。
このアミールの心理は、私には理解できません。

 その後、内戦下のアフガンでハッサンが死んだことを知り、
生き残ったハッサンの息子を救出しようとするアミールの行動も、
ハッサンに対する"つぐない"から出た行動のようには思えないのです。
 なぜならアミールは父の友人から、ハッサンが自分と腹違いの兄弟で、
ハッサンの息子は主人公の甥に当たることを聞かされ、
やっと救出に行く決心をするからです。
 血縁でなければ、助けに行かなかったのか?
とつっこみたくなるところです。
それは命懸けで行くのですから、
「友情」だけではそこまで出来ないでしょうけど。。。

 ハッサンの息子はタリバンの虐待でひどいPTSDを負ってアメリカに来ます。
アミールがつぐないをするとしたら、これからでしょう。
                          (☆☆)
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by am-bivalence | 2008-04-04 00:30 | 人間ドラマ | Comments(0)