劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

screen66 隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS

 黒澤監督、期待を裏切り御免! 公式サイト

 「映画生活」などのクチコミを見ていると、
この映画は賛否両論で、どちらかと言うと否が多いようです(^^;。
 面白いのは、評判より良かったと思う人は
オリジナルの黒澤作品を観ていない人が多く、
ひどいと言っている人は、オリジナルを観ていて、
黒澤版を評価している人が多いことです。
 私はオリジナルの黒澤作品を観て傑作娯楽映画と思っている一人ですが、
なぜこんなに評価が分かれるのか、実際に観てみて、なんとなく分かりました。
 オリジナルを知らないで、このリメイク版をそこそこ楽しめると思った人、
あなたが面白いと思ったところはたぶんオリジナルの残った部分です。

 「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」は、
中途半端に雪姫が悩み、シリアスにしようとした分、
オリジナルの黒澤版が持っていた、娯楽時代劇の爽快さを失いました。
戦国時代に現代の民主主義的価値観を持ち込まれても。。。ねえ。
 「ローレライ」といい、樋口監督は時代考証をあまり重視しないようです。

 換骨奪胎で、オリジナルを改悪している部分は、
関所を突破する部分にも現れています。
六郎太の機転で切り抜けるところを、リメイク版は
男色趣味を絡めた、後味の悪いエピソードを追加しています。
 キャラクターの変更にも疑問が残ります。
ジョージ・ルーカスがレイア姫のモデルにした気の強い姫、雪姫は、
リメイク版では後半以降、信念と気丈さを失って、
つい彼氏に頼ってしまう、アニメおたく好みのような女の子に変わってしまいます。

 黒澤作品のリメイクというと「椿三十郎」が記憶に新しいですが、
リメイクに対する両者のアプローチは全く逆で、好対照です。
「椿三十郎」がオリジナルを忠実にトレースしたのに対し、
「隠し砦…」は大幅に改編し、現代的なアレンジに挑戦しています。
チャレンジングなのは買いますが、
どちらが良かったかは、映画が示していると思います。
「隠し砦…」は図らずも、森田監督のやり方が保守的ながら
正しかったことを証明してしまいました。
 黒澤明、橋本忍といった、かつての名匠達が作り上げた傑作を、
凡百の人間が寄ってたかって作り直しても、
良いものには成り得ないということでしょうか。

 樋口監督、最高に面白い映画を創ろうという気概がおありなら、
リメイクや原作に頼らずに、オリジナルに挑戦したらいかがでしょうか。
                               (☆)
[PR]
by am-bivalence | 2008-05-31 10:07 | 時代劇 | Comments(0)