劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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screen67 ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

 目的のためにはプライドも捨てる男の執念と孤独  公式サイト

 昔、「ダラス」ってアメリカTVドラマがありました。
テキサスの石油王一家内での愛憎劇なんですが、
一家の中心となる男、JRのワルぶりが売りでした。
と言いながら、私はほとんど観たことなかったんですけど。。。(^^;
石油業界では、JRのような強引な男はさほど珍しくないようです。

 石油採掘は利権と巨額の資金が動く、生き馬の目を抜くビジネス。
かなりアクの強いツワモノ達がひしめいているらしいです。
そういえば、「アルマゲドン」で彗星を破壊しに行く男達も石油掘削業の荒くれでした。
 だから、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」の主人公ダニエル・ブレインヴューが
強欲ぶりが喧伝されても、それほど意外性はありませんでした。
ましてブレインヴューは、石油の前に金を掘っていた正真正銘の山師であり、
成功への執念が人一倍強くても不思議ではありません。

 しかし宣伝ではダニエル・ブレインヴューが欲にかられて
人間性が変わっていくような印象を受けますが、
実際に映画を観ると、私にはブレインヴューが自分を見失っていくような
物語には見えませんでした。

 確かにブレインヴューは強引で、時に気性の荒さを見せます。
目的のためにはプライドさえ捨てる執念を持っています。
でも彼のスタンスは最初から一貫していて変わることがなく、
意外にもマトモな人間に見えるのです。
特にダニエル・デイ=ルイスが演じると、飄々としたキャラクターが付加して、
とんでもないことをしても、どこか憎めない男のように感じてしまいます。
(私は彼を見て、無責任男の植木等を連想してしまいました。)

 それに、掘削中の事故で耳が聞こえなくなった息子を、
ブレインヴューが冷酷に見捨てるように言われていますが、
劇中、最初に裏切ったのは息子の方です。
気性の激しいブレインヴューにしてみれば、
精神的に錯乱していたとしても、愛する身内の背信行為が
許せなかったのは当然でしょう。
 これは腹違いの弟を名乗る男に対しても同様で、
裏切られたと判れば、彼は言った通りの報復をしたのです。

 ブレインヴューは自分の欲望にとり付かれ、他人を全く信じなくなった男ではなく、
むしろ、信頼できる身内を欲して裏切られた、孤独な男に見えてくるのです。
その孤独は「ジャイアンツ」の石油成金、ジェット・リンクにも共通したものでした。
                               (☆☆)
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by am-bivalence | 2008-06-06 21:53 | 人間ドラマ | Comments(0)