劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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screen70 ヒトラーの贋札

 重い史実にフィクションを加えエンターテイメントにしたサスペンス 公式サイト

 (以下、ネタバレ)
 この映画はエンドタイトルの最後で原作者について触れています。
事前になにも情報を持たずに観ていたので、
その名前を見てちょっと驚きました。
原作者が映画の主人公で好意的に描かれていたサリーでなく、
収容所でトラブルメーカーになっていたブルガーだったからです。

 この映画は、実際に収容所で贋札造りに加担させられた
ブルガーの体験記を基にしていますが、
いろいろ映画的にフィクションを加えているようです。
原作を読んでいないので、詳しくは分かりませんが、
映画プログラムにブルガーのインタビューが載っていて、
その中でフィクションの部分について触れられています。
 インタビューを読むと、映画は基本的に史実ですが、
収容所内のエピソードの幾つかはフィクションであるのがわかります。
 実際のブルガーは映画で描かれたように
あからさまに抵抗したわけではないそうで、
そんなことをしたら、すぐ殺されていたと語っています。
 この辺りに、映画の意図が伺えます。
自分達が生き延びる事と、贋札によってナチに協力することの
ジレンマを強調したかったのでしょうが、
実際の収容所生活は、偽造がナチへの協力になることが分かっていても、
生き残ることに懸命で、悩む余地はなかったのでしょう。

 また、収容所を解放したのはアメリカ軍だったそうで、
ドイツの敗戦にまぎれてユダヤ人収容者が蜂起するのもフィクションのようです。
自分達がユダヤ人である証拠に識別番号の刺青を示すのも
うまい演出、ということでしょう。
 ナチ支配下では非協力的なブルガーが
仲間を危険に曝していると非難されていたのに、
開放後はナチに抵抗した勇士として祭り上げられるのも、
戦後の混乱や人間の変わり身をよく現しているように思います。
 史実にフィクションをブレンドして、サスペンスフルな映画として観せてくれました。
                                  (☆☆☆)
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by am-bivalence | 2008-06-21 17:39 | 人間ドラマ | Comments(0)