劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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screen76,78 西の魔女が死んだ/百万円と苦虫女

screen76 西の魔女が死んだ  公式サイト

 盲導犬の育成にパピーウォーカーという制度があります。
生後2ヶ月の子犬を里親に預け、1才になるまで育ててもらう制度です。
この間は基本的な生活ルールを躾けるだけで、特殊な訓練をすることはありません。
可愛がられることが大切なのだそうです。
愛情を一杯受けて育つことが、人間に対する根本的信頼感を生み、
優秀な盲導犬になるといいます。

 人間も同じではないでしょうか。
厳しく躾けられることも時には必要ですが、
幼い頃に自分をそのまま肯定してくれ、愛情を与えてもらった体験があれば、
人に対する信頼感を奥底のところに持ち続けているように思うのです。
でも親には 社会に適応できるよう躾をする義務があるので、
無制限に愛情を与えることは出来ません。
それが出来る存在が、おじいさん、おばあさんではないでしょうか。

 「西の魔女が死んだ」の西の魔女:おばあちゃんは、
登校拒否になったまいを全面的に受け入れてくれます。
おばあちゃんは
 「まいのような子供が生まれてきてくれて、私は本当に嬉しい」
と、まいをあるがままに肯定してくれ、だめな子扱いすることは一度もありません。
母親がまいを「扱いづらい子」と、ネガティブに接してしまうのと対照的です。

 おばあちゃんが"魔女修行"として教えてくれたこと、
  *日常の雑事を面倒と思わずにこなす、
  *規則正しい生活をする、
  *よく体を動かす
といったことは、「脳が冴える15の習慣」によると、
脳科学的にも頭の働きを保つのに良いらしいです。
  *何でも自分で決める
というのも、ボケ防止などには大切らしいです。
まいの弱った心にもいい効果を与えたんでしょう。

 正直に言ってしまうとこの作品、映画としては凡庸です。
"予算をかけたTVドラマ"といった印象を拭えません。
 それでも映画を観たあと、自身を振り返って、
日々の雑用を億劫がらずに、怠惰な生活を改めねばと、
反省させられたのでした。
                   (☆☆☆)

(「おばあちゃんの家」のロケセットが09年年明けまで、ロケ地清里で公開されています。
劇中ラストで大きな意味を持つガラスに残されたメッセージも展示されています。
 映画を気に入った人、原作ファンは訪ねて見てはいかがでしょうか。)


screen78 百万円と苦虫女  公式サイト

 この映画、タイトルや予告編で「転々」や「めがね」のような
ゆるいコメディかほのぼのした癒し系映画と思って観ると、
肩透かしを喰らいます。
映画前半、コメディタッチの描写もありますが、
たなだゆき監督の描く世界観は、結構スパイシーで、
醒めた視点だからです。

 例えば、主人公鈴子がひょんなことから前科者になってしまう経緯は、
いい加減な友人のせいで面識もない男とルームメイトになってしまい、
つまらぬイザコザから突然、男に訴えられるというものです。
理不尽な仕打ちです。
 鈴子の弟も学校でいじめにあっていて、
ただじっと耐え続けるのですが、ついに反撃すると、
暴力沙汰を起こしたと大問題にされます。
これまた理不尽な仕打ちです。

 そんな不条理な世界に対する鈴子と弟の姿勢は対照的です。
弟はいじめに耐えながら共存しようとし、
主人公は人間関係が込み入ってくると、ひたすら逃避しようとします。
それでも二人とも世界から受ける仕打ちは理不尽なのです。

 劇中の
「自分探しじゃない、自分はここにいるから」
「親しい人には本当のことを話しちゃいけないと思ってた」
というような台詞も、醒めた視点の中にハッとさせられるものがあります。
 最後は、鈴子が生き方を少し変えていこうと希望を持たせるような展開ですが、
ラストの決着の付け方は、"現実はドラマのようにはいかないんだよ"と言っているようで、
やはり監督の浮かれていない醒めた見方を感じてしまうのでした。
                    (☆☆)
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by am-bivalence | 2008-08-20 00:00 | 人間ドラマ | Comments(0)