劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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screen96 ブラインドネス

 人間はそこまで醜くないと信じたいが。。。  公式サイト

 日本人俳優二人の出演でも注目された「ブラインドネス」、
宣伝文句で"心理パニックサスペンス"と謳ってしまったので、
世界的に広がった新種の伝染病が引き起こすパニック映画と誤解してしまう人が多いようです。
 この映画では、人々が失明してしまう伝染病の正体は最後まで分かりませんし、
主人公がなぜ、ただ一人失明せずにいられるのかも全く説明されません。
 結局これは、極限状態で現れる人間の本性を見せる寓話なのですが、
ここで描かれる人間性がとても浅ましく、観ていて息詰まってしまうのです。

 隔離された失明者は人数の少ないうちはまだ秩序を保っていられましたが、
人が増えて収容所内の衛生状態が最悪になり、スラムのようになってしまったとき、
銃を手にして王を名乗る男が全てを支配しようとします。
 男が最初、盲人には全く価値の無い貴金属を徴収するのには笑ってしまいますが、
次に女性を要求しだした時の男達の反応は、なんともやり切れません。
貧困に窮してしまうと、そういう人間性も現れるのかもしれませんが。。。

 「シティ・オブ・ゴッド」で人殺しをなんとも思わないスラム・ギャングを描き、
「ナイロビの蜂」でアフリカの貧困を目の当たりにしたメイレレス監督には、
そのような人間性が身に染みてリアルと感じるのでしょう。
 でも人間は、もう少し賢明だという気がするのです。
無秩序状態からお互い納得できる秩序を作り出し、
尊厳のために命を賭けても抵抗するといった、理性的で高潔な部分です。
 ただアメリカのような先進国でさえ、
テロとの戦いと称して、石油利権を求めてイラクを侵攻したように、
私利のために力を行使していることを考えると、
人間の理性を信じようとするのも、空しくなることがあるのですが。。。

 ラストは主人公一人が不安を抱えながらも、希望が見える終わり方ですが、
重苦しい思いばかり残ってしまった映画でした。
                     (☆☆)
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by am-bivalence | 2008-12-05 23:59 | 人間ドラマ | Comments(0)