年末大掃除2 screen86-88,90,91
2008年 12月 18日
screen86 母べえ (公式サイト無し)
よく"空気を読め"って、時々聞きますけど、
それって、言ってみれば周りに歩調を合わせろってことで、
ファッショな臭いを感じるのは私だけでしょうか。
ブログの炎上現象や、以前あったイラクで拉致された日本人に対するバッシングといい、
メディアの一面的で一律な報道といい、
一斉に同じ方向に向く最近の日本の風潮と、それをおかしく感じなくなっている雰囲気に
危ういものを感じてしまうのですが。
アンコール上映で観に行った「母べえ」に描かれる人たち、
今の価値観なら当たり前のことを、
太平洋戦争前後の日本が全体主義だった時代に主張して
受難する人たちを観ていると、そんなことを連想しました。
山田監督らしいユーモラスで人間味あるドラマの
根底に感じられたのは、静かな怒り。
真っ当な事を言っている人達が、時代の波に虐げられて死んでいく姿は、
善良な人たちばかりなだけに、不条理と怒りを感じさせるのです。
最後に映画の舞台が現代に飛んで、
それまでの物語が今につながる実際のことであるのが強調されるのも、
「たそがれ清兵衛」等の時代劇と共通した演出で、
この映画にリアリティーと重みを感じさせました。
(☆☆☆)
screen87 パコと魔法の絵本 公式サイト
色彩はどぎついですが、
中島監督は相変わらずカットの一つ一つが凝っていて、
丹念に作られているのは、さすがです。
ただ個性的な映画なのに、役所広司演じる大貫のメイクが
「世にも不幸な物語」のジム・キャリーそっくりなのは、ちょっと残念。
しかしなぜ中島監督、子供向けのように映画を作ったんでしょう?
内容的に子供に解るのかなあ?と思うようなところも多々あったんですが。
ジュディ・オングの「魅せられて」をギャグにしても、
今の若者だって知らないんじゃないですか。
現場では厳しいことで知られる中島監督、
たぶん周囲からはかなり恐れられ、煙たがられているはず。
嫌われ者の大貫に監督自身を投影しているようにも見えて、
そう思いながら観ていると、面白いです。
(☆☆)
screen88 イーグル・アイ 公式サイト
映画前半、謎の女性が出す指示が超人的すぎるので、
正体が推測できてしまうんですが、正体が分かってからの展開が
ありがちなんです。(ああ、「2001年宇宙の旅」)
展開はスピーディーだし、(ただ、スピーディー過ぎて、
カーアクションが何をやっているのか分からないんですけど。)
逃走アクションもそれなりに面白く楽しませてくれました。
(☆☆)
screen90 ぐるりのこと。 公式サイト
冒頭、夫の浮気防止のため?「する日」を決めてカレンダーに印をつけ
実行している妻にドキッとさせられます。
そんな几帳面な妻が、娘を亡くしたことがきっかけで精神的に崩れていく姿と
それを支えようとする夫の日常を淡々と描いてるんですが、
セリフが映画のストーリーを進めていくための説明的なものでなく、
あくまで日常会話的で自然なところがいいです。
のほほんとして女好きの夫の役がリリー・フランキーなのもぴったり。
夫を法廷画家とすることで、殺伐とした時代の世相が
夫婦の物語と平行して出てきますが、
もう一つ、夫婦の話とはリンクしていない気が。。。
9.11以降、世界が殺伐としていくことで鬱病になったという
監督の体験から出た実感なんでしょうけれど。
(☆☆)
screen91 ブーリン家の姉妹 公式サイト
今が旬な女優2人の共演で注目された歴史物。
アンが実際はメアリーの姉でなく妹だったように、
映画は史実を忠実にたどっている訳ではないらしく、
かなり脚色されているようです。
ブーリン家が積極的に娘たちをヘンリー8世に差し出した事実はないことや、
アンは10代をほとんどフランスで過ごし、フランス宮廷で成長したことなどから、
どうも映画は姉妹の愛憎劇を強調して描きかったらしいのです。
追放されていたアンがフランスから呼び戻されてくる姿などは
さながらヒース・クリフが嵐が丘に戻ってくるような雰囲気です。
エリザベス1世による大英帝国黄金時代の前史として、
ケイト・ブランシェット主演「エリザベス」とあわせて観ると
母子2代に渡る宮廷内の権謀術数がいっそう分かって面白いと思います。
(☆☆)
よく"空気を読め"って、時々聞きますけど、
それって、言ってみれば周りに歩調を合わせろってことで、
ファッショな臭いを感じるのは私だけでしょうか。
ブログの炎上現象や、以前あったイラクで拉致された日本人に対するバッシングといい、
メディアの一面的で一律な報道といい、
一斉に同じ方向に向く最近の日本の風潮と、それをおかしく感じなくなっている雰囲気に
危ういものを感じてしまうのですが。
アンコール上映で観に行った「母べえ」に描かれる人たち、
今の価値観なら当たり前のことを、
太平洋戦争前後の日本が全体主義だった時代に主張して
受難する人たちを観ていると、そんなことを連想しました。
山田監督らしいユーモラスで人間味あるドラマの
根底に感じられたのは、静かな怒り。
真っ当な事を言っている人達が、時代の波に虐げられて死んでいく姿は、
善良な人たちばかりなだけに、不条理と怒りを感じさせるのです。
最後に映画の舞台が現代に飛んで、
それまでの物語が今につながる実際のことであるのが強調されるのも、
「たそがれ清兵衛」等の時代劇と共通した演出で、
この映画にリアリティーと重みを感じさせました。
(☆☆☆)
screen87 パコと魔法の絵本 公式サイト
色彩はどぎついですが、
中島監督は相変わらずカットの一つ一つが凝っていて、
丹念に作られているのは、さすがです。
ただ個性的な映画なのに、役所広司演じる大貫のメイクが
「世にも不幸な物語」のジム・キャリーそっくりなのは、ちょっと残念。
しかしなぜ中島監督、子供向けのように映画を作ったんでしょう?
内容的に子供に解るのかなあ?と思うようなところも多々あったんですが。
ジュディ・オングの「魅せられて」をギャグにしても、
今の若者だって知らないんじゃないですか。
現場では厳しいことで知られる中島監督、
たぶん周囲からはかなり恐れられ、煙たがられているはず。
嫌われ者の大貫に監督自身を投影しているようにも見えて、
そう思いながら観ていると、面白いです。
(☆☆)
screen88 イーグル・アイ 公式サイト
映画前半、謎の女性が出す指示が超人的すぎるので、
正体が推測できてしまうんですが、正体が分かってからの展開が
ありがちなんです。(ああ、「2001年宇宙の旅」)
展開はスピーディーだし、(ただ、スピーディー過ぎて、
カーアクションが何をやっているのか分からないんですけど。)
逃走アクションもそれなりに面白く楽しませてくれました。
(☆☆)
screen90 ぐるりのこと。 公式サイト
冒頭、夫の浮気防止のため?「する日」を決めてカレンダーに印をつけ
実行している妻にドキッとさせられます。
そんな几帳面な妻が、娘を亡くしたことがきっかけで精神的に崩れていく姿と
それを支えようとする夫の日常を淡々と描いてるんですが、
セリフが映画のストーリーを進めていくための説明的なものでなく、
あくまで日常会話的で自然なところがいいです。
のほほんとして女好きの夫の役がリリー・フランキーなのもぴったり。
夫を法廷画家とすることで、殺伐とした時代の世相が
夫婦の物語と平行して出てきますが、
もう一つ、夫婦の話とはリンクしていない気が。。。
9.11以降、世界が殺伐としていくことで鬱病になったという
監督の体験から出た実感なんでしょうけれど。
(☆☆)
screen91 ブーリン家の姉妹 公式サイト
今が旬な女優2人の共演で注目された歴史物。
アンが実際はメアリーの姉でなく妹だったように、
映画は史実を忠実にたどっている訳ではないらしく、
かなり脚色されているようです。
ブーリン家が積極的に娘たちをヘンリー8世に差し出した事実はないことや、
アンは10代をほとんどフランスで過ごし、フランス宮廷で成長したことなどから、
どうも映画は姉妹の愛憎劇を強調して描きかったらしいのです。
追放されていたアンがフランスから呼び戻されてくる姿などは
さながらヒース・クリフが嵐が丘に戻ってくるような雰囲気です。
エリザベス1世による大英帝国黄金時代の前史として、
ケイト・ブランシェット主演「エリザベス」とあわせて観ると
母子2代に渡る宮廷内の権謀術数がいっそう分かって面白いと思います。
(☆☆)
by am-bivalence
| 2008-12-18 23:15
| 映画鑑賞
|
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