劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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カテゴリ:アクション( 10 )

 クラーク・ケントはいい人だ 公式サイト

 2006年の「スーパーマン リターンズ」は無かったことにして、
クリストファー・ノーランのプロデュースにより再リブートしました、新シリーズ。
 
 ノーランが制作するだけあって、今度のスーパーマンは悩みながら行動するのが
特徴。
自身のアイデンティティーを求めてクラーク・ケントが世界を放浪するところは
「バットマン ビギンズ」のブルース・ウェインと重なります。
 彼の悩みは自分が何のために何処から来たのか、
自分の超能力を活かし人々を救うため、能力を公表すべきか、ということ。
クラーク・ケントは育ての親から超能力のために人から恐れられ迫害を受けないよう、力を隠す事を教えられてきたからです。
 でもここがどうも私には引っ掛かります。力を公にするかどうか以前に、
人間は救うだけの価値があるのか、クラークは疑問に思わないのでしょうか。

 彼は子供時代にその特殊能力が元でいじめられています。
人間の厭な面も見せられてきたわけで、私なら人のために働くべきか悩む前に、
人間が守るに値する存在なのか悩んでしまう気がします。
 ましてや神憑り的能力であれば、宮崎駿監督が言うように「人間を罰したい」という衝動にも駆られてしまうんではないでしょうか。
 しかしクラークの思考にはそんな発想が全くありません。
彼にとって人間を守るのは自明であって、人間の存在そのものに全く疑問を持たないのです。
 人に対する絶対的信頼、クラーク・ケントっていい人だなぁ。
そういう健全な人格だからこそ、正義のヒーローたり得るんでしょう。
                            ☆☆☆
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by am-bivalence | 2013-10-20 22:22 | アクション | Comments(0)

screen103 007/慰めの報酬

 本家ジェームズ・ボンドはジェイソン・ボーンになっってしまうのか  公式サイト

「クラッシュ」のポール・ハギスによる脚本で007シリーズに人間ドラマを持ち込み、
魅せてくれた新生ジェームズ・ボンド、
再びハギスの脚本で前作の続編として作られるとあれば、期待も高まろうというもの。
 でも、観てみると何か違う。。。

 アクションはそれなりに楽しめます。
「ボーン・アルティメイタム」「イーグル・アイ」のような速いカット割で、
付いて行くのが大変です。 頭がくらくらします(笑)。
でも、何か違う。。。

 いままでのボンドは機知を使って一発逆転、
危機を乗り越えていく痛快さがありました。
でも今回のボンド、反射神経とスピードで勝負、のようなところがあります。
予告編でも使われている車内で向けられた銃を払うシーンなど、その典型です。
それが"若き"ジェームズ・ボンドってことなのでしょうか。
独断専行、猪突猛進でMを困らせているのも、若さゆえ?。

 屋根の上をつたって逃亡するシーンなど、
なんだか「ボーン・アルティメイタム」を観ているみたいだなあ、と思ったら、
アクションシーンの撮影監督に「ボーン・アルティメイタム」の
撮影監督を起用しているそうです。
どおりで「ボーン・アルティメイタム」と同じ、
カメラが対象と一緒になって飛んでいくカットがあるはずです。
 ジェームズ・ボンドがシリアスでユーモアを無くしてしまうと、
ジェイソン・ボーンになってしまうんでしょうか。
 従来のパターンを破って新機軸を作るのは
なかなか大変なんですね。
                 (☆☆
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by am-bivalence | 2009-01-31 22:08 | アクション | Comments(0)
 可もなく不可もなく、家族で楽しめる娯楽活劇  公式サイト

 怪人二十面相、名探偵明智小五郎、小林少年に少年探偵団。。。懐かしいですね~。
私が小学校の頃はみんな一度は江戸川乱歩のジュブナイル小説を読んでいて、
これから推理小説ファンになった人も多いはずです。
 映画の予告編を観た時は、乱歩の原作を元にしているのかと思ったら、
北村想の原作があったんですね。私は読んでないですけど。
 北村想の原作を読んでいなくてもオリジナルの読者なら、
遠藤平吉という主人公らしからぬダサい名前を聞いて、
彼がどういう運命を辿るのか、想像がつくというものです。

 映画は北村想の原作を更にアレンジして架空の日本にしてあるそうです。
日本を極端な格差社会にしたのは、昨今の世相を反映しているというより、
社会が乱れていることで、本来悪である盗賊=二十面相に正当性を持たせる
という意味が大きいように見えます。
世相批判にしては、スラムやストリート・チルドレンの描き方がおざなりで、
リアリティがないんです。
 良い子のみなさん、本当は泥棒は犯罪ですからね。

 この映画は観ているといろいろな映画のシーンから、
イイトコ取りしてアレンジしたようなカットが多いのに気付きます。
冒頭、工業地帯を手前にオートジャイロが飛ぶ帝都の俯瞰は「ブレードランナー」。
クライマックスのワイヤーを駆使したアクションシーンは「スパイダーマン」。
途中、「ブルース・ブラザース」かと思うシーンもありますが、
一番多く連想したのは「ルパン三世 カリオストロの城」。
監督・脚本の佐藤嗣麻子氏は宮崎アニメのファンなのか、
「未来少年コナン」を思わせるようなシーンもあります。
そういえばヒロイン羽柴葉子も宮崎駿好みのキャラクターのような。。。
全体にキャラクターの描き方が漫画チックで、分かりやすい作りです。
 まあ、お正月に家族で楽しむにはちょうどいい映画ではないでしょうか。
                          (☆☆)
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by am-bivalence | 2008-12-22 23:46 | アクション | Comments(2)
 家族で立体映像の面白さを楽しめるアトラクション映画  公式サイト

 以前「ベオウルフ」で3D映画に注目、と書いたんですが、
初の本格的長編実写3D映画の触れ込みで公開されている
「センター・オブ・ジ・アース」、観に行って参りました。

 現在の3D上映方式は幾つもあるんですが、
いずれも人間の眼では分からない高速で左右用の画像を切り換え、
メガネのフィルターを通して左右別々に見るという原理です。
今回観たのは偏光フィルターメガネを使うrealD方式。
高速で画像が切り換えられなかった頃は、長時間見るとチカチカして眼が疲れるので、
長編映画には向かなかったそうですが、
技術が進歩した今はrealDの場合、毎秒144コマの高速で切り換えるので、
(左右72コマづつ、従来の映画は毎秒24コマなので その3倍)
チラつきを意識させず、長時間でもかなり眼が疲れなくなっているとか。
 それでも上映時間95分の最後のほうでは少し疲れました。
メガネの上に3Dメガネをかけるという形が影響したのかもしれませんけど。。。

 ちょっと驚いたのは、本編上映前に、
トヨタなどの日本のCMが3D映像で流れたことです。
 3Dカメラで製作しているわけがないので、コンピューター処理で3D化したんでしょう。
ナイトメア・ビフォー・クリスマスもコンピューター処理での3D化ですけど、
あれは実写ではないので、まだ3D化しやすかったんじゃないでしょうか。
画像処理でここまで3D化できるというサンプルです。

 ジュールベルヌの地底探検を題材にしたこの映画、
かなりキワモノっぽく思えますが、ツッコミどころ満載のものの、
アクションアドベンチャー映画として思ったより、楽しめました。
 監督のエリック・ブレヴィグは立体映像の世界ではよく知られた人だそうで、
3D効果をフルに発揮したカットが随所に出てきます。
磁石石の上に乗って空中に浮かぶシーンは
下を覗くと高さが感じられて、身がすくむ感じがしますし、
目の前にヨーヨーが飛んでくるカットなどは
分かっていても条件反射的に目をつぶってしまいます。
立体映像は案外、ホラー向けなんですね。
(そう言えば昔、「ジョーズ3D」とか、「13日の金曜日3D」なんてありました。
ホラーは苦手なので、観てないけど。)

 今のところ3D映像は家庭にインフラがないので、
劇場でしか観れないというのは映画館にとってプレミアムなんでしょうが、
2000円で何の割引も適用できないのは、ちょっと高い。
せめて映画の日は1500円位で観れるとか、
他の映画ほどでなくても、少しはサービスしてほしいものです。
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by am-bivalence | 2008-12-19 00:03 | アクション | Comments(0)

screen80 ダークナイト

 これはもう正義と悪の戦いではない、理性と狂気の死闘  公式サイト
  
 「メメント」で、若手注目株とされたクリストファー・ノーラン監督、
やっと「メメント」に並ぶ代表作ができたようです。
シリーズ作の続編というものは、たいてい前作よりボルテージが落ちてしまうものですが、
「ダークナイト」は数少ない例外でした。
 バットマンをぎりぎりまで追いつめるジョーカーの狂気に、
最後まで目が離せません。

 前作以上にこだわったリアリティ描写は、
これまでのアメコミ映画の中では一番ではないでしょうか。
タイトルも、アメコミ映画のパターンであるヒーロー名を使うのではなく、
バットマンの二つ名というべき、「ダークナイト」だけにしたのも、
従来のアメコミ物とは一線を隔した現れのようです。

 ノーラン監督は毎回、心理的な要素をテーマにしてきますが、
今回出色なのは、ジョーカーの悪徳を通り越した狂気。
ヒース・レジャーが猫背と壊れたメイクで演じるジョーカーの病的なこと!
何をしでかすか分からないキャラクターは、
登場した途端、映画に異様な緊張感を生みます。
それは「レオン」でゲイリー・オールドマンが演じた悪徳刑事や、
「ノー・カントリー」ハビエル・バルデムの殺し屋を髣髴とさせる凄みがありました。
(以下ネタバレ)

 この狂気を伝染させようと、ジョーカーの仕掛けた罠は
精神を揺さぶる罠、"ジレンマ"でした。
バットマンが怒りと憎しみで理性を失いそうになる一歩手前で止まったのと対照的に、
"ホワイトナイト"デントは狂気に囚われてしまいます。
この辺り、フォースの暗黒面に落ちていくような(笑)。。。

 ただ最後の結末には、私はちょっと違和感を感じます。
影の戦士としての孤独感を表したかったのかもしれませんが、
大衆を愚とみなして事実を隠蔽し、英雄を仕立て上げるのは、
独裁者のような権力者のやる政治的手段。
影の存在とはいえ、ヒーローにはふさわしくないように感じてしまうのです。
 そういった面も含めて「ダークナイト」なのかもしれませんが。
                               (☆☆☆)
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by am-bivalence | 2008-08-28 23:44 | アクション | Comments(4)
 冒険活劇の先駆、インディ・シリーズの新作を観れた幸福を喜ぶべき 公式サイト

 ダイハード、ロッキー、ランボーと、
往年の人気シリーズの新作が続いていますが、
ついに大御所登場です。
 いや~、予告編のレイダース・マーチや鞭の音を聞いて、
ワクワクしていました。

 今回の主な舞台は南米。
これまで同様、テンポ良くアクションが進んでいきます。
オカッパ頭のケイト・ブランシェットがなかなかカッコイイです。
 しかし評判は今ひとつ。。。
やはり、リアルタイムでこのシリーズを観てきた人には、
ルーカス、スピルバーグのネームバリューもあって
期待し過ぎちゃうんですよねえ。

 確かに今時の娯楽映画としては凡庸かもしれません。
でも、旧三作をテレビで見ていて思いました。
 昔もこんなものだったじゃない?

ばっさりと話の経過を省略してしまう展開、
アリエネ~と突っ込みたくなるような奇抜なアイディア、
この、物語の整合性よりもテンポ、
リアリティよりもビジュアル・インパクトを優先させる手法は
昔と変わっていないのです。
それはルーカスが復権しようとした冒険活劇の手法でした。
このエンタテイメントの面白さが、ハリウッド映画の流れを変え、
主流となっていったのです。
その結果、幾多の活劇が作られ、より観客を楽しませようと
あの手この手の仕掛けが練られていきました。
 インディ・ジョーンズの新作は
冒険活劇の老舗の暖簾に胡坐をかいたわけではなく、
客の舌が肥えてしまったのでしょう。

 「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」は、
ルーカス、スピルバーグというオリジナルのコンビで、
ハリソン・フォードでなければ演じられないインディ・ジョーンズというキャラクターを
再度見せてくれたことを喜ぶべきです。
言ってみれば、王、長嶋がペナントレースに復帰したようなもの。
ジーコ、マラドーナが再度グランドでボールを追いかけるようなもの。
セナが蘇って、プロストとモナコを走るようなもの。
 多くの映画ファンが、インディ復活の夢が叶ったことをスクリーンで確認して、
ある種の感慨を持ってしまうんじゃないでしょうか。
                 (☆☆)

 *書くのがちょっと負担になってきました。少し休みます。
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by am-bivalence | 2008-06-28 00:11 | アクション | Comments(4)
 観光もできる宝探しRPG  公式サイト

 以前アメリカに住んだことのある知人の話によれば、
アメリカ合州国は建国してまだ歴史が浅いので、
アメリカ人は長い歴史を持つヨーロッパや日本に羨望があるそうです。
アメリカは歴史が浅いがゆえに、
ほとんどの史実がはっきり記録として残っていて、
アメリカ人は、そんな自分達の歴史を大切にするのだそうです。
何かと言えば歴史的建造物や史跡として保存したり、
記念碑や記念館を造りたがるらしいです。アメリカ人は。
 真偽はとにかく、「ナショナル・トレジャー」を観て、
アメリカ人のそんな歴史に対するこだわりを思い出しました。

 前作「ナショナル・トレジャー」は、宝探しにアメリカ独立宣言書が絡み、
アメリカ建国にまつわる名所旧跡を巡ったりして、観光もさせてくれました。
今作では、リンカーン暗殺が事件の発端になるものの、
リンカーンは全く関係なく、暗殺者の背後にいた組織の隠し財産を探す事になります。
今回もラシュモア山のような、いかにもアメリカといった名所のみならず、
パリやバッキンガム宮殿といったアメリカ以外の観光名所にも
連れて行ってくれます。

 映画の中心は宝探しの謎解きで、
謎を解くと次の謎が現れ、それを追っていくとまた次の謎が与えられ。。。
と、次から次へ課題をクリアーしていくRPGのように
興味を次から次に繋いでいくストーリー運びはうまいです。
 ただ、謎解き中はそれなりに面白く、楽しませてくれるんですが、
観終わった後についこんな疑問が出てきてしまいます。
 。。。何でこんな回りくどい隠し方をするんだ?
 まあ、それは探偵小説で、"何で密室の必要があるんだ?"と疑問を持つようなもの。
考えてはいけないのでしょう。

 それにしてもブラッカイマーは、毎回風呂敷を広げるのはうまいのですが、
広げ過ぎるきらいがあるようです。
 今回ベンたちを追う敵役ウィルキンソンなどは、
よその国であれだけ無茶なカーチェイスをやるので、
凄い組織がバックにあって、何か大きな目的があるのかと思っていたら、
彼の真の目的が最後に解ると、唖然となってしまいました。

 ともあれ、お正月に家族で楽しく映画を観るにはいいんじゃないでしょうか。
                                      (☆☆)
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by am-bivalence | 2008-01-10 21:55 | アクション | Comments(7)

screen30 ダイ・ハード4.0

 可もなく不可もなく、オーソドックスに娯楽アクションの王道をゆく 公式サイト

 このところ、往年の名シリーズ復活が続いています。
「ロッキー・ファイナル」は意外と健闘したようですし、
本当にやるの?と思っていた「インディ・ジョーンズ4」は
本当にクランクインしちゃいました。
 「ダイ・ハード」の新作が十数年ぶりに公開されても、もう驚きませんよ。
スタローンやハリソン・フォードがオーバー60歳だってことを思えば、
ブルース・ウィルスの52歳なんて、まだまだイケル、イケル。

 残念ながら、私は「ダイ・ハード」1作目を映画館で観ていません。
当時のアクション映画はスタローンの「ランボー」や、
シュワルツネッガーの「コマンドー」のような
マッチョなヒーローが超人的パワーで暴れまわるのが主流でした。
 公開時の「ダイ・ハード」のCMも、
ブルース・ウィルスが上半身裸で消火ホースを体に巻きつけ、
爆炎をバックにビルから飛び降りるシーンを大々的に見せて、
肉体派アクションヒーローを連想させる造りになっていました。
私は"またか"と思って観に行かなかったのですが、
大方の日本人も肉体派アクション映画に飽きていたのか、
興行成績もいまひとつだったようです。
(日本での興行成績が「ダイ・ハード2」=51.1億円、「3」 =72億円に対し、
「1」=18.4億円 )

 そんな「ダイ・ハード」が日本で評判になったのは
レンタルでその面白さが再発見され、口コミで広がったからと記憶しています。
主人公がパワーだけで押しまくるマッチョマンでなくて、
事件に巻き込まれた不運をグチりながらも、体力と知恵をふり絞って行動する
等身大の人間だったのが新鮮でした。
高層ビルという閉じられた空間で起こりうるシチュエーションを
全てやって見せたような よく練られた脚本で、観る者をうならせました。
「ダイ・ハード」はアクション映画の流れを変えた名作だったとともに、
レンタルになってから注目された稀なケースだったんじゃないでしょうか。

 続く「2」,「3」も大ヒットし、お客を惹き付けた「ダイ・ハード」ブランド、
「4」はどうかというと。。。何とかブランド価値を保った、というところでしょうか。
 続編の常道で事件はますますスケールアップ、
今回は全米を巻き込んだサイバーテロが相手。
 クライマックスも続編の常道で、さらに派手になり、
まだ量産もされていないはずの最新鋭戦闘機F-35まで相手にして
ハイウェイを派手に破壊しまくります。
 冒頭で登場するマクレーンの娘は、
お約束通り、テロリストの人質になってくれます。

 アクションシーンはそれなりに練られて手が込んでいるし、
2時間の間、決して飽きさせないんですが、ん~
皆、セオリー通り。。。
十年の歳月が私の映画を観る目をスレさせてしまったんでしょうか。
あるいは「ダイ・ハード」ブランドに期待し過ぎちゃったのでしょうか。

 それに、この手のアクション映画にありがちな、"ありえね~"的ツッコミどころが、
前シリーズにもあったものの、今回ちょっと増えているような気がします。
 一番気になったのは、テロリストが真の標的とした○○○○です。
テロに備えるならこんなモノは作らないでしょう。
これを考えた脚本家はインターネットが一極集中を避けるために考え出されたこと、
忘れていたのでしょうか。
サイバーテロを正面から扱った映画だから、知らないってことはないでしょう。

 まあ、あまり深くは考えずに、悪者をやっつける爽快感を堪能する、
それがこの映画の正しい楽しみ方なのでしょう。
                          (☆☆)
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by am-bivalence | 2007-07-20 23:40 | アクション | Comments(2)
 「カリブの海賊」がなぜアジア?と考えさせない、
 エンドタイトル後まで見逃せない娯楽佳作
  公式サイト

 実は私、帆船ファンでもあります。
日本丸や海王丸が横浜に寄港して一般公開されるたび、
ワクワクしながら見に行きました。
中学の頃ホーンブロワーシリーズを読み始めて以来、帆船は憧れでした。

 ホーンブロワーシリーズとは、18世紀イギリス海軍の艦長
ホレイショ・ホーンブロワーの活躍を描いたC.S.フォレスターの海洋冒険小説です。
 革命後のフランスとイギリスが対峙していた大航海時代、
船乗りのくせに船酔いしやすく、高所が苦手という、
どこか人間的なホーンブロワーが、
フランス海軍や、時には海賊(私掠船)を相手に、
自艦を指揮して、信頼する部下と戦い抜いていきます。
 帆船による砲撃戦や、艦上の切り込み戦などは
生き生きとした描写で、目に浮かぶようでした。

 映画「マスター・アンド・コマンダー」は、まさにホーンブロワーの世界を
CGを駆使して忠実に映像化していました。
長年空想していたシーンを目の前に再現してくれたことに、感動しました。
 「パイレーツ・オブ・カリビアン3」も「マスター・アンド・コマンダー」と同じ
ILMがSFXを担当していて、リアルで迫力ある砲撃戦を見せてくれます。

 チェーン弾を使ってマストにダメージを与える描写や、
戦艦の内壁が赤く塗られているところ(戦闘で飛び散る血で
兵が戦意を消失しないため赤くしたといわれる)、
操艦時に相手の風上に回ろうとしたり(帆船戦では風上の船が有利)、
砲撃戦で飛び散る木片(多くの兵は砲弾よりもこれで負傷する)、などは感涙ものです。

 と、マニアックな見方はとにかく、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズは
毎回、娯楽映画としてレベルが高く、帆船ファンならずとも楽しませてくれます。
「3」ではカメオ出演で顔見せ程度と思っていたキース・リチャーズが、
わずかのシーンながら圧倒的存在感で、驚きです。
 ただ、「3」は「1」,「2」と比べ、少しボルテージが下がっているような気がします。

 前半、デイビィ・ジョーンズ・ロッカーに囚われている
ジャック・スパロウの描写が映画のテンポを止めてしまっていたり、
中盤、様々な人物の裏切り、意図が入り乱れすぎて
ストーリーがだれてしまうようなところがあります。
クライマックスの大艦隊を目にして、総力戦が始まるかと思えば
さにあらずだったり、大海賊が9人も集まりながらほとんど活躍しない点、
デイビィ・ジョーンズと女神の因縁の結末が中途半端に見える点なども、
少し大風呂敷を広げすぎた感じもあります。
 ただ、ウィルとエリザベスの辿る運命は、大団円とは行かないのが
ちょっと予想外で、これまでのシリーズとはちょっと違った後味を残します。
(本当に、エンドタイトル後まで見逃せません。)

 一方で、映像イメージはところどころ、ハッとさせられるものがあります。
「2」のデイビィ・ジョーンズやその配下のビジュアルもよく出来ていると思いましたが、
今回はデイビィ・ジョーンズ・ロッカーでの白い平原上の帆船、砂の海を進む帆船、
世界の果てで滝になっている海など、インパクトのあるイメージを
うまくストーリーの中に組み込んでいて、秀逸でした。
                          (☆☆
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by am-bivalence | 2007-06-04 00:34 | アクション | Comments(6)

screen27 スパイダーマン3

 健全な少年のためのヒーローなのだろうが。。。  公式サイト

 アメコミの映画化作品は、ある程度の年齢になると、
その荒唐無稽さについて行けなくなることがあります。
まあ、娯楽と割り切ってしまえば、ツッコミ所満載の映画も
それなりに面白いものです。
 そんななか、「スパイダーマン」シリーズはちょっと視点が変わっていて、
楽しませてくれました。
 内向的な普通の青年が、突然超能力を持ちヒーローになることで
見えてくるリアリティです。

 1作目では、自分には関係ないと逃がしてしまう強盗によって
叔父が殺されてしまうエピソードが、ヒーローになる動機に、
強い説得力を持たせました。
(ヒーロー活動は、見方を変われば”お節介”とも取れますが、
それを”力を持つ者の責任”としたのは、ある意味アメリカ的でもあります。)

 2作目では、アルバイトとスパイダーマン家業の二足のわらじで
ピーター・パーカーが過労気味になってしまうのが、
”ヒーローはボランティアだったんだ”と認識させてくれました。

 では3作目でも、何か新しい視点を示してくれるかというと、
それが見当たらないのです。
 あえて言えば、今回は、スパイダーマン自身が
これまでの敵の苦悩を体験する点でしょうか。

 前作までの敵(グリーンゴブリン、ドック・オク)は
超能力と引き換えに、精神に異常をきたし、
自分を見失って、悪役となっていきました。
 それがスパイダーマンに、敵であっても倒すに忍びないジレンマを与え、
「スパイダーマン」独特の世界観となっていました。

 今回は、アメーバのような生物に取り付かれることで、
スパイダーマン自身が精神的に蝕まれ、
”ダークサイド”に引き込まれそうになります。
(ワルっぽくなったピーターが、
ダサく見えるように演出しているのが笑えます。)
 この体験がスパイダーマンを大きく成長させているかといえば
そう見えないないところが、本作の物足りなさだと思います。

(以下、ネタバレ?)
 むしろこの体験後、最後にスパイダーマンの取った”敵を許す”という決着は、
私は、安直でないか?と疑問に思ってしまうのです。

 相手を理解し、共感するのは大切ですが、
悪にも事情があったからといって、何の贖罪も無しに
犯した罪を許してしまうのは、いかがなものでしょうか。
 サンドマンが娘を思って悪事に走ったのは同情の余地がありますが、
だからといって現金強盗してもよいという事は無いでしょう。
叔父殺しもピーターの中で許せたとしても、見逃せるものではないはずです。
 まだ、「デスノート」のように、殺されて当然の犯罪者を抹殺していくキラを、
殺人は殺人、罪を問われるべきと断罪した倫理観のほうが正しいように思えます。
 スパイダーマンのヒューマニズムが
安易な方向に向いてしまったような気がしてなりません。

 全体的に3部作の完結編的ストーリーとなっているため、
多くを盛り込み過ぎて、消化不足の感がするのが残念です。
                              (☆☆)


 参考文献:「ハリウッド・ビジネス」 ミドリ・モール著 文春新書

  「スパイダーマン」は映画化が望まれながらも、著作権が二転三転して、
  なかなか映画化に結びつかず、ジェームズ・キャメロンも諦めたのは
  よく知られています。
   本書はその経緯を始め、映画の著作権を巡る駆け引き等、
  映画ビジネスの裏側を解説してくれます。
   著作権のトラブルでビデオ・DVD化できなくなった映画が以外にあるそうです。
  そういえばあの映画、最近見かけないけど大丈夫かと、想像したりします。
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by am-bivalence | 2007-05-30 23:35 | アクション | Comments(2)