劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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<   2007年 02月 ( 9 )   > この月の画像一覧

 原作のイメージに忠実に造られた、映画の新しい指標  公式サイト

スターウォーズ旧3部作の完結編「ジェダイの復讐」が公開されたのは1983年でした。
タイトル「ジェダイの復讐」を巡るゴタゴタについては、公開前話題になりました。
タイトルが「Revenge of the Jedi」から「Return of the Jedi」に変わったとき、
ルーカスも『指輪物語』の影響を受けていたことが判って、興味深く思ったものでした。
 そう言えば、冒険によってルークは右手を、フロドは指を失います。
かれらが冒険により、もう元には戻れなくなったということの象徴でしょうか。

 原作「指輪物語」の読後感は"過ぎ去ったものへの哀悼"でした。
フロドたちの活躍は最終的には過去の伝承として語られ、
アラゴルンたちのその後も歴史として追補に記述されています。
トールキンは神話などの文献研究から、消えて今は無いものに思いを馳せていたのでしょう。
あるいは、大戦で犠牲になった人々を思ったのかもしれません。
 どんなに偉大な功績も、事を成し終えて歴史となると現在から離れていき、
人の記憶の隅に追いやられていくものなのです。
人は今を生きているのですから。
 映画も、サウロンを倒し ただ大団円で終わるのではなく、
冒険によって元の生活に戻れなくなったフロドが中つ国を去るまでを
哀感を込めて描いています。
 あくまで原作のイメージを大切にした作り方で、
エモーショナルな面では三部作中一番です。
(エオウィンが山瀬まみだったのが、残念なんですが。)

 スペシャル・エクステンデッド・エディションは4時間をゆうに超えていて、
三部作中唯一、休憩の入るものでした。
追加されたシーンは、サルマンの最後、死者の道から帰還し船に乗り込むアラゴルンたち、
ガンダルフとナズグルの対決、エオウィンの治療とファラミアとのシーン、
黒門での交渉、オーク部隊に巻き込まれるフロド達、といったところです。
これと比べると劇場公開版は、映画のキーとなるシーンが少なからずカットされており、
劇場公開用に時間を短縮するのにかなり苦労したのが見て取れます。

 今回三部作を見直してみて、初見の印象以上に
良く出来た映画だったことを再認識しました。
今後も、「ロード・オブ・ザ・リングよりも」とか、「ロード・オブ・ザ・リングみたいな」と
表現される、指標映画であり続けるのではないでしょうか。
                               (☆☆☆☆)
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by am-bivalence | 2007-02-25 22:04 | ファンタジー | Comments(0)

screen14 ソウ2

 凝ったどんでん返しは冴えているが、やっぱり悪趣味  公式サイト

 ホラー映画には2種類あると思います。
怪談のようにストーリーや雰囲気で背筋をゾッとさせるものと、
ビックリ箱のように突然の出現や音で驚かすものです。
「シャイニング」ぐらいまでは、雰囲気で怖がらせる怪談的なところもあったんですが、
「13日の金曜日」シリーズ辺りから最近のホラーは
ほとんどビックリ箱系になってしまいました。

 私は怪談系ならまだいいのですが、ビックリ箱系は苦手です。
心臓に悪いです。まちがいなく数日分の寿命、縮んでますよ。
血のり大量使用のスプラッタームービーを面白がるのも、
病的で悪趣味に感じて、好きになれません。
まあ、この手の映画はグロテスクなものを見せることに意義があるのですから、
それを悪趣味だと非難するのが的外れなんですが。。。
 なので、長いことホラーは守備範囲外だったのですが、最近、事情が変わってきました。
近頃のホラーはプロットが面白いのです。
 
 どんでん返しが凝っていた「アイ」や「箪笥」、
悪魔の存在理由を示した「エミリー・ローズ」など、
ホラーだからといって避けていられなくなりました。

 「ソウ」はホラーというより、低予算映画ながら
良く出来たソリッド・シチュエーション・スリラーとして話題になりました。
殺人ゲームを仕掛けるのは、最近の日本の殺人事件を連想させて悪趣味ですが、
プロットは良く練られていました。
観客に先の展開を思い込ませては次々に裏切っていくので、
最後まで飽きさせませんでした。

 で、「ソウ2」なんですが、今度もプロットは凝っていて、最後まで騙されました。
計画途中で人質が結束したらどうしたんだろうとか、
後からつっこみを入れたくなるところもありますが、
まあ、あまり詮索はしないことにしましょう。
 犯人ジグゾウは末期ガンだったはずなのに、続編が次々と創られるので、
不死身のジェイソン化したのかと思ったのですが、
「ソウ2」ではその辺は考慮されていて、3へ続く振りにもなっているようです。

 でも、やっぱり出てくる殺人ゲームは悪趣味です。
ほとんど殺すためのトラップになっているので、ネコが捕まえたネズミをいたぶるようです。
「悪趣味」と言うと、スプラッター映画には賛辞になってしまいますけど。
                                        (☆☆)


参照映画:「マッドマックス」 ジョージ・ミラー監督 1979年
   メル・ギブソンを一躍スターにしたオーストラリア製カーアクション映画の佳作。
  死者も出した危険なスタントが公開時は話題になりました。
  常軌を逸した感覚はオーストラリア映画陣の好みなのでしょうか。
   「ソウ2」とは全然関連無いのですが、「ソウ」の状況設定は
  「マッドマックス」のラストそっくりです。
  オーストラリアの映画学校出身である監督ジェームズ・ワン、脚本リー・ワネルが
  知らないはずがありません。
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by am-bivalence | 2007-02-24 00:41 | ホラー | Comments(0)
 絶望的な籠城戦の演出が秀一な、シリーズ最高作  公式ホームページ

 ロード・オブ・ザ・リングシリーズのヒットで良かったことは、
「指輪物語」の解説書が数多く出たことでした。
 昔「指輪物語」を読んだ頃は、そんなものは全くなかったので、
「指輪物語」の著作の背景、トールキンの人物像は、巻末の解説ぐらいでしか
知りようがなかったのです。
 ですからエント族がホビット族同様、トールキンの独創とは知らずに、
どこかの伝承から引用したのだろうと思っていました。
それほど、悠長に話し動く木エント族には、
民話にでてきそうな文学的リアリティーがありました。

 「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」のみどころは
なんと言ってもヘルム峡谷の籠城戦です。
アラゴルン達の反対にもかかわらず、望みのない籠城に向かっていき、
圧倒的多数の敵に追い込まれていく様は、とてもスリリングで圧巻です。
これで最終作「王の帰還」への期待が一気に高まりました。
 (ただひとつ、個人的に非常に残念だったのは、
気に入っていたキャラクター、エオウィン姫役のミランダ・オットーが、
私にはどうしても山瀬まみに見えてしまうことでした。)

 「二つの塔」スペシャル・エクステンデッド・エディションは
「旅の仲間」とは違って、幾つものエピソードが復活しています。
特に次回作へと繋がるエンディング部分にいろいろ追加されているようです。
最近は長くてカットしたシーンをDVDに入れるのが流行りなので、
「旅の仲間」の成功で、予備のシーンを撮る余裕が出来たのでしょうか。
                                    (☆☆☆☆)


 参照映画:「The Hobbit」 Director:Arthur Rankin Jr. (1977)
    これはアメリカでテレビ放映された「指輪物語」の前の物語、
   「ホビットの冒険」のアニメ版です。
    実はこのアニメ、日本で製作され、製作には現スタジオ・ジブリのスタッフが
   関わっているそうです。
   国内ではDVDが発売されておらず、本当は私も設定画ぐらいしか見ていません。
    しかし、ペン画調の作風は独特で、(当時としては)クオリティーが高く、
   ぜひ一度見てみたいと思っている作品です。
   「ロード・オブ・ザ・リング」のヒットで、日の目を見ないかと期待していたんですが。。。
    どこか国内で販売してもらえないでしょうかね。
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by am-bivalence | 2007-02-19 00:23 | ファンタジー | Comments(0)
 海外へ拉致の事実を広めたことに意義  公式ホームページ

 一般家庭の女子中学生が突然失踪する。
警察は誘拐と見て捜索するが手掛かりは無く、家出も疑う。
両親は独自に娘の消息を求めて奔走し続け、
2年後に北朝鮮による拉致の可能性に行き当たる。。。

 家族が拉致されなければ、普通に市民生活を過ごしていたはずなのに、
拉致被害者家族は事件に巻き込まれたばかりに、
日常係わることのない国際紛争、政治に翻弄されることになります。

 映画で見せる横田夫妻の素顔は、ごく平凡なおじさん、おばさんでした。
その普通さが、巻き込まれた事件の大きさと比べ、小さく非力に見えてしまいます。
そんな夫妻が決してあきらめずに娘を取り戻そうと活動し続ける、
その力はどこから来るのでしょうか。

 この作品は、アメリカのジャーナリストが二人で監督していますが、
ここに出てくる拉致事件の内容は日本で既に報道されているもので、
目新しいものはほとんどありません。
むしろ、小泉訪朝までアメリカのジャーナリストが
拉致の事実を知らなかったことが、私には驚きでした。
 出てくる映像とインタビューは、ほとんど日本と日本語なのですが、
東洋趣味のBGM、時々挿入されるエキゾティックな日本の風景が
洋画であることを思い出させます。
 世界に拉致事件を知らしめたことに、この作品の意義があったようです。
                                      (☆☆)
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by am-bivalence | 2007-02-17 00:36 | ドキュメンタリー | Comments(0)
 驚くほど通常版と差がない  公式ホームページ
 
 私が「指輪物語」を読んだのは、1978年製作ラルフ・バクシの長編アニメ
「指輪物語」の公開以前だったと思います。(年がばれる。。。)
映像化された「指輪物語」を見たくて、
バクシの「指輪物語」を観に行った憶えがあります。

 今でこそファンタジー文学はテレビゲームのRPGや、
ハリーポッターの影響で認知されるようになりましたが、
あの頃のファンタジー文学はマイナーもマイナーな存在でした。
魔法だの妖精はリアリティーがない絵空事で、
ファンタジーは現実逃避物語のように見られていました。
(この頃連載開始した漫画版「風の谷のナウシカ」の世界が
アンチユートピアだったのは、現実逃避と思われたくないという
意図もあったような気がします。)

 私もファンタジー文学が好きだったわけではありませんが、
「指輪物語」を読むきっかけは、一人の作家が物語世界の歴史から言語体系まで
構築してしまう、気の遠くなりそうな作業に惹かれて、でした。
アーサー王伝説でも読むような感覚でこの大長編を読み出したのですが。。。
 恥ずかしながら、途中からストーリーを追い切れなくなっていました。

 で、「指輪物語」が「ロード・オブ・ザ・リング」として映画化されると言う話を聞いたとき、
"ちゃんと三部作公開してくれるんだろうな"というのが正直な思いでした。
 なにせ「指輪物語」の初映像化作品、ラルフ・バクシの「指輪物語」は、
前後編で製作すると言って第一部を公開しながら、
第二部は日本では公開されず終いだったのです。
(第二部は後に製作され、アメリカではテレビ映画として放映されたそうですが。
まあ、第一部の出来が不評で、興行成績もひどい物だったらしいので、
無理もないでしょう。)
「ロード・オブ・ザ・リング」の監督ピーター・ジャクソンも、
ホラー映画での評価はありましたが、ほとんど無名に近い監督でした。
 しかしそんな危惧は全く無用だったようで、「ロード・オブ・ザ・リング」はヒットし、
三部作は日本でも無事公開されました。

 さて、スペシャル・エクステンデッド・エディションは
DVD用に30分ほどの追加シーンを入れた特別編で、劇場公開したのは日本だけです。
 実際に観てみると30分も延びているのに、
ほとんど通常版と印象が変わらないのに驚きました。
もう少しカットされたエピソードがあるのかと思っていたのですが。
それだけ劇場公開の完成度が高かったということでしょうか。
それにしても、やはり劇場で観る映画は音響などの迫力が違います。
モリアの坑道のシーンなどは楽しめました。
 ただ、もともと2時間58分の長編なのに、さらに30分長くなっても
imtermission無しなのはちょっと辛いです。
観る機会があるなら、体調万全で行きましょう。
                     (☆☆)


参照映画:「ロード オブ・ザ リング 指輪物語」 ラルフ・バクシ監督 1978年
   役者を撮影してその動きをトレースする手法(今のCGで言うモーションキャプチャー
  に似ている)で造られたアニメーション。後半予算が無くて、
  画像処理したライブ映像をそのまま使ってたりしてます。
  ヒットしなかったのも むべなるかな、です。
   ただ、「ロード・オブ・ザ・リング」と似た構図のカットが幾つかあって、
  (街道で黒の騎手から隠れるシーン、黒の騎手が洪水に呑まれるシーン、
  アラゴルンの初登場の格好など)
  ピーター・ジャクソンも参考にした気配が?
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by am-bivalence | 2007-02-14 23:24 | ファンタジー | Comments(0)

screen10 墨攻

 過度に期待しなければ楽しめる  公式ホームページ

 墨家のことを私は映画が公開されるまで知りませんでした。
原作の漫画は知っていましたが、まだ読んでいません。

 墨家の思想って、原始キリスト教に似ています。
質素を宗とする共同体、敵をも愛する隣人愛、非攻。
一つ決定的に違ったのは、墨者は皆、戦闘のプロだったことだそうです。
墨家の思想の全ては、戦争を無くしたいという想いから出ているようです。
端緒がピュアである分 先鋭化し、一般には受け入れ難くなってしまったのでしょうか。
 しかし、博愛、専守防衛の思想は非常に現代的で、
戦国時代に発達しただけに、示唆に富んでいます。
こういった映画が中国、香港、日本、韓国合作で造られるのは
意義深いと思います。

 その映画の出来は、知略を尽くして城を守るプロットは面白いのですが、
娯楽映画の定石として恋愛ドラマを入れるのは
ちょっと無理があったのではないでしょうか。
戦術を駆使してきたのに、最後の決着がこれ?とも思ってしまいます。

 守るだけでも、流血の悲劇は避けられず、
守り切ったとしても、暴政が行われればやはり悲劇が続くことは、
墨家思想の限界を示しているのでしょうか。
                       (☆☆)


参照映画:「キングダム・オブ・ヘブン」 リドリー・スコット監督 2005年
   歴史物の籠城戦ならばこれ。十字軍時代のイスラエルで、
  キリスト教とイスラム教の共存する国を守ろうとした若者の物語です。
  これも宗教を超えて平和な世界を造ることがテーマとなっています。
  オーランド・ブルームがシリアスな役を好演してます。
  投石器を使った攻城戦は迫力あり、私は劇場で見なかったのを後悔しました。

参照文献:「墨攻」 酒見賢一 新潮文庫
   映画の原典となったコミックはこれが原典。映画とは革離のキャラクターが大きく異なり、
  防衛のためなら手段を選ばない策士といった印象になっています。
  三国志や史記が好きならこちらが面白いです。
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by am-bivalence | 2007-02-13 23:45 | 時代劇 | Comments(0)
「カッコイイ」とは、こういうことか  公式ホームページ

 1920年製バイク「インディアン・スカウト」の改造を重ね、1962年に60才以上の高齢で
バイクの世界最高速度記録を打ち立てたバート・マンローの実話を基にした物語です。
映画のエピソードはほとんど本人の体験談だそうです。
 この映画の魅力はマンローという人物の魅力につきます。

 この人、自分の愛車をチューンアップすることに持てる全てを注ぐため、
自宅は倉庫みたいな小屋、庭は全く手入れしないので草ボウボウ、
朝だろうが夜中だろうが夢中になるとエンジンをかけて爆音を轟かせ、
御近所から怒鳴られる、エキセントリックな人です。
よる年波には勝てず、心臓に持病を抱えてたりします。

 でも彼は、田舎育ちの実直さに少年の情熱を併せ持ち、
触れ合う人はみな彼に好意を抱いてしまうのです。
(そして、女性にモテル)
それが彼の窮地を救ったりします。

 さらに彼のすごいのは、速く走ることに関する技術と創造性はピカ一で、
お金がなくても、何でも廃品の中から造り出してしまうところです。
 ジャンクパーツを熔かしてピストンを手造りし、
中古車のエンジンを調整することなど、造作もなくやってのけます。
テストランでは、高齢の彼と骨董品のようなバイクを見てばかにしていた人達を
その技術の結晶である愛車でブッチギって見せ、唖然とさせてしまうのです。
 「カッコイイ」とは、こういうことです。

「紅の豚」のポルコとピッコロを足したようなキャラクターは
宮崎駿監督もきっと好きなはずです。
                    (☆☆)
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by am-bivalence | 2007-02-10 01:37 | 伝記 | Comments(0)

screen8 手紙

 重いテーマだが、物語が。。。  公式ホームページ

 償いきれない罪を犯したらどうすればいいのか。
身内に犯罪者がいるばかりに、理不尽な偏見や、
差別を受け続けたらどうしたらいいのか。
重いテーマです。
最後に兄の出した贖罪のための結論は胸を打ちますし、
勤務先である電気量販店会長の諭す言葉も重みがあります。

 ただ、私はこの原作を読んでいませんので、
どこまでが原作のもので、どこまでが映画の脚色か分かりません。
ですから、映画として見て感じたことを書きます。
 私が映画の世界にシンクロできたのは前半まででした。
途中、由美子と直貴を結びつけたエピソードが物語のリアリティを失わせ、
ドラマの作為的な部分が目につきだしてしまったからです。
 ちょっとしたアラがどうしてこんなにも印象を変えてしまうのかと、
考えてしまった映画でした。

(以下ネタバレ)
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by am-bivalence | 2007-02-05 22:11 | 人間ドラマ | Comments(0)

intermission3 正しい資質


 仕事で煮詰まったり、孤立感に悩まされると、
私は一時期、お酒を飲みながら「ライトスタッフ」の
クライマックスを見返していました。

「ライトスタッフ」はアメリカ最初の7人の宇宙飛行士と、
トップテストパイロットだったチャック・イェーガーの物語です。

 アメリカ初の宇宙飛行士は、大統領の一言で
テストパイロットから人選することになります。
しかしこの時チャック・イェーガーは
トップパイロットでありながらテストもされませんでした。
彼が選抜条件である大学卒でなかったからです。

 宇宙飛行士となり世界中の注目を浴びる7人と対照的に、
チャック・イェーガーは宇宙開発とは無縁に過ごします。

 映画の終盤、ヒューストンで大歓迎を受ける宇宙飛行士達とオーバーラップして、
イェーガーは独り、航空機での高度記録に挑みます。
新記録高度の手前で不調になるエンジンを動かそうとしながら、
イェーガーが目指す空の先に見たものは。。。
星空、でした。
彼が目指したものも結局、宇宙だったのでした。
それを悟ったときの虚脱感。
 映画では2カットしか出てこない星空ですが、
映画ならではの映像表現でした。

 この直後、機は失速、墜落します。
その経過は原作に詳しく記述されています。
墜落していく機体を立て直そうとあらゆる手段を尽くすイェーガーと、
彼の陥ったジレンマの詳細は、文章でしか語れない面白さがあります。
 ちなみに映画では、イェーガーの独断で飛行したように演出していますが、
実際は正規に計画されたテストプログラムでした。
 この辺り、映画の意図が判ります。

 映画は、7人の最後ゴードン・クーパーが
宇宙に飛び立つところで終わります。
この飛行でクーパーは、新宇宙飛行記録を樹立しますが、
それも一時の栄光だったとナレーションが伝えます。
 誇り高く、気骨ある男たちを描いた映画は、
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲そっくりのテーマ曲で
勇気をくれたのでした。


 参照文献:「ザ・ライト・スタッフ 七人の宇宙飛行士」 トム・ウルフ 中公文庫
   ノンフィクション作家のトム・ウルフは自分で新しい概念を造るのが好きだそうで、
  「ライト・スタッフ」は彼が考え出した造語です。
   「ライト・スタッフ」とは、ウルフがテストパイロットに共通して見い出した資質、
  瞬時に的確な判断を下す能力、適性を指すようですが、
  明確に定義されているわけではありません。
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by am-bivalence | 2007-02-01 23:07 | 人間ドラマ | Comments(0)