劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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<   2007年 04月 ( 4 )   > この月の画像一覧

 なぜか観た誰もが過去を振り返ってしまう、肉親との愛情物語  公式サイト

 東京タワー、長いこと行ってないなあ。
東京タワーって都心にある割にはアクセス悪いんですよね。
最後に行ったのは十年以上前だったと思います。
 子供の頃、家族で行った時は、階段を使って展望台に登るコースがありました。
鉄骨の間から下がのぞき見えるようで、怖くて行けませんでした。
大人になってから東京タワーへ行ったとき、挑戦しようと思ったのですが、
もう閉鎖されていて、一般は入れないようでした。

  「スタンド・バイ・ミー」や「三丁目の夕日」を観て 子供の頃を思い出すように、
この映画を観ると、誰もが我が身を振り返ってしまうようです。
私も、子供の頃のことや、親のことを思い出し、
親孝行どころか親不孝していることを考えて、ちょっと複雑な想いでした。

 私はまだ原作を読んでいないのですが、
松尾スズキの脚本は飄々としていて、笑いや涙も力が抜けた、自然体です。
だから、号泣させてくれるというわけでもありません。

 オカンもボクも、お金には苦労していたはずですが、
そういったことはさらりと流しています。
 オカンとオトンの関係は微妙で、
別居しているのですから、愛憎あっていいはずなのに、
そこには触れず、愛情のみに焦点をあてています。
 そんな、いい思い出だけ残った昔の記憶のような映画だから、
純粋に、肉親の無償の愛情、無条件の信頼を
思い起こさせてくれるのではないでしょうか。

 オカンの抗癌剤治療は痛ましく、
親にあんな思いをさせたくなかったという苦しみが胸を打ちます。

オカン役の親子共演も話題ですが、二人を比較するのは酷でしょう。
樹木希林の存在感は別格です。
                   (☆☆)
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by am-bivalence | 2007-04-21 10:31 | 人間ドラマ | Comments(0)
 社会派っぽいアイテムを散りばめた、四つ巴ダイヤ争奪アクション  公式サイト

 前回観た「ブラックブック」では物語の始めに、
資産家の娘だったヒロインが国外脱出のため、
預けていた資産を受け取りに行くシーンがあります。
 そこでドル紙幣と供に受け取るのが、
一袋のダイヤの原石でした。

 ユダヤ人とダイヤには大きな関連があります。
各地で迫害を受けていたユダヤ民族は
組合のある産業に就くことができず、
働き口は組合の無い職業に限られていました。
その一つがダイヤ加工業だったそうです。
(以上、「ブラックブック」パンフレット受け売り)

 やがてダイヤ流通は20世紀初頭、
ユダヤ系資本を後ろ盾にしたデビアス(De Beers)社に独占されていきます。
 といっても、その体制は磐石ではなく、
1980年頃には、イスラエルのダイヤ産業との競合で価格が暴落したりしています。
(ユダヤ系資本も、決して一枚岩ではなかったわけです。)
 それでも、今もデビアス社の独占体制は続いていて、
それがダイヤの高値安定を維持させる状況を作っています。
 デビアス社が生産調整しなければ、世界のダイヤ生産量は今の何倍もあるそうです。
ダイヤは日本で思われているほど、宝石として希少価値はないらしいのです。
(以上、ネットでちょっと検索した結果。
今の時代はネットで簡単に調べられていいですね。)

 「婚約指輪は給料の三か月分」って、
世界共通のキャッチ・コピーだったんですね。
(もちろん、これもデビアス社製)
 映画の中で、ディカプリオがこのコピーを口にします。

 本作でディカプリオは、過酷なアフリカ社会をサバイバルしてきた、
元傭兵のダイヤ密売人を好演しています。
前半のやり手ぶりと、後半に見せる人間味が
結構、ディカプリオの雰囲気にマッチしていて、
これまでで一番魅力的ではないでしょうか。

 ジェニファー・コネリーは、危険地帯を渡り歩くジャーナリストにしては
綺麗すぎるように思いますが、やっぱり魅力的です。

 ジャイモン・フンスーは、家族を取り戻そうと奔走しますが、
自分の命さえ危ういのに、そこまで家族を探そうとするか?
と、ちょっと引いてしまいます。
 アメリカ映画では、それほど命懸けで家族を守るキャラクターが好まれるんでしょうか。

 紛争ダイヤが生まれる状況を広く知らしめたこの映画、
まずは知ることが大切なのでしょう。

 ダイヤ業界は紛争ダイヤをめぐる非難を恐れたのか、
03年からダイヤの出所を明確にするキンバリー・プロセスを導入します。
ただそれもまだ完全に機能しているとは言えないようです。
アムネスティHP参照)
キンバリー・プロセスが形骸化した免罪符にならないことを。
単純な不買運動では問題は解決しないのです。


(以下、ネタバレ)
 ジャーナリストのジェニファーと密売人のディカプリオが
互いに惹かれあいながらも、結局ラブシーン無しなのがよかったです。
そうしたことで、より精神的結びつきが強調されたように思います。

 最後で使う脱出手段、往路でも使えば
簡単にダイヤを取りに行けたのでは?と思うのは私だけでしょうか。
                                  (☆☆
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by am-bivalence | 2007-04-15 00:07 | サスペンス・スリラー | Comments(8)
 敵味方混濁する娯楽サスペンス佳作  公式サイト

 オランダ出身のポール・バーホーベン監督を有名にしたのは、「ロボコップ」でした。
得意のバイオレンス描写が、B級SFアクションにマッチしていただけでなく、
娯楽映画にアイデンティティ探しを盛り込んで、作品に深みを持たせました。
超人的能力を持った(持たされた)ヒーローの孤独を描いた点では、
後の「スパイダーマン」シリーズに通じるものもあります。

 その後も「トータル・リコール」、「氷の微笑」といったヒット作を造りますが、
「ショーガール」ではラジー賞を貰ってしまったりもしています。
ラジー賞では実際に授賞式で賞を受け取ってみせるという、
独特のユーモアと気骨のあるところを見せました。
(ハリウッドでは、ラジー賞を取ると本当にギャラが下がるそうです。)

 そんなポール・バーホーベン監督が、
ハリウッドから引き揚げていたのをこの映画で知り、驚きました。
監督は、ハリウッド映画の制約を疎ましく思っていたようです。
ハリウッドではSFばかり撮っていましたが、
実は、もともとSF映画は好きでなかったらしいのも一因なのでしょうか。

 さておき、バーホーベン監督オランダ復帰作は、初心に戻り、
オランダ・レジスタンスの暗部を扱ったサスペンスでした。
 得意のバイオレンス、エロティックシーンは少ないものの、
生理的嫌悪感を刺激するような描写は健在で、めりはりある効果を上げています。
ヒロインは創作ですが、出てくるエピソードは史実に基づいているそうです。
ユダヤ人迫害を扱っていても、人種問題には深入りせず、
あくまで、サスペンス娯楽作品として仕上げているのが、
バーホーベンらしいところでしょうか。

 レジスタンスの中にいる裏切り者は誰か、というのがプロットの軸になるんですが、
味方の中に敵がいるだけではありません。
ナチ側にもレジスタンスに理解を示す人物がいたり、
終戦後もナチ残党やナチ協力者が解放軍に取り入っていたり、
戦犯収容所で虐待行為が行われたりなど、
二元論的に善悪を分けていないところにリアリティを感じさせます。
 ただ、正体が明らかになった裏切り者が、
結局、悪人ぶりをみせているのは、ちょっと残念ですが。

 大戦では被害者だったユダヤ人が、中東では紛争を起こし加害者となっているのを
ラストカットが暗示しているようで、善悪混沌とした、この映画らしい終わりかたでした。
                                      (☆☆
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by am-bivalence | 2007-04-09 22:42 | サスペンス・スリラー | Comments(2)

screen21 蟲師

 やっぱり、餅は餅屋になのか  公式サイト

 私が学生の頃、漫画家志望の友人が、
 「すごい漫画家がいる」
と言って一冊の単行本を見せてくれました。
大友克洋「ショート・ピース」でした。

 大友克洋は、その正確無比なデッサン力とシャープなタッチで、
リアルに人物、風景を描き、デビュー以来、漫画界に多大な影響を与えています。
 その画力が当時も今も、圧倒的であるだけでなく、
氏の描く世界も、現実を細かく描写することで、
超現実的な世界をリアルに感じさせる、個性的なものでした。

 やがて氏の活躍の場は漫画から
「AKIRA」、「MEMORIES」などのアニメへと移っていきます。
そこでもリアルな絵と、リアルに超現実的世界を見せる手腕は衰えず、
ファンを楽しませてくれました。

 その大友克洋が実写を撮る、しかも人の漫画を原作にして。
これは注目しないわけにはいきません。
 ですが。。。

 蒼井優演じる淡幽の活躍シーンはよかったです。
文字を新体操のリボンのように操るイメージは、さすがです。
音響効果も悪く無かったです。
 でも。。。

 出てくる日本の自然は、リアルといえばリアルですが、
美しくないのです。
もっと美しい風景が、日本には幾らでもあるし、美しく撮れるんですが。

テンポも緩めで、「AKIRA」や「スチームボーイ」で見せた勢いは無いです。

江角マキコの役柄が難しいのは判りますが、演技が浮いてます。

ラストは私の理解力が足りないのか、どう決着がついたのかよく解りませんでした。

 。。。残念です、大友先生。

 今まで何人か、メジャーなアニメ・クリエーターが実写映画を手がけていますが、
成功しているとは言い難いものばかりのような気がします。
 絵を描くのと、カメラで撮影するのとは、別物なんでしょうか。
                            (☆☆)
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by am-bivalence | 2007-04-02 22:02 | ファンタジー | Comments(2)