劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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<   2008年 03月 ( 3 )   > この月の画像一覧

 意外に斬新さを感じないが、良くできたエンターテインメント 公式サイト

 同じ出来事を何度も繰り返す複数視点の映画といえば、
私が思い出すのは「閉ざされた森」とか、「ラン・ローラ・ラン」とか。。。
最近では「アヒルと鴨のコインロッカー」もその部類でしょうか。
これらの映画は同じ事件を繰り返しても、
それを語る人物の主観や嘘が入っていて、
同じ事実が微妙に異なっていました。

 でも「バンテージ・ポイント」はちょっと違います。
映像で見せる事実は皆同じです。そこに主観や嘘はありません。
でも、人物によって知る事実が違ってくるので、
観客は最後に事件の全容が分かる構成になっています。
ちょっと変わった映画ではあります。

 ただ実際に映画を観ると、思ったほど斬新さを感じなかったのが残念です。
それは複数視点といっても、
完全に登場人物の視点になっていないからのように思います。
 たとえば大統領狙撃後、広場で起こる爆発は、
常に広場上空から爆発を捉えたカットが入ります。
それが、複数の人物それぞれからの視点というより、
同じ映像を繰り返し見せられているように感じてしまい、
途中ちょっと飽きてしまう原因となっています。

 それでも後半、大統領の視点でストーリーが進むと、
事件の舞台裏が明らかになってきて、物語が俄然面白くなってきました。
シークレット・サービスの主人公がモニターを見て
陰謀の真実に気付く場面も良く考えられています。

 また、「ボーン・アイデンティティー」のように小型車を使った
後半のカーチェイスは、なかなかスリリングでした。
 最近の映画はカーアクションを派手にしようとするあまり、
その程度の目的のために、そこまで命懸けでやるか?と思う事が多いのですが、
この映画のシチュエーションは、捨て身で追いかけるのに無理がないので、
カーチェイスに入り込めました。

 とにかく細部までかなり練られた脚本で
楽しませてくれる娯楽作品でした。
               (☆☆☆)
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by am-bivalence | 2008-03-27 22:55 | サスペンス・スリラー | Comments(2)
偉大な姉、アニー・リーボヴィッツを讃える映画 公式サイト

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 アニー・リーボヴィッツはローリング・ストーンズの表紙で注目され、
暗殺される直前のジョン・レノンの写真などで知られているそうです。
 私はカバー、グラビアのような商業写真にはあまり興味がなくて、
彼女を知らなかったのですが、
話題になったデミー・ムーアの妊婦ヌードは見憶えがあります。

 最近のアニー・リーボヴィッツの作品は
古典絵画のような画造りのものがあり、
映画では、その実際の撮影現場を垣間見せてくれます。
 彼女が撮ったセレブ達へのインタビューも、
その写真の撮られた経緯の一端が分かって興味深いです。
 ただアニー自身は、自分の作品や自分自身について多くを語っておらず、
映画は、彼女の発想がどこから来るのか、
どういう意図からそのような写真になったかといった、
作品の本質を解明してくれるわけではなさそうです。
 そういえば、彼女の撮ったセレブ達の写真も、
私には、対象の本質に迫るというより、
彼らのイメージをちょっと違った視点で演出する、といったもののように思えます。
だからセレブ達にも受けが良いのではないでしょうか。

 また映画では、彼女の経歴の中でスキャンダラスな面、
「恋人」スーザン・ソンタグとの関係や、
ローリング・ストーンズ誌時代、ロックスターに密着取材することで、
ドラッグにはまっていってしまったことなど、
隠しはしないものの、深く掘り下げることもなく、
人間、アニー・リーボヴィッツ像が理解できるわけでもありません。

 この映画を撮ったのはアニーの実妹、バーバラ・リーボヴィッツ。
アニー・リーボヴィッツのグラビア写真のように、
”敬愛する偉大な姉、アニー・リーボヴィッツ”のイメージのプロモーションとも取れる、
賛辞映画に止まってしまっているのが、物足りないところです。
                             (☆☆)


 *今回、公式サイトにブログ用写真が掲載されていましたので
 使わせていただきました。
 著作権にうるさい昨今、こういう配慮はありがたいです。
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by am-bivalence | 2008-03-14 21:51 | ドキュメンタリー | Comments(2)

screen56 転々

 監督の嗜好がこじんまりとまとまった、妙に心地良い映画 公式サイト

 この映画の公式サイトURLは「tenten」でなく
「tokyosanpo」になっています。
東京散歩、ここがミソ。

 借金の取立人と、取り立てられる大学8年生の東京散歩。
彼らが巡る東京は、猥雑でサブカルチャーっぽい新宿だったり、
昭和の頃のような甘味処だったり。
 監督の趣味が表れています。
後半、ジェットコースターを乗りに行く遊園地は
豊島園でも後楽園でもなくて、花やしきです。
 出発地がちょっとおしゃれな感じがする吉祥寺よりも、
荻窪か高円寺辺りだったら更に完璧だったでしょう。
 
 そんな、のほほんとした東京散歩とともに語られるのが、
日常の些細なことをネタにした、ゆるい雰囲気の脱力系コメディです。
街で岸部一徳を見かけるといいことがあるとか、
島根に旅行した時、寒さのあまりラーメンが食べたくなって
町に一軒しかないラーメン屋に行った話とか、
カレーは一晩置いたものがおいしいとか、
日曜の最終バスの寂しさとか。。。
ゆるい。。。
ゆるいけど、つい、くすっと笑ってしまいます。

 これだけだったら中だるみしてしまうのですが、
映画に一本、緊張感を与えているのが
借金の取立人、福原が妻を殺してしまったという事実です。
 妻の浮気を知って思わず殺してしまった事を
自首しに行くのが散歩の最終目的なんですが、
自首する前に発覚してしまいそうになるハラハラ感が
飽きずに映画に常に注意を向けさせていて、うまいです。

 そして出色なのが後半、小泉今日子演じる
麻紀子の所に転がり込み、計らずも擬似家族を演じる様子です。
擬似のはずのに、アットホームなこの雰囲気が
不思議とほんわりと心地良いのです。

劇的などんでん返しがある訳でもなく、あっさり終わってしまうエンディングも、
落ちのないような小ネタを集めた、この映画らしいのではないでしょうか。
                       (☆☆)
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by am-bivalence | 2008-03-08 00:25 | コメディ | Comments(2)