劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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<   2008年 06月 ( 6 )   > この月の画像一覧

 冒険活劇の先駆、インディ・シリーズの新作を観れた幸福を喜ぶべき 公式サイト

 ダイハード、ロッキー、ランボーと、
往年の人気シリーズの新作が続いていますが、
ついに大御所登場です。
 いや~、予告編のレイダース・マーチや鞭の音を聞いて、
ワクワクしていました。

 今回の主な舞台は南米。
これまで同様、テンポ良くアクションが進んでいきます。
オカッパ頭のケイト・ブランシェットがなかなかカッコイイです。
 しかし評判は今ひとつ。。。
やはり、リアルタイムでこのシリーズを観てきた人には、
ルーカス、スピルバーグのネームバリューもあって
期待し過ぎちゃうんですよねえ。

 確かに今時の娯楽映画としては凡庸かもしれません。
でも、旧三作をテレビで見ていて思いました。
 昔もこんなものだったじゃない?

ばっさりと話の経過を省略してしまう展開、
アリエネ~と突っ込みたくなるような奇抜なアイディア、
この、物語の整合性よりもテンポ、
リアリティよりもビジュアル・インパクトを優先させる手法は
昔と変わっていないのです。
それはルーカスが復権しようとした冒険活劇の手法でした。
このエンタテイメントの面白さが、ハリウッド映画の流れを変え、
主流となっていったのです。
その結果、幾多の活劇が作られ、より観客を楽しませようと
あの手この手の仕掛けが練られていきました。
 インディ・ジョーンズの新作は
冒険活劇の老舗の暖簾に胡坐をかいたわけではなく、
客の舌が肥えてしまったのでしょう。

 「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」は、
ルーカス、スピルバーグというオリジナルのコンビで、
ハリソン・フォードでなければ演じられないインディ・ジョーンズというキャラクターを
再度見せてくれたことを喜ぶべきです。
言ってみれば、王、長嶋がペナントレースに復帰したようなもの。
ジーコ、マラドーナが再度グランドでボールを追いかけるようなもの。
セナが蘇って、プロストとモナコを走るようなもの。
 多くの映画ファンが、インディ復活の夢が叶ったことをスクリーンで確認して、
ある種の感慨を持ってしまうんじゃないでしょうか。
                 (☆☆)

 *書くのがちょっと負担になってきました。少し休みます。
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by am-bivalence | 2008-06-28 00:11 | アクション | Comments(4)
 フェアトレードの必要性を見せてくれるドキュメンタリー 公式サイト

 1杯330円のコーヒーのうち、コーヒー農家の取り分は3~9円。。。
これを聞くと驚くでしょうか。
公式サイトのトップにはそんな図が出てきます。
映画パンフレット添付の注意書きによると、
これはイギリスの公式サイトからの転載で、
日本の場合はちょっと違い、
東京では、コーヒー一杯の平均価格は419円、
うち、コーヒー農家の取り分は1.7円(0.4%)と、更に少なくなっています。
コーヒー輸出入業者部分が8.7%、残りが喫茶店の分です。
 ただ、これは1998~99年の調査で、2002~2003年のコーヒー危機では
コーヒー価格の0.1%=0.42円程度と、もっと低下したそうです。

 コーヒーの材料原価率が10%程度なのは、
飲食業ならばそんなものかな、と思います。
コーヒー農家の売り上げは、為替レート差があるので、
円で考える感覚とは違うと思いますが、
映画の中で採算が取れずにコーヒー栽培を止める農家が増えているのを見ると、
やはり安すぎるのでしょう。
 (映画でコーヒー栽培の代わりにチャットという
麻薬栽培をする農家が増えているとありましたが、
チャットを麻薬とするのは、やや違和感があるようです。
 エチオピアでは覚醒作用のある一般的嗜好品のようなものらしく、
何時間か噛んで、ほんのり効果が表れる程度で、依存性はないようです。
南米のコカの葉や、噛みタバコのようなものでしょうか。)

 映画の原題は"BLACK GOLD"。これ、もともと石油の比喩らしいんですが。。。
映画はエチオピアのコーヒー農協のブローカーが
コーヒーをもっと高く買ってもらおうとする活動を中心に、
エチオピアのコーヒー栽培の実情を追っています。
 映画でエチオピアの窮状は解るのですが、
アンフェアな貿易システムでコーヒー栽培者が搾取される構造は
もうひとつよく見えてきません。
結局、生産者とは全く関連ないニューヨークやロンドンの先物市場で、
投機的動きで価格が決定してしまうところに根があるようです。

 この映画の示す問題が行き着くところは、フェアトレードです。
途上国からの搾取的交易を是正し、共存共栄を目指す、
フェアトレードというムーブメントはヨーロッパで始まったそうです。
その歴史は意外と古いんですが、私が知ったのは5~6年前でした。
フェアトレードの理念は解るのですが、
ではどうやって価格を決めるのか、
保護貿易に繋がっていかないかと疑問に思ってました。
 しかし映画で、コーヒー生産者の苦しい生活や、
飢餓と隣り合わせで食料支援で暮らしているエチオピアの実態を知ると、
フェアトレードの必要性を痛感します。

 フェアトレード活動が行われているのはコーヒーだけではありません。
チョコレートのカカオ、綿など、いろいろあります。
そういったことを知らしめ、考えさせてくれるのには意義のある映画でした。
                              (☆☆☆)
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by am-bivalence | 2008-06-22 21:54 | ドキュメンタリー | Comments(0)

screen70 ヒトラーの贋札

 重い史実にフィクションを加えエンターテイメントにしたサスペンス 公式サイト

 (以下、ネタバレ)
 この映画はエンドタイトルの最後で原作者について触れています。
事前になにも情報を持たずに観ていたので、
その名前を見てちょっと驚きました。
原作者が映画の主人公で好意的に描かれていたサリーでなく、
収容所でトラブルメーカーになっていたブルガーだったからです。

 この映画は、実際に収容所で贋札造りに加担させられた
ブルガーの体験記を基にしていますが、
いろいろ映画的にフィクションを加えているようです。
原作を読んでいないので、詳しくは分かりませんが、
映画プログラムにブルガーのインタビューが載っていて、
その中でフィクションの部分について触れられています。
 インタビューを読むと、映画は基本的に史実ですが、
収容所内のエピソードの幾つかはフィクションであるのがわかります。
 実際のブルガーは映画で描かれたように
あからさまに抵抗したわけではないそうで、
そんなことをしたら、すぐ殺されていたと語っています。
 この辺りに、映画の意図が伺えます。
自分達が生き延びる事と、贋札によってナチに協力することの
ジレンマを強調したかったのでしょうが、
実際の収容所生活は、偽造がナチへの協力になることが分かっていても、
生き残ることに懸命で、悩む余地はなかったのでしょう。

 また、収容所を解放したのはアメリカ軍だったそうで、
ドイツの敗戦にまぎれてユダヤ人収容者が蜂起するのもフィクションのようです。
自分達がユダヤ人である証拠に識別番号の刺青を示すのも
うまい演出、ということでしょう。
 ナチ支配下では非協力的なブルガーが
仲間を危険に曝していると非難されていたのに、
開放後はナチに抵抗した勇士として祭り上げられるのも、
戦後の混乱や人間の変わり身をよく現しているように思います。
 史実にフィクションをブレンドして、サスペンスフルな映画として観せてくれました。
                                  (☆☆☆)
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by am-bivalence | 2008-06-21 17:39 | 人間ドラマ | Comments(0)
 三谷監督、最高傑作?  公式サイト

 コメディ映画を劇場で観るのは楽しいです。
どっと笑いが起こる雰囲気は、
野球を観に行ってヒットが出た時に湧き上がる歓声に似ていて、
みんなで楽しんでいる一体感を味わえます。

 三谷幸喜脚本のコメディは嫌いじゃないです。
監督作品の「ラヂオの時間」、「みんなの家」、「有頂天ホテル」
みんな観てますし(主にTVですが)、脚本の「笑いの大学」も、観に行きました。
シュチュエーション・コメディにこだわった脚本は、日本では稀有の存在です。
 でも、この「ザ・マジックアワー」を最高傑作と宣伝しちゃっていいんですかねえ。
あまり大見得切って失望させると、次回作で困ると思うんですけど。。。
 まあ、コメディですから。しゃれで受け流しておきましょう。

 ラジオドラマ、建築、ホテルとそれぞれの裏側を題材にしてきた三谷監督。
今回は映画なんですが、映画制作の裏側というより、
監督の好きな洋画のオマージュを作ってしまった感じです。
舞台の雰囲気は60~70年代の洋画そのもの、
「お熱いのがお好き」の名セリフがさりげなく言われたりします。
前作「有頂天ホテル」のキャラが出てくるのもご愛嬌。
出演者が豪華なのも特筆です。
 でも、ギャングのボスから逃れるためなら、映画撮影なんて大嘘つくより、
夜逃げしたほうがずっと簡単なような気がしますが。。。
映画撮影と偽ることを映画一本のストーリーとして引っ張るのは、
ちょっと苦しかったんじゃないでしょうか。
いつ嘘がばれるか、のハラハラ感より、
これだけ怪しげなのに、なんでこいつら気が付かないんだ、
のイライラ感の方がつのってしまうのです。
 まあ、コメディですから。。細かいツッコミは野暮でしょう。

 三谷監督得意のコメディは、さすが、相変わらず手馴れたものです。
冒頭で情事を弁明させられるシーンや、
ボスの前で偽デラ富樫がすごむシーンは笑わせてくれました。
 でも、最後まで観ると、前作よりちょっと笑いが少ないような。。。
やっぱり、イライラ感が笑いを邪魔しているような気がします。
最後の大仕掛けを使ったオチも、あまり意外性がなくて冴えません。
 まあ、コメディですから。。。って、そこはまずいでしょう。
                            (☆☆)
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by am-bivalence | 2008-06-14 01:01 | コメディ | Comments(2)

screen68 ペネロピ

 現代的「お姫様」像に好感のファンタジー  公式サイト

 「みにくいアヒルの子」って童話、好きじゃないんです。
他と違ったアヒルの子が、どこでも醜いと言われていじめられてしまうだけれど、
成長すると美しい白鳥になった。。。っていうお話。
 醜いアヒルの子は結局美しくなることでしか、救われないのでしょうか。
醜いままだったら、アヒルの子には価値がなかったのでしょうか。

 「美醜」を問題にしているのではないのです。
容姿に限らず、誰でも何かしら欠陥があるしょう。
才能や能力にも人それぞれ長短があって、
人によって出来ること、出来ないことがあるはずです。
それでも、そんな自分と折り合いをつけて、
何とか生きているのが普通の人だと思うのです。

 アヒルの子は醜いなら醜いなりに生きる方法はなかったのでしょうか。
アヒルの子は醜いままですが、他より遠くまで飛べるとか、
仲間に献身的だとかで、認められて生きていくなら、いい話だと思うのですが、
”醜い”という自分ではどうしようもないことで悩んで、
結局 ”美しく”なったことが救いなら、
多くの人は救われないんじゃないでしょうか。

 長々と「みにくいアヒルの子」批判をしてしまいましたが、
「ペネロピ」を観た人ならば、なぜこんな話を書くのか解ってもらえると思います。
「ペネロピ」は、「みにくいアヒルの子」への疑問にひとつの答えを示していました。
 呪いで豚の鼻と耳を持って生まれてきたペネロピは、
結局、呪いを解いてくれる王子様を求める生き方をしませんでした。
ペネロピが両親の保護からも離れて自立しようとするのも、現代的で共感できます。
ビアジョッキからビールをストローで飲む姿もキュートでした。
 大人が、特に若い女性が、楽しめるファンタジー映画だと思います。
                                   (☆☆☆☆)
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by am-bivalence | 2008-06-08 00:44 | ファンタジー | Comments(0)
 目的のためにはプライドも捨てる男の執念と孤独  公式サイト

 昔、「ダラス」ってアメリカTVドラマがありました。
テキサスの石油王一家内での愛憎劇なんですが、
一家の中心となる男、JRのワルぶりが売りでした。
と言いながら、私はほとんど観たことなかったんですけど。。。(^^;
石油業界では、JRのような強引な男はさほど珍しくないようです。

 石油採掘は利権と巨額の資金が動く、生き馬の目を抜くビジネス。
かなりアクの強いツワモノ達がひしめいているらしいです。
そういえば、「アルマゲドン」で彗星を破壊しに行く男達も石油掘削業の荒くれでした。
 だから、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」の主人公ダニエル・ブレインヴューが
強欲ぶりが喧伝されても、それほど意外性はありませんでした。
ましてブレインヴューは、石油の前に金を掘っていた正真正銘の山師であり、
成功への執念が人一倍強くても不思議ではありません。

 しかし宣伝ではダニエル・ブレインヴューが欲にかられて
人間性が変わっていくような印象を受けますが、
実際に映画を観ると、私にはブレインヴューが自分を見失っていくような
物語には見えませんでした。

 確かにブレインヴューは強引で、時に気性の荒さを見せます。
目的のためにはプライドさえ捨てる執念を持っています。
でも彼のスタンスは最初から一貫していて変わることがなく、
意外にもマトモな人間に見えるのです。
特にダニエル・デイ=ルイスが演じると、飄々としたキャラクターが付加して、
とんでもないことをしても、どこか憎めない男のように感じてしまいます。
(私は彼を見て、無責任男の植木等を連想してしまいました。)

 それに、掘削中の事故で耳が聞こえなくなった息子を、
ブレインヴューが冷酷に見捨てるように言われていますが、
劇中、最初に裏切ったのは息子の方です。
気性の激しいブレインヴューにしてみれば、
精神的に錯乱していたとしても、愛する身内の背信行為が
許せなかったのは当然でしょう。
 これは腹違いの弟を名乗る男に対しても同様で、
裏切られたと判れば、彼は言った通りの報復をしたのです。

 ブレインヴューは自分の欲望にとり付かれ、他人を全く信じなくなった男ではなく、
むしろ、信頼できる身内を欲して裏切られた、孤独な男に見えてくるのです。
その孤独は「ジャイアンツ」の石油成金、ジェット・リンクにも共通したものでした。
                               (☆☆)
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by am-bivalence | 2008-06-06 21:53 | 人間ドラマ | Comments(0)