劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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<   2008年 11月 ( 4 )   > この月の画像一覧

screen94 言えない秘密

 これは作品の欠陥なのか、伏せられた「秘密」なのか 公式サイト

 ネットでの評判が悪くなかったので、
ほとんど予備知識の無い状態ながら観に行った一本です。

 前半はコテコテの純愛ラブストーリー。
韓流映画を髣髴とさせる演出で、
韓国ドラマにはまった奥様方にはオススメです。
いや、皮肉じゃなく、二人の節度あるベタベタ感、
私は嫌いじゃないです。
ヒロイン、シャオユーを演じたグイ・ルンメイがキュートだったから、
というのもありますけど(笑)。
 映像もきれいです。
ロケに使われた音楽学校はジェイ・チョウの母校だそうで、
こんなハイソな雰囲気の(衣装の制服に因るところも大きいんですが)
ミッション・スクール風学校が台湾にもあるんですね。
ジェイ・チョウの育ちの良さが分かる?
校庭にあるヤシの木が唯一、南国を感じさせます。

 問題なのは後半で、
これがネタバレ無しに語ることがほとんど出来ません。
強いて言えば、SFファンタジー的展開と結末が待っています。
(邦画で似たような映画があったなぁ。。。アニメは秀作でした。)
私は途中までシャオユーは幽霊なのかと思っていました。
。。。これだけ書いても、ネタバレ寸前。
 さらに一番の問題はこの映画、観終わると細部に疑問点が数多く残ること。
映画としてけっして悪くは無いんですが。。。
脚本が練り切れていないんじゃないかと思っていましたが、
プログラムを読むと、意図的にあえて説明せず、
「秘密」にしている部分もあるらしいです。
 それが演出として効果を上げているかはさておき、
やはり映画表現的におかしいのではないかと思うところもあって、
もう一度最初から見直さないと分からないというのが正直な感想です。
でも1週間限定上映だったので、もう見直す機会がないし。。。
DVDリリースを待ちましょう。
            (☆☆)

 疑問点について、私なりの見解を下に記しておきます。
たぶん映画を観た多くの人が引っ掛かると思いますし、
自分でも後で細部は忘れてしまうと思うので。
 疑問点に関しては、映画生活>作品情報の掲示板が参考になりました。

 
 !!注意!!
完全にネタバレのうえ、映画を観ていないと何のことだか分からないので、
観ていない人はお読みにならないのが賢明です。

 *疑問点はこちら*
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by am-bivalence | 2008-11-29 01:18 | ラブストーリー | Comments(9)
 素朴な映画作りへの愛情が感じられるコメディ 公式サイト

 中学、高校の文化祭って、どこかしらのグループが
自主制作映画を上映してませんでしたか?
素人の学生が作る映画は、お金の無い分 知恵を絞って作ってあって、
予想外に面白いことがあります。
 私が中学の時、隣のクラスが「桃太郎」を8mmで"映画化"して上映したんですが、
鬼の住む宮殿と称して小田急・片瀬江ノ島駅を登場させ、
大ウケしていました。(ローカル・ネタですみません)
 「僕らのミライへ逆回転」を観ていたら、そんなことを思い出しました。

 「エターナル・サンシャイン」で斬新な映像表現を見せてくれたゴンドリー監督、
今回は映画作りの原点に返ったように、
アナクロな手法の映像表現を楽しもうというコンセプトです。
 磁気を帯びた男がレンタル・ビデオ屋のテープを消してしまい、
自分達で撮り直すってムリクリな設定も、
つまりは、手作り映画をやってみたかったから。
 宮崎駿監督は「崖の上のポニョ」で、
CG映像は面白くないと、手描きにこだわりましたが、
ゴンドリー監督も映像に個性が感じられなくなるCGに
飽きてしまったんでしょうかね。

 だから見どころは、手軽に映画のシーンを再現する工夫。
「ゴーストバスターズ」のすべり棒を滑り降り出動するシーンを
階段の手すりを使って代用したり、
古いフィルムのキズやちらつきを
換気扇と針金をカメラの前に置いて再現したり、
とてもアナログで手作り感いっぱいです。
できた映像はチープでも、映画作りを面白がっている雰囲気が伝わります。

 勝手リメイクを聞きつけて、著作権協会が法外な罰金を請求したり、
最新のDVDレンタル店には映画ジャンルが
「アクション」と「コメディ」の二つだけだったり、
著作権にやたらうるさく、出てくる新作はアクションかコメディばかりという
今のアメリカ映画への皮肉もちょっと効いています。

 ラストは下町人情も絡め、
「ニューシネマパラダイス」を彷彿とさせるようなシーンで、
監督の映画製作に対する愛情が溢れた一本でした。
                       (☆☆)
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by am-bivalence | 2008-11-28 19:33 | コメディ | Comments(0)
いかにもありそうな家族の形に、自身を投影してしまう小品  公式サイト

 「人生は、いつもちょっとだけ間にあわない」
まずこのコピーに、グッときました(笑)。

 兄の命日に集まった家族の2日間を淡々と描いたこの映画、
ドラマチックな展開があるわけでもなく、ごく日常的風景を追っているんですが、
会話の面白さもあって、2時間飽きさせませんでした。
 派手なアクションがあっても途中で眠くなるような映画があるなか、
これはちょっとすごいことかも知れません。

 出演者が樹木希林、原田芳雄、阿部寛、YOUと、個性の強い役者ぞろいで、
劇中の人物を見るというより、
演じている樹木希林、YOUを見ているように思えてしまうんですが、
とてもありがちな家族関係には、つい自分の家族を重ね合わせて観てしまいます。

 誰もが胸に何かしら隠しているのですが、
たまに本音を吐露しても、誰も聞いていなかったり、
途中で遮られたりして中途半端に終わってしまう可笑しさ、哀しさ。
このすれ違いが妙にリアリティーを感じさせます。

 この家族に影を落としているのが、事故で亡くなった兄。
できの良かった兄といつも比較されて鬱屈した弟、
そのせいもあって反発し合う父子。
普段は闊達で普通に振舞っている母も、
実は心の奥底で息子を亡くした喪失感を一番重く抱えていることが
次第に明らかになってきます。
残酷なことを笑みを浮かべながら冷静に語る母親がちょっと恐ろしく、
心の闇の深さを感じさせます。
 既にないもの、過ぎ去ったものに縛られているのは、
人間、案外多いんじゃないでしょうか。
それを"家族の歴史"、"人の歴史"というのでしょうけど。

 過去の延長上に生きているのは、この親子だけではありません。
弟の結婚した相手は子持ちの再婚者で、亡くなった前夫との息子の間には
前夫を含めた関係がまだ息づいているのです。
この関係の中にいずれ現夫である弟が溶け込んでくるであろうことが語られます。
 そうか、家族って"あるもの"じゃなくて、
"築いていくもの"だったんだと、改めて気付かされました。

わっと感動したり、ジーンと胸が熱くなって涙するような映画ではないんですが、
後からじわじわと効いてくる、ボディブローのような映画でした。
                            (☆☆☆)
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by am-bivalence | 2008-11-23 00:24 | 人間ドラマ | Comments(0)

screen89 おくりびと

 抑え目の演出が好感持てる良品  公式サイト

 今は自動車道ができて無くなってしまいましたが、
昔、母の実家には、裏の畑に先祖代々の墓地があって、
盆の法事などは、裏の畑まで親族一同が歩いていって焼香していました。
居間には仏壇がって、鴨居には亡くなった祖父、祖母の遺影が飾ってありました。
昔の日本には「死」は日常生活と裏腹にあって、溶け込んでいたように思います。

 でも現代の都市はどうでしょうか。
近所に葬斎場の計画が持ち上がると、周辺住民が猛反対したりします。
今の街は 快楽原則で出来ていて、
「死」のように不安・不快を感じさせるものは、慎重に拭い去られ、
極力排除しているように思うのです。

 「おくりびと」では納棺師という職業に就いた主人公が
その職業が原因で蔑まれたり、妻に出て行かれる描写があります。
 "人の不幸を商売にしている"、と思われるからかもしれませんが、
職業への偏見が生まれる一因には、現代の日常が快適優先で出来ていて、
「死」は忌むべきものであり、無意識に避けていることにもあるような気がしてなりません。
「メメント・モリ」って言葉が古代からあるように、誰でもいつかは死んじゃうんですけど。

 納棺師という職業があるとは知りませんでしたが、
映画パンフレットによると、どんな葬儀にでも存在するわけではなく、
地域、宗派によって遺体の扱いはいろいろなようです。
葬儀社によっては納棺の儀式がないような場合もあるとか。

 この映画を観ると 納棺師とは、
死者へ敬意を払い、遺体を辱めずに尊厳を守って、
厳かに親しい人との別れを演出する職業のように思えてきます。
まさに「安らかな旅立ちのお手伝い」。
 実際は主人公の最初の仕事のように、いろいろな遺体を扱うのでしょうから、
かなり泥臭い、大変な仕事なんでしょうけれども。

 映画としての「おくりびと」は、観ていると、
「お葬式」、「マルサの女」といった、かつての伊丹映画や、
「それでも僕はやってない」の周防監督の映画を連想させます。
知られざる仕事にスポットを当て、ハウツー的なものを盛り込んだ点です。
食事のシーンなどは、「ひまわり」での描写を思い出します。

 分かりやすいストーリーで、
伏線からこうなるんじゃないかという期待通りに展開するドラマは、
登場人物たちの感情の変化もほぼ自然な感じで、
すんなり受け入れられました。
 葬式という愁嘆場が舞台になるので、深刻になりがちな部分を
ユーモアで和らげています。
そして、この映画は基本的にハッピーエンドで、完全な悪人が出てきません。
 分りやすいプロットとユーモア、見終わってほっとしたような気持ちになれる、
そんな点が海外でも受け入れられたんじゃないでしょうか。

映画の中で
「生き物は生き物を食って生きている」
という台詞がありました。
 これって、もっと言ってしまえば、
”全ての生き物はいつか食べられるために生きている”
じゃないでしょうか。
 食物連鎖の頂点に立つとされる肉食獣も、
死ねばウジや微生物の餌になって分解され、次の命になります。
人が火葬されても、できた二酸化炭素はいつか植物に取り込まれ、
生命のサイクルに戻ります。
 我々が自分自身と思っている肉体さえも、
いつかは分解され、別のものになっていくのです。
 この世界にいつまでも自分のものというものは一つもなく、
全ては借り物なんです。

そう考えると、いろいろな物を所有しようとするって、
ばかばかしく思えないでしょうか?
                (☆☆☆)
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by am-bivalence | 2008-11-10 21:33 | 人間ドラマ | Comments(0)