劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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<   2008年 12月 ( 10 )   > この月の画像一覧

 おかげさまでこのブログ、今年も細々ながら続けられました。
記事を読み、コメント頂いた方々、ありがとうございました。
 さて、という訳で今年もやりましょうかね、2008年のプログラム。

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 今年観た映画のプログラムたち。

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今年はかなり少なくなった、"表紙切り抜き型"プログラム。
「NO ...」のOが切り抜かれてあります。
ハビエル・バルデムの殺し屋は、「ダークナイト」のジョーカー以上に怖かったッス。

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 「おいしいコーヒーの真実」
全体にスマートな作りですが、表紙の裏にはコーヒーのしみが。
これはオリジナルのウェブサイトのデザインからきているようです。

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 周到に練りこまれたプロットで楽しませてくれた「アフター・スクール」はノート型。

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このプログラムは巻末に袋綴じで脚本が付いています。
こういうのはもったいなくて封を切れません。
 じゃあどうやって中身を読むのかというと、

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こうやって読むのです(笑)。意外と読めます。

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「スピードレーサー」はカッコいいマッハ6号のペーパークラフト付。
こういうのはお子様に嬉しいアイテムですけど、やっぱり、もったいなくて切れません(笑)。

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 「西の魔女が死んだ」はまいの修行ノート付。
表紙裏には魔女修行の心得が書かれています。
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何でも自分で決めて最後までやりとげる!。。。おばあちゃんの教えが今更ながら身にしみます。
はい!がんばります!!

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 今年一番オシャレだったのが「つぐない」の装丁。
表も裏も真っ白で、印刷は一切無く、
タイトルと模様を浮き彫りで付けています。
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 映画のプログラムってよく考えると高いよなあ。。。と、
今頃思い始めていましたが、
極めつけはこの「羅生門 デジタル完全版」のプログラムと称するリーフレット。
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「羅生門」公開時のプレスシート復刻版が付いて、
この二つ折りの2枚の紙が600円!ボッタクリや!

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「アラビアのロレンス 完全版」では1963年映画公開時の
復刻版プログラムが売っていました。
右が復刻版、下になっているのは81年リバイバル時のプログラム。
公開時のほうがアートしてます。
中身も折り込みページや切抜きページがあって、
昔のものとは思えない豪華で凝った作りです。

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 番外。今年買ったのではないんですが、
「かもめ食堂」のプログラムは旅行カバンの形で遊び心いっぱい。
 中にはミドリさんが書いていたかもめ食堂のメニューとか、
シナモンロールのレシピとかが載っています。
ファン必携ですぞ。

 以上、2008年のプログラムでした。
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by am-bivalence | 2008-12-27 22:15 | 映画鑑賞 | Comments(4)
 青年の崇高な夢とその挫折を描いた、不朽の名作  公式サイト

 映画ファンなら誰でも、"生涯ベストワン映画"というものがあるのではないでしょうか。
"生涯"はちょっと大げさかもしれませんが、今まで観てきた中で
一番よかったと思う映画。。。私もあります。
 それがこの「アラビアのロレンス」です。

 映画「アラビアのロレンス」は、
T.E.ロレンスという実在の人物を描いた伝記映画であり、
砂漠の民を率いて戦った英雄物語であり、
第一次大戦での砂漠の戦闘を描いた戦争スペクタクル映画でもあります。
でも私は「アラビアのロレンス」は、"青春映画"だと思っています。
一人の青年が抱いた理想と夢、そしてその挫折を描いた青春映画だと。
(挫折する映画が好きだとは、我ながら屈折しているかとも思いますが(苦笑)。)

 ロレンスの描いた夢は、アラブ民族に自由と融和をもたらすことでした。
十字軍に傾倒し、若い頃から考古学調査で中東を巡り、
厳しくも美しい砂漠とそこに住む民に親しみを感じたロレンスは、
当時、大国に支配されていたアラブを独立させることに注力します。

厳しい自然の中で生きるベドウィンは、
砂漠で置き去りになった者は仕方なく見殺しにするしかなく、
部族間の争いも絶えず、殺人も厭いません。
 ロレンスはそんな現実に果敢に抗って、
砂漠に取り残された仲間を救出に行き、
部族抗争を抑えるために自ら手を下すことまでします。
潔癖なロレンスは、第一次大戦下の軍属でありながら流血を嫌っていたのですが。。。
 慕ってついてきた少年達を力及ばず砂漠で失った時には
少年のように心を痛めるロレンス。
(ただし、彼の反応は彼の別面も含めてであるのが後に分かってきます)
そんな人間像は「風の谷のナウシカ」のナウシカを見るようです。
(と言うより、ナウシカにロレンス像の影響が見えると思うのですが)

 ただこの映画のすごいところは、そこにとどまらず、
人間ロレンスを高潔な君子のままで終わらせなかったことです。
アカバ攻略までなら普通の英雄物語だったのですが、
映画は更にロレンスの複雑な内面に踏み込み、
そこからある種、普遍的な人間像も浮き出してみせるのです。

 例えば、映画最初でロレンスはベドウィンの案内人とこんな会話をします。
イギリスは肥えた土地に肥えた人々が住む国だと言うロレンスに対し、
ベドウィンが、でもあなたは太っていないと言うと、ロレンスはこう答えます。
 "No, I'm different.(そう、僕は違う)"
 何気ない会話ですが、
これはロレンスがちょっと変わり者である自分を自嘲しているとともに、
自分が人とは違う何者かなんだという、若者らしい気負いを
端的に表したセリフではないでしょうか。

(以降、ネタバレを意識せずに書いています。気にされる人は飛ばして下さい。)

 また映画冒頭ロレンスがやって見せる、火の着いたマッチ棒を持ち続けるという特技は、
私はロレンスの"精神は肉体の限界を超えられる"という信念を
表しているんじゃないかと思います。
これは映画後半で「水の上でも歩いてみせる」といった、
彼の超人願望とでも言うべき言動、行動に繋がっていきます。
それは異常さを通り越して、滑稽でさえあります。
 デラアでの事件で自分も普通の人間であると思い知らされた時、
その願望の反動が、彼が壊れていくきっかけにもなるのです。

 映画は更に彼の心の奥に潜んだ闇にも触れています。
部族間の争いを招いた部下を自ら処刑したことを、
後に彼はカイロで「処刑を楽しんでいた」と告白しているのです。
自分の奥底にある暴力性に戸惑うロレンス。
私にはそれは、彼固有の異常性ではなく、彼のイノセントさからくる、
自分にも本能的な暴力の衝動があったことへの恐れと思えるのです。
 高潔さと奥底にあるダークさ、自意識過剰、自己陶酔、
才気を自覚するがゆえの高慢さと、自身の全能感から起こす無謀な行動、
T.E.ロレンスという稀有で極端な人物像から、
一つの典型的な人間心理が浮かび上がってきます。

 ロレンスの挫折は内面的なものに加え、
社会の現実によって更に助長されていきます。
いつの間にか国家間の駆け引きに巻き込まれ、利用されるロレンス。
(このときのイギリスの二枚舌外交が後々の中東紛争につながっていく)
イギリスを差し置いてダマスカスに入城しても、
部族間のエゴを前にして、疲弊するロレンス。
 最後の戦闘では、「清潔だから」好きだった砂漠を血で穢し、
お気に入りの白い民族衣装を血まみれにするロレンスが痛ましいです。
 理想と現実の大きな壁(老獪な社会の壁)に挫折していく姿に、
年配の人なら60年代の学生運動を重ねたりするのではないでしょうか。

 「アラビアのロレンス」については、まだ語り尽くせませんが、
「アラビアのロレンス」は観るたびに別の見方ができて、新しい発見があります。
それはちょうど、優れた文学が読む年齢によって解釈が変わってくるように、
「アラビアのロレンス」も観る年齢によって見方が違ってくるようです。
名作です。
         (☆☆☆☆☆)
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by am-bivalence | 2008-12-25 23:57 | 人間ドラマ | Comments(0)
 可もなく不可もなく、家族で楽しめる娯楽活劇  公式サイト

 怪人二十面相、名探偵明智小五郎、小林少年に少年探偵団。。。懐かしいですね~。
私が小学校の頃はみんな一度は江戸川乱歩のジュブナイル小説を読んでいて、
これから推理小説ファンになった人も多いはずです。
 映画の予告編を観た時は、乱歩の原作を元にしているのかと思ったら、
北村想の原作があったんですね。私は読んでないですけど。
 北村想の原作を読んでいなくてもオリジナルの読者なら、
遠藤平吉という主人公らしからぬダサい名前を聞いて、
彼がどういう運命を辿るのか、想像がつくというものです。

 映画は北村想の原作を更にアレンジして架空の日本にしてあるそうです。
日本を極端な格差社会にしたのは、昨今の世相を反映しているというより、
社会が乱れていることで、本来悪である盗賊=二十面相に正当性を持たせる
という意味が大きいように見えます。
世相批判にしては、スラムやストリート・チルドレンの描き方がおざなりで、
リアリティがないんです。
 良い子のみなさん、本当は泥棒は犯罪ですからね。

 この映画は観ているといろいろな映画のシーンから、
イイトコ取りしてアレンジしたようなカットが多いのに気付きます。
冒頭、工業地帯を手前にオートジャイロが飛ぶ帝都の俯瞰は「ブレードランナー」。
クライマックスのワイヤーを駆使したアクションシーンは「スパイダーマン」。
途中、「ブルース・ブラザース」かと思うシーンもありますが、
一番多く連想したのは「ルパン三世 カリオストロの城」。
監督・脚本の佐藤嗣麻子氏は宮崎アニメのファンなのか、
「未来少年コナン」を思わせるようなシーンもあります。
そういえばヒロイン羽柴葉子も宮崎駿好みのキャラクターのような。。。
全体にキャラクターの描き方が漫画チックで、分かりやすい作りです。
 まあ、お正月に家族で楽しむにはちょうどいい映画ではないでしょうか。
                          (☆☆)
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by am-bivalence | 2008-12-22 23:46 | アクション | Comments(2)
 家族で立体映像の面白さを楽しめるアトラクション映画  公式サイト

 以前「ベオウルフ」で3D映画に注目、と書いたんですが、
初の本格的長編実写3D映画の触れ込みで公開されている
「センター・オブ・ジ・アース」、観に行って参りました。

 現在の3D上映方式は幾つもあるんですが、
いずれも人間の眼では分からない高速で左右用の画像を切り換え、
メガネのフィルターを通して左右別々に見るという原理です。
今回観たのは偏光フィルターメガネを使うrealD方式。
高速で画像が切り換えられなかった頃は、長時間見るとチカチカして眼が疲れるので、
長編映画には向かなかったそうですが、
技術が進歩した今はrealDの場合、毎秒144コマの高速で切り換えるので、
(左右72コマづつ、従来の映画は毎秒24コマなので その3倍)
チラつきを意識させず、長時間でもかなり眼が疲れなくなっているとか。
 それでも上映時間95分の最後のほうでは少し疲れました。
メガネの上に3Dメガネをかけるという形が影響したのかもしれませんけど。。。

 ちょっと驚いたのは、本編上映前に、
トヨタなどの日本のCMが3D映像で流れたことです。
 3Dカメラで製作しているわけがないので、コンピューター処理で3D化したんでしょう。
ナイトメア・ビフォー・クリスマスもコンピューター処理での3D化ですけど、
あれは実写ではないので、まだ3D化しやすかったんじゃないでしょうか。
画像処理でここまで3D化できるというサンプルです。

 ジュールベルヌの地底探検を題材にしたこの映画、
かなりキワモノっぽく思えますが、ツッコミどころ満載のものの、
アクションアドベンチャー映画として思ったより、楽しめました。
 監督のエリック・ブレヴィグは立体映像の世界ではよく知られた人だそうで、
3D効果をフルに発揮したカットが随所に出てきます。
磁石石の上に乗って空中に浮かぶシーンは
下を覗くと高さが感じられて、身がすくむ感じがしますし、
目の前にヨーヨーが飛んでくるカットなどは
分かっていても条件反射的に目をつぶってしまいます。
立体映像は案外、ホラー向けなんですね。
(そう言えば昔、「ジョーズ3D」とか、「13日の金曜日3D」なんてありました。
ホラーは苦手なので、観てないけど。)

 今のところ3D映像は家庭にインフラがないので、
劇場でしか観れないというのは映画館にとってプレミアムなんでしょうが、
2000円で何の割引も適用できないのは、ちょっと高い。
せめて映画の日は1500円位で観れるとか、
他の映画ほどでなくても、少しはサービスしてほしいものです。
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by am-bivalence | 2008-12-19 00:03 | アクション | Comments(0)
 screen86 母べえ  (公式サイト無し)

 よく"空気を読め"って、時々聞きますけど、
それって、言ってみれば周りに歩調を合わせろってことで、
ファッショな臭いを感じるのは私だけでしょうか。
ブログの炎上現象や、以前あったイラクで拉致された日本人に対するバッシングといい、
メディアの一面的で一律な報道といい、
一斉に同じ方向に向く最近の日本の風潮と、それをおかしく感じなくなっている雰囲気に
危ういものを感じてしまうのですが。
 アンコール上映で観に行った「母べえ」に描かれる人たち、
今の価値観なら当たり前のことを、
太平洋戦争前後の日本が全体主義だった時代に主張して
受難する人たちを観ていると、そんなことを連想しました。
 山田監督らしいユーモラスで人間味あるドラマの
根底に感じられたのは、静かな怒り。
真っ当な事を言っている人達が、時代の波に虐げられて死んでいく姿は、
善良な人たちばかりなだけに、不条理と怒りを感じさせるのです。
 最後に映画の舞台が現代に飛んで、
それまでの物語が今につながる実際のことであるのが強調されるのも、
「たそがれ清兵衛」等の時代劇と共通した演出で、
この映画にリアリティーと重みを感じさせました。
                 (☆☆☆)

 screen87 パコと魔法の絵本  公式サイト

 色彩はどぎついですが、
中島監督は相変わらずカットの一つ一つが凝っていて、
丹念に作られているのは、さすがです。
ただ個性的な映画なのに、役所広司演じる大貫のメイクが
「世にも不幸な物語」のジム・キャリーそっくりなのは、ちょっと残念。
 しかしなぜ中島監督、子供向けのように映画を作ったんでしょう?
内容的に子供に解るのかなあ?と思うようなところも多々あったんですが。
ジュディ・オングの「魅せられて」をギャグにしても、
今の若者だって知らないんじゃないですか。
 現場では厳しいことで知られる中島監督、
たぶん周囲からはかなり恐れられ、煙たがられているはず。
嫌われ者の大貫に監督自身を投影しているようにも見えて、
そう思いながら観ていると、面白いです。
                (☆☆)

 screen88 イーグル・アイ  公式サイト

 映画前半、謎の女性が出す指示が超人的すぎるので、
正体が推測できてしまうんですが、正体が分かってからの展開が
ありがちなんです。(ああ、「2001年宇宙の旅」)
 展開はスピーディーだし、(ただ、スピーディー過ぎて、
カーアクションが何をやっているのか分からないんですけど。)
逃走アクションもそれなりに面白く楽しませてくれました。
                     (☆☆)                 

 screen90 ぐるりのこと。  公式サイト
 
 冒頭、夫の浮気防止のため?「する日」を決めてカレンダーに印をつけ
実行している妻にドキッとさせられます。
そんな几帳面な妻が、娘を亡くしたことがきっかけで精神的に崩れていく姿と
それを支えようとする夫の日常を淡々と描いてるんですが、
セリフが映画のストーリーを進めていくための説明的なものでなく、
あくまで日常会話的で自然なところがいいです。
のほほんとして女好きの夫の役がリリー・フランキーなのもぴったり。
 夫を法廷画家とすることで、殺伐とした時代の世相が
夫婦の物語と平行して出てきますが、
もう一つ、夫婦の話とはリンクしていない気が。。。
9.11以降、世界が殺伐としていくことで鬱病になったという
監督の体験から出た実感なんでしょうけれど。
                   (☆☆)

 screen91 ブーリン家の姉妹  公式サイト

 今が旬な女優2人の共演で注目された歴史物。
アンが実際はメアリーの姉でなく妹だったように、
映画は史実を忠実にたどっている訳ではないらしく、
かなり脚色されているようです。
ブーリン家が積極的に娘たちをヘンリー8世に差し出した事実はないことや、
アンは10代をほとんどフランスで過ごし、フランス宮廷で成長したことなどから、
どうも映画は姉妹の愛憎劇を強調して描きかったらしいのです。
追放されていたアンがフランスから呼び戻されてくる姿などは
さながらヒース・クリフが嵐が丘に戻ってくるような雰囲気です。
 エリザベス1世による大英帝国黄金時代の前史として、
ケイト・ブランシェット主演「エリザベス」とあわせて観ると
母子2代に渡る宮廷内の権謀術数がいっそう分かって面白いと思います。
                             (☆☆)
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by am-bivalence | 2008-12-18 23:15 | 映画鑑賞 | Comments(0)
 年も押しつまって参りました。
サボって書かなかった映画を、この際まとめて出しちゃいます。

screen79 スカイ・クロラ  公式サイト

 ある意味「崖の上のポニョ」とは対極にあるアニメ。
絵は思ったよりきれいですし、
試作迎撃機「震電」そっくりの「散香」はカッコイイですが。。。
 ショーのための戦争とか、死ねない戦士とか、
設定が凡庸なんですよねえ。
 そしてこの世界観。
世界は変化なく永遠に続き、明日は今日の繰り返しでしかない日常。
情報として死は溢れているけど、現実感が伴わない。
 テレビゲームの中のようなこの感覚は、
今の若者の気分を代弁しているのでしょうか。
 押井監督は今の若者に希望伝えたいと言っていますが、
この映画の何処に希望があるのでしょう。
最後に主人公が少しでも現状を変えようと闘いを挑みますが、
その顛末と、エンドタイトル後のシーンは、
やはり繰り返される世界を暗示しているとしか思えないんです。
感じたのはこれまでの押井作品同様、倦怠感と閉塞感でした。
                              (☆☆)

screen81 闇の子供たち  公式サイト

 臓器売買や児童買春など、嘔吐したくなるような現実。
メディアでも扱いにくいセンシティブでセンセーショナルな問題を
正面から取り上げる熱意は買いますが、
その前に、映画としてどーよ?と思ってしまう作品。
 プロットの中心になっていたはずの臓器移植の話は、
結局どう決着したのか、うやむやに終わってしまいますし、
最後の警察介入による解決も取ってつけたようで、うそ臭く見えてしまいます。 
                                   (☆☆)

screen83 落下の王国  公式サイト

 「ザ・セル」で精神世界をシュールな映像でみせたターセム監督の2作目。
CMの仕事で世界中の絶景を見てきたターセム監督が
ここぞという場所を寄せ集めただけあって、
映像は美しく、奇抜です。
 でも前作「ザ・セル」の斬新な映像が、
実はダリの絵からモチーフを取っていたりして、
今回もどこまでオリジナリティーのあるものなのか、わかりません。
この映画の元となったというブルガリア映画「Yo Ho Ho」のプロットを読むと、
元にしたというより、リメイクといっていいんじゃないかというほど、
そのまま使われているような気がします。
 そんな疑念で観ていると、斬新な映像が売りの映画なだけに
素直に楽しめないんです。
             (☆☆)

screen84 ウォンテッド  公式サイト

 暗殺組織に巻き込まれた青年というお話なので、
007のようなアクション映画かと思っていたら、
そこは「ナイトウォッチ」のベクマンベトフ監督、しっかりダークファンタジーでした。
アンジー姉御も最初と最後に鬼のような形相を見せてガンバっています。
 それにしてもこういう在り得ないことを、映像で強引に納得させてしまう映画は
面白いですねえ。
弾道を曲げてしまう技はともかく、
銃を撃った後、着弾するまでにその銃を投げて渡すなんざ、
どう考えたって在り得ないんですけど、
そこがハイスピード撮影のマジック!
観ていて違和感がないのがすごいです。
 こういう映画は封切られた時に観るのが旬、ですな。
                       (☆☆☆)

screen85 アイアンマン  公式サイト

 ヒーローがスーパーマンのように品行方正でなく人間的なところや、
兵器産業の社長が反省から正義に目覚めるところが受けたらしいのですが、
「スパイダーマン」や「ダークナイト」を観た後では見劣りしてしまうのは否めません。
 それにこの社長、脱兵器産業を宣言した後、何をしたいのかよくわからないんですよ。
ひたすら"兵器"であるパワードスーツの開発にのめり込むのみで、
スーツを作って、何をしようという目的が見当たらないんです。
 兵器産業が生み出す紛争への反省なら、対峙べき敵は、
テロリストとか、戦争を続ける軍とかが、明確な対象になるはずなのに、
政治的になってしまうのを避けたのか、そういう展開はしません。
 結局クライマックスで出てくる"敵"は、定番の
ヒーローと同じ能力を持った相手、パワードスーツ。
でもこれがアイアンマンのプロトタイプをデカくしただけなので、
強敵に見えないのが致命的です。
                 (☆)
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by am-bivalence | 2008-12-12 22:33 | 映画鑑賞 | Comments(0)

screen77 崖の上のポニョ

アニメーター宮崎駿のこだわりが伝わる力作  公式サイト

 以前一度だけ三鷹の森ジブリ美術館に行ったことがあるんですが、
ここではジブリ・オリジナルの短編アニメを1回観せてくれます。
その時観たのが 中村季枝子「いやいやえん」を原作にした「くじらとり」。
 保育園児達が遊具の積み木で海に出て、鯨を捕るという
ごっこ遊びの空想をアニメにしているんですが、
これがほのぼのしていて、面白かったんです。
 ここのオリジナル・アニメは定期的に入れ替えしていて、他にもあるので、
ジブリ美術館に行けない人のためにも、まとめてDVDにして欲しいなあ、
と思うのですが。。。
おとなの事情で、しないだろうなあ。
 この「くじらとり」のエンドタイトルでは、スタッフ名をあいうえお順で並べています。
「崖の上のポニョ」のエンドタイトルでも全く同じスタイルを取っているのを観た時、
ははぁ、と納得しました。
 宮崎監督は、あの短編のような映画を劇場でやりたかったんだなと。

 「崖の上のポニョ」、某口コミサイトでは評判悪いですが、
私はこういうアニメ、「あり」だと思います。
アニメはもともと子供が観るものですよ。
いいおとなが、子供向けのアニメを観て文句を言っちゃいけません。
 そりゃあ、
よくわからないご都合主義的にも見えるハッピーエンドだとか、
前半の嵐の場面のアップテンポに比べ、
後半は水に沈んだ街の場面が静かすぎて退屈だとか、
自然描写を大切にしているのに、
海水魚をいきなり真水に入れるとは何事だとか、
(海水は塩水であると言う感覚が、全体に欠如しているんですよねえ。。。)
半魚人のポニョがかわいくないとか、
いろいろ欠点は挙げられますよ。
 でもアニメーションはいい仕事してるじゃあないですか。

 モブシーンが得意という宮崎監督、
わんさと出てくるクラゲや魚の大群、ポニョの妹達、
よく動いてるじゃないですか。
古典的なメタモルフォーゼもアニメーションらしくて、かえって新鮮です。
ポニョが波の上を疾走するシーンは圧巻で、観ていて思わず、
「名場面だ。。。」とつぶやいてしまいました。

 今の時代に子供に安心して見せられる映画がどれ位あるでしょう。
宮崎アニメをこれまでのジブリブランドとして見ていた人には
違和感を覚えるかもしれませんが、これぞアニメーション。
絵本のようなこの映画を商業ベースで成功させたのは並大抵ではないと思うのです。
                                   (☆☆☆)
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by am-bivalence | 2008-12-06 00:24 | アニメ | Comments(2)

screen96 ブラインドネス

 人間はそこまで醜くないと信じたいが。。。  公式サイト

 日本人俳優二人の出演でも注目された「ブラインドネス」、
宣伝文句で"心理パニックサスペンス"と謳ってしまったので、
世界的に広がった新種の伝染病が引き起こすパニック映画と誤解してしまう人が多いようです。
 この映画では、人々が失明してしまう伝染病の正体は最後まで分かりませんし、
主人公がなぜ、ただ一人失明せずにいられるのかも全く説明されません。
 結局これは、極限状態で現れる人間の本性を見せる寓話なのですが、
ここで描かれる人間性がとても浅ましく、観ていて息詰まってしまうのです。

 隔離された失明者は人数の少ないうちはまだ秩序を保っていられましたが、
人が増えて収容所内の衛生状態が最悪になり、スラムのようになってしまったとき、
銃を手にして王を名乗る男が全てを支配しようとします。
 男が最初、盲人には全く価値の無い貴金属を徴収するのには笑ってしまいますが、
次に女性を要求しだした時の男達の反応は、なんともやり切れません。
貧困に窮してしまうと、そういう人間性も現れるのかもしれませんが。。。

 「シティ・オブ・ゴッド」で人殺しをなんとも思わないスラム・ギャングを描き、
「ナイロビの蜂」でアフリカの貧困を目の当たりにしたメイレレス監督には、
そのような人間性が身に染みてリアルと感じるのでしょう。
 でも人間は、もう少し賢明だという気がするのです。
無秩序状態からお互い納得できる秩序を作り出し、
尊厳のために命を賭けても抵抗するといった、理性的で高潔な部分です。
 ただアメリカのような先進国でさえ、
テロとの戦いと称して、石油利権を求めてイラクを侵攻したように、
私利のために力を行使していることを考えると、
人間の理性を信じようとするのも、空しくなることがあるのですが。。。

 ラストは主人公一人が不安を抱えながらも、希望が見える終わり方ですが、
重苦しい思いばかり残ってしまった映画でした。
                     (☆☆)
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by am-bivalence | 2008-12-05 23:59 | 人間ドラマ | Comments(0)
 「藪の中」にこんな解釈があったのか  公式サイト

月に一度の映画の日、何か面白い映画はないかと探していたら、
新宿で「羅生門 デジタル完全版」を限定公開しているのが目に止まりました。

 「羅生門」は言わずと知れた黒澤明の古典的名作です。
大映の資産を買い取った角川映画が、原版の劣化がひどかった「羅生門」を
各種機関と提携して 複数の上映プリント等から完全デジタル修復したので、
それを限定公開した、というわけです。
 どんな修復だったのかは、2月に発売されるブルーレイの宣伝サイト
一端を見てもらうとして、
「羅生門」のオリジナルネガは諸般の事情で廃棄され現存せず、
上映プリントも残っているものが意外に少なかったそうで、
修復はかなり苦労したようです。

 実際に観てみると、像、音声とも鮮明で、古さを全く感じさせませんでした。
随分前ですが、「七人の侍」のリバイバル上映を観た時は
音声が一部かなり不鮮明だったことを思うと、格段の差です。
 ただ完全版といっても、カットされたシーンが追加されているわけではないそうです。

 「羅生門」は恥ずかしながら、私はちゃんと観たことがありませんでした。
何十年も前に、テレビ放送していたのを断片的に観た覚えがあるのですが、
当時は芥川龍之介の原作も読んでいなかったので、
不条理な映画としか印象にありませんでした。

 芥川の原作「藪の中」自体、食い違う証言に、
人間行動の真相とは不可知なものだというのがテーマと言われていたので、
そんな映画だったと決め付けていたのですが、
今回改めて観て、ぜんぜん違う映画だったことを知りました。
 映画「羅生門」で黒澤監督らは、芥川の原作の裏に隠された真相を推理し、
それを映画化していました。

 原作では、強盗、暴行を働いた多襄丸の証言、
暴行された女の証言、暴行された女の夫で死んだ侍の霊の証言があり、
どれも人殺しをしたのは自分であると主張して、
誰が犯人か分からぬまま終わっています。
 「羅生門」では、ここまでは原作をほぼ忠実に描き、
この後、第四の証言者として、きこりを登場させます。
第三者の目撃として、実際はこんなことが起こったのだというのを
提示して見せるのです。

 これはおそらく、当事者3人の証言が、
盗人は盗人らしくすごんで見せ、女は貞淑さを装い、
侍は自身の不甲斐なさを嘆いてみせるといった、
それぞれ自分を演出していることに気付いたからではないでしょうか。
 黒澤監督らは「藪の中」に、事実の不可知ではなく、
自分を正当化するためには、意識するしないに関係なく、
都合よく事実を湾曲してしまう人間の業を見たのでしょう。

 ただ、きこりも最後で暴露されるように、
完全に第三者というわけではありません。
彼の証言も何らかのバイアスが掛かっている、ということで
真相はやはり分からないという含みを残したのでしょうか。

 ラストはきこりが捨て子を引き取っていくことで、一抹の救いを見せて終わります。
しかし、ここで私が引っかかったのが、タイトルの「羅生門」。
同名の芥川の名作短編「羅生門」は、
羅生門の上での男と老婆のやり取りから、
ころころ変る人間心理を描いたものなのです。
 罪を悔いて子供を引き取ったきこりの決心が
いつまでも変らないのだろうかと疑問を呈しているようにも。。。
と考えるのは、うがち過ぎですかね。
               (☆☆☆☆☆)
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by am-bivalence | 2008-12-03 21:37 | 時代劇 | Comments(0)

screen95 かもめ食堂

 ギスギスした心をほぐして、ほんのり幸せにしてくれる映画  公式サイト

 以前DVDを観てintermisson5で紹介したんですが、
近所のシネコンでアンコール上映していたのを幸い(しかも500円!)、
大スクリーンで観てきました。

 たまに、2度観ると、最初に観た印象と違ってしまう映画があるんですが、
この映画の印象は2度目でも以前書いた通り。
見直しても、その良さは変わることがありませんでした。
ストーリーが分かっているぶん、安心してゆったりと観ていられました。
最初から最後まで、ずっと微笑みながら観られる映画はなかなか無いです。

料理も相変わらずおいしそう。
あ、この雰囲気は「超熟」のCMでもおなじみになりました。

 今回再見して、もたいまさこさんが映画の雰囲気作りに
かなり貢献していることに気付きました。
見た目は普通のおばさんなのに、どことなくエキセントリック。
ゆっくり丁寧だけど、明瞭な台詞。
この映画の、のほほんとしたカラーに良く合っています。

 でも マサコさんが空港失くしてしまった荷物って、
何の象徴なんですかね。
 重要なものがあったんでしょうと聞かれても、
重要だったのかどうか、思い出せない。
最後に失くしたトランクが出てきて、開けてみると、
中にあったのは、いっぱいの森で採ったキノコ!
 どういう意味?
       (☆☆☆☆)
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by am-bivalence | 2008-12-03 21:26 | ハートウォーミング | Comments(0)