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劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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 新三部作で評価を落としてしまった感のある
スターウォーズ・サーガですが、映画を語る上で
欠かせない作品であるのは間違いありません。

 スターウォーズの世界観を形造るうえで
無くてはならないものの一つが、ライトセイバーです。
(初公開時はライトサーベルと訳されてました。)
強力なビームが剣となるライトセイバーは、
古い世界観とリアルなメカが融合したスペースオペラである
スターウォーズ世界を端的に示したアイテムでした。
ただ、物理法則を無視したような
ライトセイバーのような武器がどうやったらできるかは、
物理学者をも巻き込んで(?)議論されてきました。

 レーザー光のように見えるライトセイバー、
本当にレーザーなら、適当な長さでちょん切れるはずがありません。
スターウォーズ世界には、光の光路を自由に制限できる
テクノロジーでもあるのでしょうか。
もし、仮にそんなテクノロジーがあったとしても、
本当に光ならライトセイバー同士で切り結ぶなんて
できないはずです。
光同士交差しても、すり抜けるだけだからです。

 私はこのライトセイバー、実は光ではなく、
伸縮自在の発光する高エネルギー体でできている、
と考えています。
 そんな夢がない、と思わないで下さい。
証拠が映画の中にあります。

 「スターウォーズ ジェダイの帰還(復讐)」では、
ルークとダース・ヴェイダーが
パルパティーン皇帝の前で決闘します。
戦いたくないルークに、ヴェイダーが
ライトセイバーを投げつけるシーン、
投げられたライトセイバーをよ~く見て下さい。
ライトセイバーは刃を中心にして回転しています。
ライトセイバーが光なら、この動きはあり得ません。

intermission2 ライトセイバーは\"光の剣\"でなく\"光る剣\"か?_f0126707_213487.gif

 物体が空中で回転するとき、
物体は重心を中心にして回転します。
ライトセイバーが光なら、光は質量がほとんどありませんから、
ライトセイバーの重心は刃ではなく、本体側にあるはずです。
本体を中心にして回転しなければなりません。
刃を中心にして回転しているということは、
ライトセーバーの刃は質量を持つ物質であるということになります。

 ライトセイバーが伸縮自在の物質であるなら、
切り結ぶのに何の違和感もありません。
高エネルギーを持った物質がプラズマ発光しているとすれば、
色にバリエーションがあるのも説明できるんじゃないでしょうか。
だから、ライトセイバーは「光の」剣ではなく、
「光る」剣なんです。

 スターウォーズの図解本には
ライトセイバーの中にクリスタルがあって
いかにも光を出すように解説していますが、
これはライトセイバーは光であるという神話を造り、
敵に武器の構造を知られないようにするための、
ジェダイ騎士団の策謀と思われます。
# by am-bivalence | 2007-01-14 01:09 | SF | Comments(4)
  競争社会アメリカの価値観にチャチャを入れ、
 あきらめないことに意義を見出す
  公式ホームページ

 どうもアメリカ人には、
常にポジティブでいなければならない、
という脅迫観念があるみたいです。
 それは入社試験で前向きな姿勢を見せないと落とされるように、
いつもポジティブに見せていないと、
競争社会で落ちこぼれるという不安が
裏にあるようにも感じられます。

 何かと競争することに肯定的なアメリカは、
平等主義日本では(ネガティブに使っているつもりはありません)、
ほとんどあり得ない子供のミスコンも盛んなようです。
(関係無いですが、映画のミスコンの雰囲気は、
ジョンベネ・ラムジーのニュース映像とそっくりでした。)

 アメリカ社会の競争の激しさは、
winner/loserの格差の大きさが根本にあるようです。
というより、格差の拡大が競争をより厳しくさせるのでしょうか。
競争肯定社会は、勝者/敗者の価値観が支配していきます。

 アメリカ人自身、勝者/敗者の二元化を
ちょっとヘンじゃないかと思う人がいて、
このコメディ映画ができたようです。

 面白いのはこの一家、客観的に見れば敗者ばかりですが、
本人達は自分をそう思っていないことです。
薄々気付いてはいるようですが、それを認めようとしません。
 そう、この家族は、お父さんの「成功のための9ステップ」を胡散臭そうに思いながら、
実は9ステップ目の「負けることを拒否する」を実践しちゃってるんです。

 だから、この映画の可笑しさは負け犬の自虐的な笑いではなく、
壊れかけた車を懸命に押して走らせようとするような、
真剣さの中の可笑しさです。
 ただこの映画は笑わせるだけでなく、次にほろりとさせて、
最後は負け組家族を応援したくさせるのです。
勝ち負けにこだわらずに、がんばった自分を褒めてやれと。
 エロじじいも、最後はいい事言ってます。

 脚本が良く出来ており、エピソードの一つ一つが
意外なところでリンクしています。
                (☆☆)


参照書籍:「アメリカ病」 矢部 武 新潮新書
   ポジティブ脅迫観念以外にも、現代アメリカのヘンな部分を理解する上で
  参考になります。
   映画「スーパーサイズ・ミー」の元ネタとなった裁判も取り上げています。
# by am-bivalence | 2007-01-10 22:04 | コメディ | Comments(0)