劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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 黒澤監督、期待を裏切り御免! 公式サイト

 「映画生活」などのクチコミを見ていると、
この映画は賛否両論で、どちらかと言うと否が多いようです(^^;。
 面白いのは、評判より良かったと思う人は
オリジナルの黒澤作品を観ていない人が多く、
ひどいと言っている人は、オリジナルを観ていて、
黒澤版を評価している人が多いことです。
 私はオリジナルの黒澤作品を観て傑作娯楽映画と思っている一人ですが、
なぜこんなに評価が分かれるのか、実際に観てみて、なんとなく分かりました。
 オリジナルを知らないで、このリメイク版をそこそこ楽しめると思った人、
あなたが面白いと思ったところはたぶんオリジナルの残った部分です。

 「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」は、
中途半端に雪姫が悩み、シリアスにしようとした分、
オリジナルの黒澤版が持っていた、娯楽時代劇の爽快さを失いました。
戦国時代に現代の民主主義的価値観を持ち込まれても。。。ねえ。
 「ローレライ」といい、樋口監督は時代考証をあまり重視しないようです。

 換骨奪胎で、オリジナルを改悪している部分は、
関所を突破する部分にも現れています。
六郎太の機転で切り抜けるところを、リメイク版は
男色趣味を絡めた、後味の悪いエピソードを追加しています。
 キャラクターの変更にも疑問が残ります。
ジョージ・ルーカスがレイア姫のモデルにした気の強い姫、雪姫は、
リメイク版では後半以降、信念と気丈さを失って、
つい彼氏に頼ってしまう、アニメおたく好みのような女の子に変わってしまいます。

 黒澤作品のリメイクというと「椿三十郎」が記憶に新しいですが、
リメイクに対する両者のアプローチは全く逆で、好対照です。
「椿三十郎」がオリジナルを忠実にトレースしたのに対し、
「隠し砦…」は大幅に改編し、現代的なアレンジに挑戦しています。
チャレンジングなのは買いますが、
どちらが良かったかは、映画が示していると思います。
「隠し砦…」は図らずも、森田監督のやり方が保守的ながら
正しかったことを証明してしまいました。
 黒澤明、橋本忍といった、かつての名匠達が作り上げた傑作を、
凡百の人間が寄ってたかって作り直しても、
良いものには成り得ないということでしょうか。

 樋口監督、最高に面白い映画を創ろうという気概がおありなら、
リメイクや原作に頼らずに、オリジナルに挑戦したらいかがでしょうか。
                               (☆)
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by am-bivalence | 2008-05-31 10:07 | 時代劇 | Comments(0)

screen63 ノーカントリー

いつ襲ってくるかわからない死をめぐる秀作スリラー 公式サイト

 かつて映画には、ピカレスク物とか、
バイオレンス映画とかいったジャンルが一定の人気を保っていました。
「俺たちに明日はない」とか、
サム・ペキンパー+スティーブ・マックイーンの「ゲッタウェイ」、
ギャング物ではチャールズ・ブロンソン「バラキ」などなど。
日本でいえば深作欣二の任侠物とか、
松田優作「蘇る金狼」なんていったところでしょうか。
 しかし、「スターウォーズ」の大ヒットで、
映画は見たことのない映像をSFXを駆使して
ティーン・エイジャー達に見せる健全な娯楽になり、
バイオレンス映画は衰退していきます。

 それでもバイオレンス映画は途絶えたわけではなく、
このコーエン兄弟の「ノーカントリー」も、
そんなバイオレンス映画の脈流が生きています。
 ただ「ノーカントリー」が違うのは、
マックイーンのようなヒーローがいないこと。
そして、暴力よりも知性を感じさせることではないでしょうか。
 例えば、主人公モスが麻薬組織に追われて川に飛び込み、
下流に泳ぎ着いた後、追ってきた猟犬を拳銃で迎え撃とうとするシーン、
濡らしてしまった拳銃の扱い方には、なるほどと感心させられます。
夜の街で、殺し屋シガーとの銃撃戦の仕方なども、
ベトナム戦争を生き抜いてきたモスらしい、
考えた戦い方をしています。

 しかし何と言ってもこの映画の一番の見所は、
最悪の殺し屋、シガーの恐ろしさ、不気味さでしょう。
無感情に、どんな相手も平然と殺してしまう殺し屋。
コーエン兄弟の演出は冴えわたっています。
いつ殺人者の牙を剥くか分からないシガーと店主の会話の緊張感、
容赦なく撃ってくる、姿の見えない殺し屋相手に応戦する恐怖など、
シガーの絡む場面はどれも、緊迫感がみなぎっています。
 シガー演じるハビエル・バルデムは
「海を飛ぶ夢」の全身不随の主人公を演じた俳優で、
とても同じ人が演じているとは思えない変貌ぶりです。

 原作のタイトルは「血と暴力の国」だそうで、
これがこの映画に含まれたテーマをよく表しています。
最後、追われる者と追う殺し屋、その二人を追う保安官の
三つ巴の戦いになるのかと思えば、
あっさり観客の期待を裏切る意外な結末が待っていて、
そこがなんとも文学的なように感じました。
 劇中語られる、簡単に人を殺す最近の犯罪の異常性や、
最後に保安官の語る夢の光景などで、
映画に社会批判的、哲学的な意味を含ませていて、
単なるスリラーに終わらなかったのが、
アカデミー作品賞を取った秘訣なんでしょう。

 まあ、難解な哲学的意味はよく解らなくても、
映画的面白さを十分楽しめる作品でした。
                       (☆☆☆☆)
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by am-bivalence | 2008-05-15 23:22 | サスペンス・スリラー | Comments(0)
 原作の持ち味を保った総集編  公式サイト


 私がいつも聞いているポッドキャスト番組の一つが「シネマpeople」
GAGAの映画情報番組なんですが、ゆるい雰囲気が好きで
映画番組というよりも、バラエティとして楽しんでます(^^)。
 その「シネP」で一押ししていた「ライラの冒険 黄金の羅針盤」。
(まあ、GAGAさん配給なんで)
三部作にするみたいだし、これは押さえておかなければいけないでしょう、
ということで観に行ってきました。

 ハリー・ポッター以降、ファンタジー文学や児童文学の映画化が
めっきり多くなりました。
(その分、「スター・ウォーズ」以降隆盛を誇っていたSF映画が、
全くと言っていいほど無くなってしまったのが寂しい限りですが。。。)
この「黄金の羅針盤」もそんなファンタジー文学の映画化。
 この原作、川嵜さんの御推薦もあって読んでみたんですが、
なかなか面白いんです。
普通の児童文学とはちょっと違う、
と言うより、児童文学の範疇を外れたような内容になっています。

 まず登場人物が児童文学とは思えない一癖ある者ばかり。
おてんばな主人公ライラ自身、嘘をつくのが得意というキャラですし、
その出生も複雑です。
ライラの両親は既成の道徳観などを超えた行動をする人たちで、
いわゆる"いい人”ではないのです。
なにしろ三部作のクライマックスで彼らが戦うのは"神”なのですから。
まあ、神学論に素粒子理論を混ぜたような世界観は、
キリスト教文化圏にない人間には興味が湧かないかも知れませんが。。。

 原作はともかく、肝心の映画はというと、
内容的には、原作にほぼ忠実です。
ただ、長いストーリーを映画の中に押し込んでいるので、
TVシリーズのダイジェスト版を観ているような印象でした。
細かい世界観の説明、
 ダイモンを掴まれると人は動けなくなるとか、
 極寒の地でも魔女は薄着で平気とか、
も省かれています。
原作を読んでいなくても映画としては分かりますが、
原作を読んでいれば、もう少し話の展開についていきやすいでしょう。

 一番意外だったのは、原作の第一部を最後までやらなかったこと。
第二部につながるラストに至る前に終わってしまったのは、
なぜでしょう。
 第二部以降の話の展開を原作からちょっとアレンジするのか、
第一部がコケたら、第二部以降が製作できなくなるので、
とりあえず完結させたのか、
単に上映時間が足りなかっただけなのか。。。
 気になるところです。

 それにしても、小説で想像していた世界が
映像で見られるのは楽しいものです。
よろいをまとったクマ達とか、人間について歩くダイモンたち、
飛行船の飛び交うロンドン、
アレシオ・メーターの針が動いて真実を示す様子、
実際に眼にするとわくわくします。
 美しいが冷酷でドSなコールター夫人にニコール・キッドマンなど、
キャスティングも悪くありません。
 第二部以降、出てくるミュレファ族もどんな姿に描かれるのか、
今から楽しみです。
      (☆☆)
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by am-bivalence | 2008-04-11 23:17 | ファンタジー | Comments(2)
 意外に斬新さを感じないが、良くできたエンターテインメント 公式サイト

 同じ出来事を何度も繰り返す複数視点の映画といえば、
私が思い出すのは「閉ざされた森」とか、「ラン・ローラ・ラン」とか。。。
最近では「アヒルと鴨のコインロッカー」もその部類でしょうか。
これらの映画は同じ事件を繰り返しても、
それを語る人物の主観や嘘が入っていて、
同じ事実が微妙に異なっていました。

 でも「バンテージ・ポイント」はちょっと違います。
映像で見せる事実は皆同じです。そこに主観や嘘はありません。
でも、人物によって知る事実が違ってくるので、
観客は最後に事件の全容が分かる構成になっています。
ちょっと変わった映画ではあります。

 ただ実際に映画を観ると、思ったほど斬新さを感じなかったのが残念です。
それは複数視点といっても、
完全に登場人物の視点になっていないからのように思います。
 たとえば大統領狙撃後、広場で起こる爆発は、
常に広場上空から爆発を捉えたカットが入ります。
それが、複数の人物それぞれからの視点というより、
同じ映像を繰り返し見せられているように感じてしまい、
途中ちょっと飽きてしまう原因となっています。

 それでも後半、大統領の視点でストーリーが進むと、
事件の舞台裏が明らかになってきて、物語が俄然面白くなってきました。
シークレット・サービスの主人公がモニターを見て
陰謀の真実に気付く場面も良く考えられています。

 また、「ボーン・アイデンティティー」のように小型車を使った
後半のカーチェイスは、なかなかスリリングでした。
 最近の映画はカーアクションを派手にしようとするあまり、
その程度の目的のために、そこまで命懸けでやるか?と思う事が多いのですが、
この映画のシチュエーションは、捨て身で追いかけるのに無理がないので、
カーチェイスに入り込めました。

 とにかく細部までかなり練られた脚本で
楽しませてくれる娯楽作品でした。
               (☆☆☆)
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by am-bivalence | 2008-03-27 22:55 | サスペンス・スリラー | Comments(2)
 観光もできる宝探しRPG  公式サイト

 以前アメリカに住んだことのある知人の話によれば、
アメリカ合州国は建国してまだ歴史が浅いので、
アメリカ人は長い歴史を持つヨーロッパや日本に羨望があるそうです。
アメリカは歴史が浅いがゆえに、
ほとんどの史実がはっきり記録として残っていて、
アメリカ人は、そんな自分達の歴史を大切にするのだそうです。
何かと言えば歴史的建造物や史跡として保存したり、
記念碑や記念館を造りたがるらしいです。アメリカ人は。
 真偽はとにかく、「ナショナル・トレジャー」を観て、
アメリカ人のそんな歴史に対するこだわりを思い出しました。

 前作「ナショナル・トレジャー」は、宝探しにアメリカ独立宣言書が絡み、
アメリカ建国にまつわる名所旧跡を巡ったりして、観光もさせてくれました。
今作では、リンカーン暗殺が事件の発端になるものの、
リンカーンは全く関係なく、暗殺者の背後にいた組織の隠し財産を探す事になります。
今回もラシュモア山のような、いかにもアメリカといった名所のみならず、
パリやバッキンガム宮殿といったアメリカ以外の観光名所にも
連れて行ってくれます。

 映画の中心は宝探しの謎解きで、
謎を解くと次の謎が現れ、それを追っていくとまた次の謎が与えられ。。。
と、次から次へ課題をクリアーしていくRPGのように
興味を次から次に繋いでいくストーリー運びはうまいです。
 ただ、謎解き中はそれなりに面白く、楽しませてくれるんですが、
観終わった後についこんな疑問が出てきてしまいます。
 。。。何でこんな回りくどい隠し方をするんだ?
 まあ、それは探偵小説で、"何で密室の必要があるんだ?"と疑問を持つようなもの。
考えてはいけないのでしょう。

 それにしてもブラッカイマーは、毎回風呂敷を広げるのはうまいのですが、
広げ過ぎるきらいがあるようです。
 今回ベンたちを追う敵役ウィルキンソンなどは、
よその国であれだけ無茶なカーチェイスをやるので、
凄い組織がバックにあって、何か大きな目的があるのかと思っていたら、
彼の真の目的が最後に解ると、唖然となってしまいました。

 ともあれ、お正月に家族で楽しく映画を観るにはいいんじゃないでしょうか。
                                      (☆☆)
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by am-bivalence | 2008-01-10 21:55 | アクション | Comments(7)

screen50 椿三十郎

黒澤映画の面白さを再認識 公式サイト

 まず、黒澤明の傑作の一つを、
比較されることも承知でリメイクした勇気に拍手。
しかも脚本をそのまま使うということは、映像で勝負するということですか。
 。。。と思っていたら、予告編を観ると
おいおい、黒澤版まんまじゃないですか。
製作総指揮:角川春樹?
椿三十郎:織田裕二?
 う~ん、観に行こうか迷っていましたが、意外に評判良さそうなので
思い切って観てみると、なかなかに楽しめました。

 やっぱり、いいシナリオは時代を超えて面白いんですね、
って言われてしまうのも、名作をリメイクをする側に不利なところ。
それでもそつなくまとめてみせたのは、さすが手練れの森田芳光監督です。
黒澤版そのままのカットも言ってみれば
森田流"本家取り"なんでしょうか。

 こうして改めて新版「椿三十郎」を観てみると、
"キャラがたっている"のに驚きます。
三十郎はじめ、室戸半兵衛や奥方のキャラクターは個性的で判りやすく、
娯楽映画のお手本といってもいいんじゃないでしょうか。
良く練られたプロットといい、キャラの効果的な使い方といい、
脚本をそのまま使ったのも頷けます。
 ただその分、状況説明的会話が多いとか、
黒沢映画らしいちょっと臭いセリフとかいった、
オリジナルの欠陥も引き継ぐことになるのですが。。。

 室戸役の豊川悦司はじめ、キャスティングがなかなか良かったんじゃないでしょうか。
中村玉緒、藤田まこと、などは、はまり役のように思います。
三十郎はもともと三船敏郎に合わせたキャラクターなので、
オリジナルと比べると見劣りしてしまうのは致し方ないでしょう。
 ただ、三船の三十郎にはシニカルな面があって、
三船三十郎の言う軽口には皮肉な響きがあったのに、
織田三十郎にはそれが足りないのが残念です。
三十郎は諸国を流浪している素浪人なので、世間の裏を見尽くしているはずなのに、
織田三十郎はそんな雰囲気が足りないのです。
織田三十郎がニヤリと笑っても 不敵と言うより、
脳天気に見えてしまうのは私だけでしょうか。
しゃべり方もまるで三船のモノマネをしているようなのも気になります。

 なんだかんだ言っても、黒澤作品の時代劇は面白いです。
「水戸黄門」や「暴れん坊将軍」が時代劇だと思っている世代に
是非観てもらいたいものです。
 これを機会に「用心棒」や「隠し砦の三悪人」なんかもリメイクするとか、
黒澤作品のリバイバル上映するとか、ならないものでしょうかね。
                         (☆☆☆)

 *補足
  冬休み、帰省した実家で黒澤版「椿三十郎」のビデオを発見しました。
 黒澤版を見直してみて、森田版が黒澤版の全くの焼き直しという訳ではなく、
 随所にオリジナルの演出を加えていることに気付きました。
 自分を踏み台にさせながら、奥方に塀を乗り越えさせるところなど、
 オリジナルのイメージを大切にしながら、独自の改善を加えているのです。
  織田裕二の演技も三船のモノマネというより、
 三船ならこう演じていたのだろういうイメージを出していたようにも見えます。
 森田監督、したたかです。
 森田版の評価が上がりました。
  「隠し砦の三悪人」は「ローレライ」の樋口真嗣監督がリメイクするんでした。
 これもちょっと期待しましょう。
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by am-bivalence | 2007-12-27 00:41 | 時代劇 | Comments(2)
 先端技術CG"アニメーション"の習作  公式サイト

 私に3D映画の可能性を教えてくれたのは、
今は無くなってしまった軽井沢のアイマックスシアターで観た
「ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密」でした。
 それ以前にも偏光メガネなどを使ったカラー立体映像は、
東京ディズニーランドの「キャプテンEO」で観ていましたが、
「キャプテンEO」がVFXの合成された映像だったのに対し、
実写映像を立体視する「タイタニックの秘密」は、臨場感が別格で、
目の前に実物を見ているようでした。
(カラーの立体映像がこれほどリアリティーがあるなら、
火星や深海底の無人探査機に利用すれば、
人間が実際に行ったように調査ができるんじゃないでしょうか。)
以来、3D映画は機会があれば観に行くようになりました。

 で、今回の「ベオウルフ/呪われし勇者」、
3D映画で上映していなければ、観に行かなかったかもしれません。
俳優をモーションキャプチャーして、俳優そっくりのCGキャラクターを動かすことに
どれほど意味があるのか、疑問に思っていたからです。

 "パフォーマンスキャプチャー"の利点をゼメキス監督は、
俳優の動きを特殊メイクなどで制約をつけず、自由にできること、
俳優の外観に捉われることなく映画を作れること、などと語っています。
だったら、CGキャラクターと俳優を同じにする必要は無いじゃないですか。

 「ロジャー・ラビット」でアニメーションと実写を見事に融合させ、
「フォレスト・ガンプ」でトム・ハンクスとケネディ大統領を握手させて見せた、
コンピューター画像技術大好きのゼメキス監督、
今のお気に入りは「ポーラー・エキスプレス」で使った
"パフォーマンスキャプチャー"のようです。
CGが安く製作できれば、大規模なセットもいらないし、
役者の撮影も短期間で、ギャラも安く済むらしいです。

 結局、本作はまず"パフォーマンスキャプチャー"ありきで、
CGキャラクターを俳優そっくりにしたのは、
誰が出演しているのか観客に分かる様にする、
興行的な配慮だったんでしょう。

 実際に観てみると、CGキャラクターの動きがリアルとはいえ、
テイストはやっぱりCGアニメーションです。
でも、この映画の英雄伝説絵巻といった雰囲気には、
それが意外と合っているようです。

 本作ではベオウルフが魔物の母に誘惑されることが、
物語の重要な要素となっていますが、
これはこの脚本オリジナルの新解釈で、
元の英雄叙事詩にはないものだそうです。
 この脚色が秀逸で、必然的に内容は大人向けのものとなり、
英雄伝説を人間的にして、映画に艶を与え、
物語を面白くするのに成功しています。

 立体映像はそれなりに迫力があって、
天から唾液やら、血やら降りかかってくるシーンは
思わず避けたくなる臨場感です。
 ただ、怪物グレンデルや、クライマックスのドラゴンの巨大さが
立体映像でもう少し感じられたらよかったんですが。
ここでもCGは、まだ実写のリアリティーに及ばないようです。

 以前、ジェームズ・キャメロン、ジョージ・ルーカスなどが集まって
映画の未来について対談した時、
3D映画となっていくことは、全員の意見が合ったといいます。
 「スターウォーズ」の3Dバージョンの企画が進行しているようですが、
いつか頭上を進むスター・デストロイヤーの立体映像を、
是非映画館で観てみたいものです。
                 (☆☆)
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by am-bivalence | 2007-12-13 23:21 | ファンタジー | Comments(2)
 限りある命の意義を問う、ハードボイルドSFの名品 公式サイト

 1982年に公開された「ブレードランナー」、リドリー・スコットの手で
再編集、デジタル処理された”最終バージョン”が
DVD発売前にニューヨーク、ロサンゼルス、日本限定で
劇場上映されているので観てきました。

 「ブレードランナー」は5バージョンあるそうですが、ファイナル・カット版はどう違うのか、
詳しくはeiga.comの特集記事で御覧戴くとして、
簡単に言ってしまうとディレクターズ・カット版の
修正、デジタル・リマスター版といったところでしょうか。
 目立った変更は、ゾーラの潜伏しているダンスホールで
ダンサーのカットが追加されている点、
ゾーラが撃たれてガラスのショーウインドウに突っ込むシーンが
撮り直されている(!?)点だそうで、
ディレクターズ・カット版と全体の印象はほとんど同じです。
 ただ、やはり劇場の大スクリーンで観るのはいいもので、
特に手直しされただろう音響効果が、劇場で体感すると迫力が全く違います。
ファンでしたら、劇場で観ることをお薦めします。
 
 「ブレードランナー」は「スターウォーズ」以降多数作られたSF映画の一本で、
公開当時は「スターウォーズ」のハン・ソロ役でブレイクした
ハリソン・フォード主演ということが話題になりました。
ただ、単純な娯楽作でなく難解な結末や、
未来都市のダークで閉塞的雰囲気もあいまって、
一般受けせず、興行的にはうまく行かなかったと思います。
 そんな「ブレードランナー」がこんなに長く名作として生き続けているのは
ちょっと意外というか、奇跡のようにも思えます。

 今回観直してみて、前半の未来都市のビジュアルのみならず、
クライマックスの生命について考えさせる哲学的な面も古びておらず、
同じ感慨を起こさせるのに驚きました。
 レプリカントの短命さは比喩であって、
限りある命をもって生きているのはあらゆる生命に共通、
人間もまた同じです。
死が迫ることで生への執着を実感し、限りある命を精一杯生きることに気付く。。。
レイチェルと逃避しようとしているラストのデッカードはそんな風に思えるのです。

 それにしても、こうして何度も手直しを受け、
注目される「ブレードランナー」は幸福な作品です。
                      (☆☆☆☆)
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by am-bivalence | 2007-11-25 02:16 | SF | Comments(2)
 こじんまりとまとまってしまう、サスペンス映画 公式サイト

 私はボーン・シリーズを今まで劇場で観たことがありませんでした。
マット・デイモンという俳優が、あまり好みでないからです。
名作「太陽がいっぱい」のリメイク「リプリー」でのマット・デイモンが、
私にはどうしてもジミー大西に見えてしまうのでした。
マット・デイモン自身はハーバード大に入学した秀才だそうですが。
 今回、前2作がテレビで放送されていたこともあり、
予習してから観てきました。

 ジェイソン・ボーンって名前、どう見てもジェームズ・ボンドのもじりですよね?
イアン・フレミングはジェームズ・ボンドを
スパイらしく目立たない平凡な名前として名付けたらしいですが、
今や世界中に知れ渡ってしまいました。
 平凡で目立たないという意味では、
マット・デイモンの容姿はスパイ、暗殺者向きなんでしょう。
(決して今回、マット・デイモンファンに喧嘩を売ろうとしている訳ではありません)
ボーンシリーズが007と大きく違うのは、リアルでシリアスな点です。

 ジェイソン・ボーン、今回もCIAの元上司に追われる羽目になります。
抹殺されそうになるたび、上司を倒してきたのに、
いったい何人上司がいたんだ?といった展開です。
ストーリーのパターンが3作とも同じというのも芸がない。。。

 ボーンの頭脳的な行動、アクションは確かに良く出来ていて、
観ていて引き込まれます。
しかしパリの駅や、モロッコでのクライマックスを盛り上げているのは、
アクションというより、暗殺者に追われるサスペンスであって、
この面白さはサスペンス映画そのものです。

 ボーン・シリーズはどれもそんな感じがするのですが、
結末の収束させ方が想定内で大きなひねりもなく、無難にまとまってしまうので、
観終わった後、大きな印象が残らないのでした。
                               (☆☆)
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by am-bivalence | 2007-11-23 09:31 | サスペンス・スリラー | Comments(0)
スピルバーグ、何をプロデュースしていた?  公式サイト

 私、勘違いしていました。
全米で初公開1位となり好興行成績を上げたのも、
以外と一般の評判が悪くないのも、
CG技術でみせるリアルなロボットが凄いからとか、
実写映画向けにリニューアルされたドラマが良かったからとか、
いうわけではなかったようです。
 アメリカではアニメ版が昔から大人気だったので、
子供の頃アニメを見て育った若者が喜んで観ているから、らしいです。

 この映画は、ドラマがしょーもないからといって、
文句を言うのは的外れらしいです。
元々が、おもちゃを売るためのチィープなアニメだったんですから。
むしろ、元のアニメの設定をうまく消化して生かしていることを
評価するべきらしいです。

 あっという間に変形するCGのロボット達は、確かに良くできていますが、
のしのし歩いたり、ロボットなのにまばたきしながら話す様は、
「宇宙戦争」で見たリアルで巨大なメカ兵器というより、
「ロード・オブ・ザ・リング」のエント族がメカになったようです。
 ロボットが瞬時に戦闘機になって飛んでいくところなどは、
○クロスの○ルキュリーそっくり。

 さすがにアクションシーンとなると
俄然、スピード感が増してきて、大迫力ではあります。
カーチェイスなどは「マッドマックス2」を彷彿とさせます。
 楽しませてくれるのはそれぐらいです。

 スピルバーグ、どういうプロデュースしてたんでしょう。
久しぶりに大スカを引いた気分にさせてくれた映画でした。
                              (
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by am-bivalence | 2007-08-26 20:03 | SF | Comments(4)