劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

タグ:シリアス ( 33 ) タグの人気記事

 身近な例で、司法の機能不全を告発する力作  公式サイト

 気になる映画が面白いのか、判断つきかねる時に、
私はネットで満足度ランキングを参考にすることがあります。
多くの人が満足していれば、それほどハズレではないだろう、という訳です。
 私が参考にするサイトは二つ、
ムービーウォーカーの「見てよかったTOP10」と、
映画生活の「満足度ランキング」、「クチコミ」情報です。
(ただ、映画生活のランキングは、ちょっと怪しげな部分があります。
単館上映作品が、数人の最高評価で上位に来たりします。
クチコミも、誰でも何でも書き込めるため、玉石混淆です。)

 ランクを見ていて、前から気になっていたのが、
「それでもボクはやってない」でした。
ここのところ、どちらのサイトでも上位にランクされ続けているんです。
これは放って置けません。
 上映期間が終わる今頃になって観に行ったんですが、
これが評判に違わず、いい作品でした。

  この映画を観ると、痴漢に間違われる事が、いかに深刻な事態を招くか判ります。
取調べで痴漢行為を否認し続けると、何ヶ月も拘留されることもあります。
留置所の処遇、人権は、刑務所と大して変わらないのが実情なので、
その間は実質、刑を受けているようなものです。
 保釈金を払って出ようとしても、その金額は百万単位です。
それでも無実を訴えて、裁判に持ち込んでも
裁判官は最初から検察側寄りで、99%が有罪になる。。。
 映画はそんなちょっと怖い、痴漢冤罪事件の実態を
丁寧に追っていきます。

 映画では、主人公の電車内での事件場面を見せません。
本当は何が起こったのか、観客にも分かりません。
それが担当女性弁護士の被告に対する当初の疑惑も
観客に違和感を持たせません。
裁判での証言の食い違いも、予断を許さない緊張あるものにさせています。

 実際に痴漢被害で苦しんでいる女性も多いでしょう。
物証のほとんどない痴漢事件に対して、推定無罪を厳格に当てはめてると
多くの事件が無罪で終わってしまいます。
勇気を持って告発した女性の行動が無駄になります。
どうも最近の痴漢裁判は、そういった事件に対する社会的批判の高まりから、
被害者の証言だけでも罰する傾向になってきたようなのです。
それが冤罪を増やすという歪を生んでいます。
 この問題、根が深いです。

 官僚的な裁判官が実質的権限を握る現状の裁判制度、
誰もが自分の職務を忠実に行ってるのに、冤罪を生み続けるシステム、
観終っても、明るい気持ちになれない映画ですが、
この実態を知っただけでも意義がありました。
                        (☆☆☆)
[PR]
by am-bivalence | 2007-03-17 09:04 | 人間ドラマ | Comments(4)
 癒せない心の闇を抱える人に。。。  公式サイト

 「硫黄島からの手紙」のヒットで関連書籍がいろいろ出て、
ちょっとしたブームになっています。
私も一冊、硫黄島の激戦体験者の手記を読んでみましたが、
一つ心を動かされたのは、生き残ったことを恥じる感覚でした。
あの激戦を生き残ったことを幸運に思うのではなく、
玉砕していった仲間を思って、死ななかった自分を恥じ入りながら生きていく感情は、
そんな辛い体験をしていない人間に、安易な共感を許さない壮絶なものがあります。

 「あなたになら言える秘密のこと」、
邦題はちょっと軽く、おしゃれな感じがしますが、気軽な気持ちでこの映画を観ると、
後半語られる内容の重さにめげてしまうかもしれません。
主人公ハンナの抱える人に言えない過去は、とても深刻で凄惨な体験でした。
私はそれなりに身構えて観たつもりでしたが、
やはりその体験談には 打ちのめされる気がしました。

 イザベル・コイシェ監督は、この作品が出来たのは
あるドキュメンタリーに携わったことがきっかけだったと言います。
ハンナの語る体験は信じ難いほど非人間的仕打ちですが、
実際にあったことを元にしているのでしょう。
 この作品中で、カウンセラーのインゲ女史は、ハンナのような人を
「生きていることを恥ずかしいと感じる人たち」と言います。
幸福なことに後ろめたさを感じる人たち。
硫黄島同様、悲惨な体験をしていない人間が
安易に理解したように語るのは はばかられるようにも思えます。
 ただ、ハンナは特殊な存在ではなく、
児童虐待、拉致監禁などといったことで、
現代日本でも起こりうることではないでしょうか。
そして、誰でも多少は持つであろう心の闇で共感することはできる様な気がします。

 映画は一見ハッピーエンドで終わりますが、
ハンナの問題が解決された訳ではありません。
ハンナの心の闇は消えたわけではなく、
それを生涯引き連れながら生きていくことになるのでしょう。
 この作品には冒頭、途中、最後に、少女のモノローグが入りますが、
少女が誰であるか最後まで説明されません。
しかし少女がハンナの中のトラウマの声であるのは明らかで、
最後にモノローグが入るのも、ハンナがずっと
彼女を抱え続けていることを示しているのです。
                            (☆☆(☆))

P.S.
 カナダ出身の主演女優、サラ・ポーリーは、ちょっと面白い経歴で、
芯の強い人であることを今回、公式サイトの関連リンクで知りました。
興味があればこちらを。


参照映画:「死ぬまでにしたい10のこと」 イザベル・コイシェ監督 2003年
    イザベル・コイシェ監督(前はコヘットと表記されてましたが…)の前作。
  英題は「My life without me」。 
  死期を知ったことで、やりたいことをリストにし、一つずつ実行していく女性の話です。
   気になったのは、彼女の作ったリストに自分のしたいことや、
  子供への思いはありますが、
  見事なまでに、夫に対する気遣いが無いことでした。
  気遣うどころか、浮気してみたいなんてリストアップしているのです。
   。。。あな、怖ろしい。
  本音のところ、女性にとって旦那の存在ってそんなものなんでしょうか。
[PR]
by am-bivalence | 2007-03-03 22:49 | 人間ドラマ | Comments(8)
 海外へ拉致の事実を広めたことに意義  公式ホームページ

 一般家庭の女子中学生が突然失踪する。
警察は誘拐と見て捜索するが手掛かりは無く、家出も疑う。
両親は独自に娘の消息を求めて奔走し続け、
2年後に北朝鮮による拉致の可能性に行き当たる。。。

 家族が拉致されなければ、普通に市民生活を過ごしていたはずなのに、
拉致被害者家族は事件に巻き込まれたばかりに、
日常係わることのない国際紛争、政治に翻弄されることになります。

 映画で見せる横田夫妻の素顔は、ごく平凡なおじさん、おばさんでした。
その普通さが、巻き込まれた事件の大きさと比べ、小さく非力に見えてしまいます。
そんな夫妻が決してあきらめずに娘を取り戻そうと活動し続ける、
その力はどこから来るのでしょうか。

 この作品は、アメリカのジャーナリストが二人で監督していますが、
ここに出てくる拉致事件の内容は日本で既に報道されているもので、
目新しいものはほとんどありません。
むしろ、小泉訪朝までアメリカのジャーナリストが
拉致の事実を知らなかったことが、私には驚きでした。
 出てくる映像とインタビューは、ほとんど日本と日本語なのですが、
東洋趣味のBGM、時々挿入されるエキゾティックな日本の風景が
洋画であることを思い出させます。
 世界に拉致事件を知らしめたことに、この作品の意義があったようです。
                                      (☆☆)
[PR]
by am-bivalence | 2007-02-17 00:36 | ドキュメンタリー | Comments(0)