劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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 練りこまれたプロットと細部までの気配りがすごい、
                目を凝らして見直したくなる映画
 公式サイト

 とにかくこの映画、困ったことに、
何を感想に書いてもネタバレになりそうな映画です。
さて、何を書くべきか。。。

 この映画のプログラムには、最後に袋綴じされた採録シナリオが付いています。
シナリオが載っているプログラムは、かなり珍しいのですが、
これには正直、助かりました(^^;。
 複雑なこの映画の一度で観て解らなかったところは、
もう一度観るか、このシナリオを読むことをオススメします。
記憶のあやふやな部分や、最後まで観て疑問に思った最初の部分が
随分すっきりします。

 採録シナリオを読むと、改めて、細部まで注意を払って
作られていることがわかります。
それは観客だけでなく、登場人物達の誤解や行き違い、
思い込みを巧みに使っていて、筋の通ったプロット運びがみごとです。
原作になるミステリー小説もなく、監督オリジナル脚本なのが素晴らしいと思います。
映画ならではのトリックもありますし。

 前半、物語は島崎を名乗る探偵に教師の神野が
振り回される形で進みますが、この時はさほど謎らしい部分が見当たりません。
どこに伏線があるのだろうと思いながら観ていると、
後半突然、"どういうこと?"と、観客は訳がわからなくなり、
置いていかれたまま、ストーリーが進んでいきます。
でも、この状態を辛抱して観続ければ、断片的に状況が見えてきます。
最後には登場人物達も知らなかった細部も解って、にやりとさせられるのです。

 ポスターや公式サイトのトップがジグゾーパズルをモチーフにしていますが、
まさにパズルを見せられているような映画です。
ただその分、観終わった後の感動はライトな感じがします。
 監督が主演に大泉洋を起用した理由を、
"出ているだけで軽い感じがするから"
と述べていたので、後味がずしっと感情を揺さぶるようなものでなく、
軽い爽快感の残る程度なのも、監督の好みなんでしょう。
 でも後半の神野のセリフ、
「お前がつまらないのは、お前のせいだ」
にはギクリとさせられました。
            (☆☆☆☆)
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by am-bivalence | 2008-05-27 21:39 | ミステリー | Comments(0)

screen62 つぐない

 最後につぐないの意味を考えさせられる 公式サイト

 このところベストセラー小説の映画化作品ばかり観ていますが、
この映画は原作を読んでいません。
でも本作は映画最後のどんでん返しが秀逸と評判だったので、観てみました。
 以下、ネタバレしないように書きますが、
観ていない人には何を言っているのか分からないかも。。。
(って、いつものことか)

 確かに映画最後に、この物語のある意外な真相が明かされ、
”つぐない”とは何だったのか、本当の意味が判ります。
映画の冒頭から響いているタイプの音は
そういうことだったのかと、納得しました。

 このどんでん返し、素直に受け止めれば
ああそうだったのかと、感動できるでしょう。
償いようの無くなった過去を贖罪する手段としては、
こんな方法しかなかったかも知れません。

 でも、と、疑問がもたげてきます。
これが本当に贖罪になるのかどうか。
ひねくれた見方をすれば、
これは自身の罪でさえも作品の糧にしてしまったとも取れます。
償えない罪を償うというジレンマ、
この解はそう簡単には出ないようです。

 また、映像的にはあまり評判の良くない戦場のシーン、
確かに作品のテーマにはあまり関連ないシーンですが、
5分以上の長回しシーンは実験的で面白く、
私はそれなりに楽しめました。

戦場の長回しシーンといえば印象的だったのが
「トゥモロー・ワールド」でしたが、
「トゥモロー・ワールド」が戦場を体感させてくれたのに対し、
本作は打ち上げられた帆船や、観覧車など
戦場とは思えない風景が超現実的で、
幻想的で混沌とした世界に踏み込んだ感覚を受けました。
                   (☆☆☆)
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by am-bivalence | 2008-05-01 00:01 | 人間ドラマ | Comments(2)
 意外に斬新さを感じないが、良くできたエンターテインメント 公式サイト

 同じ出来事を何度も繰り返す複数視点の映画といえば、
私が思い出すのは「閉ざされた森」とか、「ラン・ローラ・ラン」とか。。。
最近では「アヒルと鴨のコインロッカー」もその部類でしょうか。
これらの映画は同じ事件を繰り返しても、
それを語る人物の主観や嘘が入っていて、
同じ事実が微妙に異なっていました。

 でも「バンテージ・ポイント」はちょっと違います。
映像で見せる事実は皆同じです。そこに主観や嘘はありません。
でも、人物によって知る事実が違ってくるので、
観客は最後に事件の全容が分かる構成になっています。
ちょっと変わった映画ではあります。

 ただ実際に映画を観ると、思ったほど斬新さを感じなかったのが残念です。
それは複数視点といっても、
完全に登場人物の視点になっていないからのように思います。
 たとえば大統領狙撃後、広場で起こる爆発は、
常に広場上空から爆発を捉えたカットが入ります。
それが、複数の人物それぞれからの視点というより、
同じ映像を繰り返し見せられているように感じてしまい、
途中ちょっと飽きてしまう原因となっています。

 それでも後半、大統領の視点でストーリーが進むと、
事件の舞台裏が明らかになってきて、物語が俄然面白くなってきました。
シークレット・サービスの主人公がモニターを見て
陰謀の真実に気付く場面も良く考えられています。

 また、「ボーン・アイデンティティー」のように小型車を使った
後半のカーチェイスは、なかなかスリリングでした。
 最近の映画はカーアクションを派手にしようとするあまり、
その程度の目的のために、そこまで命懸けでやるか?と思う事が多いのですが、
この映画のシチュエーションは、捨て身で追いかけるのに無理がないので、
カーチェイスに入り込めました。

 とにかく細部までかなり練られた脚本で
楽しませてくれる娯楽作品でした。
               (☆☆☆)
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by am-bivalence | 2008-03-27 22:55 | サスペンス・スリラー | Comments(2)

screen40 キサラギ

 疑問を解いていく先には。。。の、タマネギ映画  公式サイト

 映画クチコミサイト等の満足度ランクでずっと上位に挙がっているこの映画、
近所で公開されたので観てみました。

 確かに脚本はすごく練られていて、見事です。
ワンシチュエーションという難しい設定にもかかわらず、
2時間のあいだ飽きさせず、物語に引き込ませてくれます。

 焼身自殺したアイドル如月ミキの一周忌に集まったファンサイトの常連5人が、
如月ミキの死の真相を議論していくという内容なんですが、
謎解きに凝っているものの、基本はコメディ。
アイドルオタクのディープなところを笑うだけでなく、
会話の面白さも楽しませてくれます。

 自殺とされた死に、他殺の疑いが出て、
徐々に如月ミキと集まった5人の関連も明らかになっていきます。
如月の死の真相に至るまでが、
謎解きそのものを楽しむ探偵小説のようで、出色です。
 謎という皮を剥いでも、剥いでも、謎が出てくる
タマネギのようなプロットが良くできています。

 ただ、謎解きミステリ映画としては面白いのですが、
これに感動とかカタルシスがあるかというと、
私は?となってしまいます。
如月ミキの死の真相は一応、明らかになりますが、
そこに感動的なドラマがあるわけでもありません。
純粋な探偵小説が読むパズルなら、これは観るパズルとも言えます。
 タマネギを剥き続けると無くなるように、
謎を解き終わってみると、真相解明のすっきり感以外、
私の手元には残っていないのでした。
                    (☆☆☆)
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by am-bivalence | 2007-10-07 21:47 | ミステリー | Comments(2)

screen 20 デジャヴ

 タイトルを誤った佳作  公式サイト

 このブログで最初に取り上げた「トゥモロー・ワールド」は、
宣伝で損をしていたと思います。
SFであるのを強調し、人類の明日は?という点に興味がいくよう仕向けたからです。
しかし実際の映画は、SFの自由さを使って現代を比喩したものであり、
SF的人類存亡の危機を解明していくものではありませんでした。
だから宣伝に惹かれて観た観客は、肩透かしされたように思ってしまったのです。
 「デジャヴ」も内容とは関連無いタイトルが、観客にあらぬ方向へ期待を持たせ、
結果、ストーリー展開に戸惑いを感じてさせてしまっています。

 「デジャヴ」は、主人公が既視感を感じたわけでもないし、
(劇中そんな描写は無かったように思うんですが。。。)
自分の既視感を解明するために動いていたわけでもありません。
 本作のテーマは"運命は変えられないのか"にあると思います。

 この映画、リアルな現在を舞台設定にしているにもかかわらず、
一点、突飛な設定がされています。
同じトニー・スコット監督の「エネミー・オブ・アメリカ」のテクノロジーを、
大きく飛躍させたような装置です。
それが受け入れられれば、この映画は楽しめます。

(以下、完全にネタバレ)
 私、タイムトラベル映画って、好きなんです。
伏線が幾つもあって、それが後から「ああ、そうだったのか」と、
パズルのように埋まっていく面白さ、
何度も見直して、伏線を検証したり、別な伏線を発見する楽しさがいいです。
 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」、「バタフライ・エフェクト」、
「サマータイムマシーン・ブルース」、「時をかける少女(06年アニメ版)」、
いずれも傑作ぞろいだと思います。

 「デジャヴ」は、テロで失われた人命を何とか救おうと過去に干渉するんですが、
過去を変えたつもりが、実は変わっていなかったりします。
やはり運命は変えられないのかと思わせる演出がスリリングで、最後まで飽きさせません。
観終わってからも、この後どうなるのだろうと考えさせられました。
あのままでは、デンゼル・ワシントンは結局死ぬ運命にあるのですから。
ん?何か変だな?
 流れは変わったから、これ以上干渉はいらないってことですか。
                          (☆☆☆)

参照映画:「サマータイムマシーン・ブルース」 本広克行監督 2005年
  真夏のある日、エアコンのリモコンが壊れた大学のSF研部室に、
 タイムマシーンが現れることで起こる騒動を描く、傑作コメディ。
  タイムトラベル物というと、過去に戻って信長を倒し日本を変えようとか、
 話が大仰になり易いんですが、
 この映画は、そんなことを全く考えないところがいいです。
  脚本が秀逸で、SF的考証をきっちりやっており、
 タイムパラドックスを分かりやすく解説してくれます。
 過去を簡単に変えてしまう「バック・トゥ・ザ・フューチャー」等とは違った
 独自の世界観を見せています。
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by am-bivalence | 2007-03-25 11:55 | サスペンス・スリラー | Comments(4)