劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

タグ:ミステリー ( 12 ) タグの人気記事

 誰にも言えない、言いたくない、想いを抱えて 公式サイト

 この映画、観たのは2月なのですが、ずっと心の隅に引っかかっていました。
物語の核心ともいうべきところをどう解釈していいのか、分からなかったからです。
(以降はネタバレになるかも知れません。気にされる方は映画を御覧になってから読んでみて下さい。)

  9.11で大好きな父親を失った少年オスカーが、父の遺品の中に鍵を見つけ、その意味を探そうとするこの物語。
オスカーは性格的に人と接するのが苦手で、自分を鼓舞するためにタンバリンを持ち歩き鳴らしながら、人を訪ねて歩きます。
 当初観客には、オスカーが父の面影にこだわり続けるのは、父への思慕や、父を失ったことを受け入れたくない感情からのように見えていました。
ところが終盤になって実はそれだけではなく、オスカーはある罪悪感からも父の死に捉われていたことが明らかになるのです。
 なぜ映画(原作)は、オスカーにそんな"罪"を負わせる宿命を課したのでしょう?
喪失感を描くだけでも物語として十分成立するはずなのに?

 映画には途中からオスカーと行動を共にする、言葉を失くした老人が登場します。
彼は昔のある出来事によって声を出せなくなったらしいのですが、彼の過去に何があったのか、老人は語りたがりません。
 また、オスカーが鍵の出所を探して訪ね歩く人々は、どれも一癖ある人たちばかりです。
  離婚寸前の夫婦、
  話をしていると何度もハグしてくる人、
  話を聞こうともせずに追い返す人。。。
彼らがそうするには何か”訳”がありそうなのですが、映画ではそれらは一切語られません。
 なぜ意味ありげな人達を登場させておきながら、一切説明をしないのでしょう?
9.11という一般には理解しがたいテロによって奪われた人々、
不条理なこともあるがままに受入れよという示唆なのでしょうか?

 先月は3.11から1年、
TVではその日が近づくと3.11の特集番組がいろいろ放送されました。
私は幾つかを部分的に観て、幾つかを記録として録画しておいたまま、
ずっと放置していました。
私は首都圏にいて大きな被害を受けたわけでもないのですが、
あの頃を振り返るのはまだちょっと気が重かったからです。
 最近になってそれらを観始めた時、ふと思いました。
未曾有の災害を前にして、我を失った人たちは少なくなかったはずです。
気が付くと目の前に迫る大津波に、我先に逃げ出していた人、
傍にいた人に手を差し出せば助けられたかもしれないのに、
自身の危険を感じて手を伸ばせなかった人。
あの時何かもっとやれることがあったはずと、悔んでいる人もいるはずです。
 そういった人達は今、心の奥に後ろめたい罪悪感を抱えているかもしれません。
でもそんな想いは誰にも話せないし、話したくないでしょう。

 「ものすごく…」のオスカーが罪悪感という秘密を抱えていたのは、
そんな人達を代弁するためだったのではないでしょうか。
口がきけなくなった老人も過去にそんな経験をしたために、
それを打ち明けたがらないのでは?
オスカーが出会うちょっと変わった人達も、
なにかしら似たような傷みを抱えて生きているのでは?
 だとしたら、生き辛いのは自分だけではなく皆同じ、誰もが何かしら持っているもの。
あの時は勇気が出なかったけれど、今度はタンバリンを鳴らして向かっていこう、
次はもう少し前に踏みだせる。。。
 そんなことをあの映画は伝えたかったのではないでしょうか。

 そう思い至った時、あの物語が2ヶ月目でやっと腑に落ちた気がしたのでした。
                                      (☆☆☆)
[PR]
by am-bivalence | 2012-04-13 22:20 | 人間ドラマ | Comments(0)

SCREEN125 エル・スール

スペイン内戦を知らないと理解できない、
    観る者の想像を刺激する未完映画


 日本映画の名匠小津安二郎監督は映画について、
“言いたいことは隠せ”と言っていたそうです。
“観客に解らなくてもいい、隠せ”とまで言っていたとか。
ビクトル・エリセ監督のスペイン映画「ミツバチのささやき」はまさにそんな映画でした。
フランコ政権下で製作された「ミツバチのささやき」は、
体制批判やスペイン内戦が隠喩として含まれていました。
 「ミツバチのささやき」の10年後、1983年に製作された「エル・スール」も
結果的に主題を隠す形になってしまった映画のようです。
当初製作されるはずだった後半部分が予算不足で撮影できず、
劇中描かれている父親をめぐる幾つかの謎が残されたままになっているからです。
でもそれが観客の想像を掻き立て、観た者に大きな余韻を残す映画になりました。

 舞台は1957年のスペイン北部、娘エストレリャが枕元に愛用の"振り子"を残して去って行った父の思い出を回想する形で映画は進みます。
医師である父は"振り子"を使って水脈を探り当てたり、
生まれてくる子供を娘だと言い当てたりする、不思議な才能も持っています。
 敬愛する父が祖父と"ケンカ"し二度と故郷の南に戻らないことを聞き、
エストレリャは南に興味を持ち始めます。
エストレリャの初聖体拝受の日、南から祖母と乳母が立ち会うためにやってきますが、
父は裏山で猟銃を撃っていて手伝おうともしません。
式にも隣席せず、教会の物陰で見守るだけの父。
ある日エストレリャは父がイレーネ・リオスという女性を密かに思い、
彼女と関わりがあることを知ります。。。

この映画は苦悩する父を見つめる少女の成長物語と解説されることがありますが、
それにはちょっと違和感を感じます。
この映画では少女は身体的に成長していても、精神的にはまだ成長できていないからです。
それは製作されるはずだった後半部分、少女が南部で父の過去を知ることで
成されるはずだったのかもしれません。
監督がこの映画を不完全と呼んでいるのはそんなところにもあるのではないでしょうか。

 この映画の真の主役は娘の視点を通して間接的に描かれた父とその過去です。
映画の舞台はスペイン北部なのに、タイトルが父の過去がある南部を指す
「エル・スール」であるのがそれを象徴しています。
その父の苦悩、無念、憤り、孤独は、スペイン内戦を知らないと正しく理解できないと思います。
 以前「パンズ・ラビリンス」でも触れましたが、
スペイン内戦は自由主義、社会主義政権だった第二共和制政府が
フランコのファシズム反乱軍に敗れた戦争でした。
第二次大戦後もスペインは唯一ファシスト独裁政権が続き、
共和制の残党は弾圧されていたのです。
父親はその共和制側で、内戦後故郷の南部から北部へ逃れてきたようです。
劇中乳母ミラグロス(同名の乳母は「ミツバチのささやき」にも登場します)
が語ったように、父は共和制側、祖父は反乱軍側であり、
肉親と言えど対立、罵り合ったのは、スペイン内戦の一つの典型でした。
 娘の聖体拝受式に父親が参加しようとせず、
裏山でうっぷんを晴らすように猟銃を乱射していたのも、
保守的教会勢力は反乱軍を支持したため共和制の敵だったからでしょう。
(サグラダ・ファミリアが内戦時に破壊の対象となり、
建設続行不能と言われるほど痛手を受けたのもこのためでした。
戦争ではどちら側にも正義はないのです。)

 映画はエストレリャが南へ旅立つ所で終わりますが、
この映画には原作小説があって、原作では南での出来事も描かれています。
彼女は南で父が連絡していた女性を探し、異母兄弟に会うことになるのです。
ただ、南でも父の過去について新たに判明することはあまりありません。
原作は映画と異なる点も多いのですが、映画の後半が作られたとしても、
原作と同様、父に昔何があったのかは結局隠されたままで、
観客の想像に委ねられたのかもしれません。
                           (☆☆☆☆)
[PR]
by am-bivalence | 2012-03-10 13:51 | 人間ドラマ | Comments(0)
 ただのホラ話と侮れないテーマを含む?  公式サイト

 fish storyとは、ホラ話のことだそうです。
ではこの映画のどこがホラ話かというと、
全く売れなかったパンクバンドの曲が37年後、地球を救っちゃうってこと。
音楽でどうやって地球を救うんだ?って思いながら観ていましたが、
確かにパンクの曲が世界を救っていました(笑)。

 「フィッシュストーリー」は「アヒルと鴨のコインロッカー」の組み合わせ、
原作・伊坂幸太郎、監督・中村義洋の第二弾。
「アヒルと鴨…」や「チーム・バチスタ…」と同様、
中村監督らしいコメディタッチの映画ですが、
「アヒルと鴨…」のような感動はあまり期待しないほうがいいです。
この映画はホラ話を成立させるため、説明に物語の大半を費やしているからです。
だから全体的にはアイディア勝負の単館系小作品といった印象になっています。
 でも、それはそれで楽しいですし、時代をまたがって語られる複数のエピソードが
最後にパンクバンドの演奏をバックにぴたり繋がっていく構成は
それなりにカタルシスがありました。

 この映画は言ってみれば、使い古された"ことわざ"一言で表せてしまいます。
それを言ってしまうと、なあんだと思われてしまうかもしれませんが、
単にそれだけではない深いものを含んでいるような気がします。
その辺りは、"以下ネタバレ"の後で。。。
                           (☆☆☆)

 <以下、ネタバレ>
[PR]
by am-bivalence | 2009-04-02 23:50 | コメディ | Comments(0)
 悲劇なのに幸福感に満ちて終わる、
     この感覚は「パンズ・ラビリンス」の再来
  公式サイト

 今年最初の映画は、「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロ監督が
プロデュースしたスペイン映画。
本作の監督J.A.バヨナは長編初監督ながら、
本国スペインでは大ヒットし、数々の賞も獲得しているそうです。
 ちょっと驚いたのは、チャップリンの娘ジェラルディン・チャップリンが
重要な役柄で出演していること。
彼女は最近では「トーク・トゥ・ハー」等にも出演しているそうですが、
私が観たのは「ドクトル・ジバコ」以来だったので、えっと思ってしまいました。
昔の面影があって、良い感じに歳を重ねているように見え、新鮮でした。

 さてこの映画、基本はホラーなんですが、物語の中心には
映画途中で失踪してしまう息子が何処に行ってしまったのか、
なぜ失踪してしまったのか、といった謎があるミステリーでもあります。
 この映画のレビューには、よく「シックス・センス」や
「アザーズ」が引き合いに出されます。
幽霊を扱っていたり、最後にどんでん返しがある点など、共通点がありますが、
「シックス・センス」や「アザーズ」のような観客を引っ掛ける類のものではありません。
それよりも私が見終わった時の印象は「シックス・センス」とも「アザーズ」とも違って、
後味が「パンズ・ラビリンス」に似ているなあ、ということでした。
ネタバレになるので詳しく書きませんが、
観終わった最後に残る幸福感、
しかも悲劇的な最後のはずなのに、幸福感に満たされて終わっているのが
「パンズ・ラビリンス」っぽいのです。

 ギレルモ・デル・トロ監督はただプロデュースしただけのように言っていますが、
デル・トロ作品に通じる箇所が幾つも見受けられます。
(元)孤児院が舞台であること、子供の霊が鍵を握るとかいった設定は
「デビルズ・バックボーン」を連想させます。
先に書いた観賞後感や、2つの世界が交錯するのも
「パンズ・ラビリンス」と共通するものです。
ちょっと出てくるグロい映像もデル・トロ好み(笑)。
それだけデル・トロの嗜好にあった脚本だったからプロデュースした、
ということでしょうか。
 「パンズ・ラビリンス」のエンディングを気に入った人なら、
きっと感動できる映画だと思います。
                    (☆☆☆
[PR]
by am-bivalence | 2009-01-11 23:05 | ホラー | Comments(0)
 「藪の中」にこんな解釈があったのか  公式サイト

月に一度の映画の日、何か面白い映画はないかと探していたら、
新宿で「羅生門 デジタル完全版」を限定公開しているのが目に止まりました。

 「羅生門」は言わずと知れた黒澤明の古典的名作です。
大映の資産を買い取った角川映画が、原版の劣化がひどかった「羅生門」を
各種機関と提携して 複数の上映プリント等から完全デジタル修復したので、
それを限定公開した、というわけです。
 どんな修復だったのかは、2月に発売されるブルーレイの宣伝サイト
一端を見てもらうとして、
「羅生門」のオリジナルネガは諸般の事情で廃棄され現存せず、
上映プリントも残っているものが意外に少なかったそうで、
修復はかなり苦労したようです。

 実際に観てみると、像、音声とも鮮明で、古さを全く感じさせませんでした。
随分前ですが、「七人の侍」のリバイバル上映を観た時は
音声が一部かなり不鮮明だったことを思うと、格段の差です。
 ただ完全版といっても、カットされたシーンが追加されているわけではないそうです。

 「羅生門」は恥ずかしながら、私はちゃんと観たことがありませんでした。
何十年も前に、テレビ放送していたのを断片的に観た覚えがあるのですが、
当時は芥川龍之介の原作も読んでいなかったので、
不条理な映画としか印象にありませんでした。

 芥川の原作「藪の中」自体、食い違う証言に、
人間行動の真相とは不可知なものだというのがテーマと言われていたので、
そんな映画だったと決め付けていたのですが、
今回改めて観て、ぜんぜん違う映画だったことを知りました。
 映画「羅生門」で黒澤監督らは、芥川の原作の裏に隠された真相を推理し、
それを映画化していました。

 原作では、強盗、暴行を働いた多襄丸の証言、
暴行された女の証言、暴行された女の夫で死んだ侍の霊の証言があり、
どれも人殺しをしたのは自分であると主張して、
誰が犯人か分からぬまま終わっています。
 「羅生門」では、ここまでは原作をほぼ忠実に描き、
この後、第四の証言者として、きこりを登場させます。
第三者の目撃として、実際はこんなことが起こったのだというのを
提示して見せるのです。

 これはおそらく、当事者3人の証言が、
盗人は盗人らしくすごんで見せ、女は貞淑さを装い、
侍は自身の不甲斐なさを嘆いてみせるといった、
それぞれ自分を演出していることに気付いたからではないでしょうか。
 黒澤監督らは「藪の中」に、事実の不可知ではなく、
自分を正当化するためには、意識するしないに関係なく、
都合よく事実を湾曲してしまう人間の業を見たのでしょう。

 ただ、きこりも最後で暴露されるように、
完全に第三者というわけではありません。
彼の証言も何らかのバイアスが掛かっている、ということで
真相はやはり分からないという含みを残したのでしょうか。

 ラストはきこりが捨て子を引き取っていくことで、一抹の救いを見せて終わります。
しかし、ここで私が引っかかったのが、タイトルの「羅生門」。
同名の芥川の名作短編「羅生門」は、
羅生門の上での男と老婆のやり取りから、
ころころ変る人間心理を描いたものなのです。
 罪を悔いて子供を引き取ったきこりの決心が
いつまでも変らないのだろうかと疑問を呈しているようにも。。。
と考えるのは、うがち過ぎですかね。
               (☆☆☆☆☆)
[PR]
by am-bivalence | 2008-12-03 21:37 | 時代劇 | Comments(0)

screen94 言えない秘密

 これは作品の欠陥なのか、伏せられた「秘密」なのか 公式サイト

 ネットでの評判が悪くなかったので、
ほとんど予備知識の無い状態ながら観に行った一本です。

 前半はコテコテの純愛ラブストーリー。
韓流映画を髣髴とさせる演出で、
韓国ドラマにはまった奥様方にはオススメです。
いや、皮肉じゃなく、二人の節度あるベタベタ感、
私は嫌いじゃないです。
ヒロイン、シャオユーを演じたグイ・ルンメイがキュートだったから、
というのもありますけど(笑)。
 映像もきれいです。
ロケに使われた音楽学校はジェイ・チョウの母校だそうで、
こんなハイソな雰囲気の(衣装の制服に因るところも大きいんですが)
ミッション・スクール風学校が台湾にもあるんですね。
ジェイ・チョウの育ちの良さが分かる?
校庭にあるヤシの木が唯一、南国を感じさせます。

 問題なのは後半で、
これがネタバレ無しに語ることがほとんど出来ません。
強いて言えば、SFファンタジー的展開と結末が待っています。
(邦画で似たような映画があったなぁ。。。アニメは秀作でした。)
私は途中までシャオユーは幽霊なのかと思っていました。
。。。これだけ書いても、ネタバレ寸前。
 さらに一番の問題はこの映画、観終わると細部に疑問点が数多く残ること。
映画としてけっして悪くは無いんですが。。。
脚本が練り切れていないんじゃないかと思っていましたが、
プログラムを読むと、意図的にあえて説明せず、
「秘密」にしている部分もあるらしいです。
 それが演出として効果を上げているかはさておき、
やはり映画表現的におかしいのではないかと思うところもあって、
もう一度最初から見直さないと分からないというのが正直な感想です。
でも1週間限定上映だったので、もう見直す機会がないし。。。
DVDリリースを待ちましょう。
            (☆☆)

 疑問点について、私なりの見解を下に記しておきます。
たぶん映画を観た多くの人が引っ掛かると思いますし、
自分でも後で細部は忘れてしまうと思うので。
 疑問点に関しては、映画生活>作品情報の掲示板が参考になりました。

 
 !!注意!!
完全にネタバレのうえ、映画を観ていないと何のことだか分からないので、
観ていない人はお読みにならないのが賢明です。

 *疑問点はこちら*
[PR]
by am-bivalence | 2008-11-29 01:18 | ラブストーリー | Comments(9)
 練りこまれたプロットと細部までの気配りがすごい、
                目を凝らして見直したくなる映画
 公式サイト

 とにかくこの映画、困ったことに、
何を感想に書いてもネタバレになりそうな映画です。
さて、何を書くべきか。。。

 この映画のプログラムには、最後に袋綴じされた採録シナリオが付いています。
シナリオが載っているプログラムは、かなり珍しいのですが、
これには正直、助かりました(^^;。
 複雑なこの映画の一度で観て解らなかったところは、
もう一度観るか、このシナリオを読むことをオススメします。
記憶のあやふやな部分や、最後まで観て疑問に思った最初の部分が
随分すっきりします。

 採録シナリオを読むと、改めて、細部まで注意を払って
作られていることがわかります。
それは観客だけでなく、登場人物達の誤解や行き違い、
思い込みを巧みに使っていて、筋の通ったプロット運びがみごとです。
原作になるミステリー小説もなく、監督オリジナル脚本なのが素晴らしいと思います。
映画ならではのトリックもありますし。

 前半、物語は島崎を名乗る探偵に教師の神野が
振り回される形で進みますが、この時はさほど謎らしい部分が見当たりません。
どこに伏線があるのだろうと思いながら観ていると、
後半突然、"どういうこと?"と、観客は訳がわからなくなり、
置いていかれたまま、ストーリーが進んでいきます。
でも、この状態を辛抱して観続ければ、断片的に状況が見えてきます。
最後には登場人物達も知らなかった細部も解って、にやりとさせられるのです。

 ポスターや公式サイトのトップがジグゾーパズルをモチーフにしていますが、
まさにパズルを見せられているような映画です。
ただその分、観終わった後の感動はライトな感じがします。
 監督が主演に大泉洋を起用した理由を、
"出ているだけで軽い感じがするから"
と述べていたので、後味がずしっと感情を揺さぶるようなものでなく、
軽い爽快感の残る程度なのも、監督の好みなんでしょう。
 でも後半の神野のセリフ、
「お前がつまらないのは、お前のせいだ」
にはギクリとさせられました。
            (☆☆☆☆)
[PR]
by am-bivalence | 2008-05-27 21:39 | ミステリー | Comments(0)
 推理物としてはもうひとつだが、コメディ部分は楽しめる 公式サイト

 私の知人に一人、お医者さんがいるんですが、
いつも会うたびに一度は、勤務医がいかに薄給で
長時間労働させられているか、聞かされます。
 一般人のイメージと大分異なりますが、
「ブラックジャックによろしく」などを読むと、事実のようです。
(知人のお医者さんは、当直などで月に数日しか休みが無いらしく、
そのストレス解消に、貴重な休日を日本中遊び歩いています(笑)。)
 保険法の改正で、病院の倒産が増えてるという状況といい、
日本の医療はちょっとやばいことになってます。
 こんな日本に誰がした?、厚生労働省!

 あ、ちなみに、メタボリックシンドロームなる言葉を少し前によく聞きましたが、
あれは厚生労働省のキャンペーン。
 膨らみ続ける医療費を抑えるために、まずは病気を減らそうと、
成人病の元となる肥満を予防させようとしているそうです。
小役人の考えそうな、姑息な手段です。
 この映画にも、頭は切れても傲慢な役人を阿部寛が演じていて笑わせてくれます。

 「チーム・バチスタの栄光」、原作はまだ読んでいないんですが、
映画を観る限り、推理物としては"?"と思います。
最後の謎解きまで、犯人の手がかりとなるものが提示されませんし、
犯人の特定にも、医療の専門知識が必要です。

 推理よりも、この映画の一番の見所は、
田口と白鳥のコンビによるコメディ部分でしょう。
施術中の殺人事件というとシリアスなドラマを期待するでしょうが、
観た後振り返って最も楽しめたのが、二人の掛け合いでした。
その点は、予告編から受けるイメージを裏切りませんでした。
(もちろんドラマ全体はコメディではありませんし、
バチスタ手術のシーンも緊張感があってスリリングなんですが。)
 竹内結子演じる田口医師役は原作では中年男性だそうですが、
これを女医に変えたのは成功していると思います。
濃いキャラクターの白鳥と中年男がコンビでは、
脂ぎり過ぎて、暑苦しかったでしょうから。

しかし、冒頭とラストのソフトボールのシーンは
映画の流れとほとんど関係なく、不要だったのではないでしょうか。
                              (☆☆)
[PR]
by am-bivalence | 2008-02-16 10:30 | コメディ | Comments(2)
 観光もできる宝探しRPG  公式サイト

 以前アメリカに住んだことのある知人の話によれば、
アメリカ合州国は建国してまだ歴史が浅いので、
アメリカ人は長い歴史を持つヨーロッパや日本に羨望があるそうです。
アメリカは歴史が浅いがゆえに、
ほとんどの史実がはっきり記録として残っていて、
アメリカ人は、そんな自分達の歴史を大切にするのだそうです。
何かと言えば歴史的建造物や史跡として保存したり、
記念碑や記念館を造りたがるらしいです。アメリカ人は。
 真偽はとにかく、「ナショナル・トレジャー」を観て、
アメリカ人のそんな歴史に対するこだわりを思い出しました。

 前作「ナショナル・トレジャー」は、宝探しにアメリカ独立宣言書が絡み、
アメリカ建国にまつわる名所旧跡を巡ったりして、観光もさせてくれました。
今作では、リンカーン暗殺が事件の発端になるものの、
リンカーンは全く関係なく、暗殺者の背後にいた組織の隠し財産を探す事になります。
今回もラシュモア山のような、いかにもアメリカといった名所のみならず、
パリやバッキンガム宮殿といったアメリカ以外の観光名所にも
連れて行ってくれます。

 映画の中心は宝探しの謎解きで、
謎を解くと次の謎が現れ、それを追っていくとまた次の謎が与えられ。。。
と、次から次へ課題をクリアーしていくRPGのように
興味を次から次に繋いでいくストーリー運びはうまいです。
 ただ、謎解き中はそれなりに面白く、楽しませてくれるんですが、
観終わった後についこんな疑問が出てきてしまいます。
 。。。何でこんな回りくどい隠し方をするんだ?
 まあ、それは探偵小説で、"何で密室の必要があるんだ?"と疑問を持つようなもの。
考えてはいけないのでしょう。

 それにしてもブラッカイマーは、毎回風呂敷を広げるのはうまいのですが、
広げ過ぎるきらいがあるようです。
 今回ベンたちを追う敵役ウィルキンソンなどは、
よその国であれだけ無茶なカーチェイスをやるので、
凄い組織がバックにあって、何か大きな目的があるのかと思っていたら、
彼の真の目的が最後に解ると、唖然となってしまいました。

 ともあれ、お正月に家族で楽しく映画を観るにはいいんじゃないでしょうか。
                                      (☆☆)
[PR]
by am-bivalence | 2008-01-10 21:55 | アクション | Comments(7)

screen40 キサラギ

 疑問を解いていく先には。。。の、タマネギ映画  公式サイト

 映画クチコミサイト等の満足度ランクでずっと上位に挙がっているこの映画、
近所で公開されたので観てみました。

 確かに脚本はすごく練られていて、見事です。
ワンシチュエーションという難しい設定にもかかわらず、
2時間のあいだ飽きさせず、物語に引き込ませてくれます。

 焼身自殺したアイドル如月ミキの一周忌に集まったファンサイトの常連5人が、
如月ミキの死の真相を議論していくという内容なんですが、
謎解きに凝っているものの、基本はコメディ。
アイドルオタクのディープなところを笑うだけでなく、
会話の面白さも楽しませてくれます。

 自殺とされた死に、他殺の疑いが出て、
徐々に如月ミキと集まった5人の関連も明らかになっていきます。
如月の死の真相に至るまでが、
謎解きそのものを楽しむ探偵小説のようで、出色です。
 謎という皮を剥いでも、剥いでも、謎が出てくる
タマネギのようなプロットが良くできています。

 ただ、謎解きミステリ映画としては面白いのですが、
これに感動とかカタルシスがあるかというと、
私は?となってしまいます。
如月ミキの死の真相は一応、明らかになりますが、
そこに感動的なドラマがあるわけでもありません。
純粋な探偵小説が読むパズルなら、これは観るパズルとも言えます。
 タマネギを剥き続けると無くなるように、
謎を解き終わってみると、真相解明のすっきり感以外、
私の手元には残っていないのでした。
                    (☆☆☆)
[PR]
by am-bivalence | 2007-10-07 21:47 | ミステリー | Comments(2)