劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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 3D演出が楽しい3Dで観るべき映画  公式サイト

 「アバター」のヒット以来、完全に市民権を得た3D映画。
「でも3D映画って、単に奥行きがあるだけじゃん」って思っているあなた、
3D映像の表現力を侮ってはいけません。
そういう人にはこの「ヒューゴの不思議な発明」を観て頂きたい。

 冒頭、カメラがパリの駅構内を横断していく1ショット撮影から始まって、
ヒューゴが住む迷宮のような駅舎内を縦横に動き回る時の臨場感。
 あるいは後半の映画撮影スタジオで水槽越しに海底シーンを撮るカットの
実際に水槽を前にしているようなリアリティ。
 駅構内でヒューゴが彼を目の敵にする鉄道公安官に尋問されるシーンでは、
「ボラット」の怪優サシャ・バロン・コーエン演じる公安官の顔が飛び出して迫ってくる
演出に、おもわずニヤリとさせられました。
スコセッシ監督、3Dで遊んでます(笑)。
 最初、スコセッシ監督が3D映画を作ったのが意外でしたが、
実際に映画を観てみると、監督自身、以前から立体映像が好きだったというのが分かる気がします。
昔の記録映画のカットをコンピュータで3D化してみせるのも、
こんな使い方があったかと、ちょっと新鮮でした。

 もう一つ意外に思っていたのが、「タクシードライバー」「ディパーテッド」の
スコセッシ監督が児童文学を映画化したこと。
お孫さんにも観せられる映画を撮っておきたかったのかと思ったのですが、
(実際に娘さんに観せられる物を作りたかったのも動機だそう)
話の中核が最初のSF映画と言われる「月世界旅行」を撮ったジョルジュ・メリエスだったことで納得しました。
スコセッシ監督、フィルムの退色問題に抗議して「レイジング・ブル」を白黒で撮ってたんでした。
古い映画への憧憬、保存問題への造詣の深さは人一倍のはず。
この原作を映画化するのはスコセッシ監督ならではの選択でした。

 出演陣もクリストファー・リー、ジュード・ロウと豪華ですし、
ちょっとハツラツ演技過剰ながらクロエ・グレース・モレッツも可愛い(笑)。
蒸気と歯車のレトロな世界観は好みが分かれるかもしれませんが、
どんな年齢層でも楽しませてくれる映画なのでした。
                                 (☆☆☆)
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by am-bivalence | 2012-03-24 23:15 | ファンタジー | Comments(0)

SCREEN115 17歳のカルテ

多感でバランスを失いやすい思春期のもう一つの姿に共感 参照サイト

 「午前10時の映画祭」を観るようになってから、往年の名画を劇場で観ることが面白くなり、最近は都内の名画座にも通うようになってしまいました。
今のお気に入りは、高田馬場の早稲田松竹
週替わりで2~3本立てをやっていて、料金は一般1300円と、とってもリーズナブル(^_^)。
2003年頃改装し生まれ変わったらしく、シートの足元が広く快適なのも嬉しい点です。
 その早稲田松竹で今週(10/9~15)は「17歳のカルテ」と「プレシャス」を上映しています。
「17歳のカルテ」は封切当時、恵比寿ガーデンシネマまで観に行って、お気に入りの一本になった映画でした。
 実は私のハンドル・ネーム「am-bivalence」はこの映画のエピソードから採っています。(ちなみに接頭辞としは劇中でも触れているようにambi-です)
当時なぜわざわざこの映画を観に行ったかというと、「エイリアン4」で観たボーイッシュでどこか儚げなウィノナ・ライダーに惹かれたから(笑)。
そんなミーハーな動機とは裏腹に、映画の内容は重くて心に残るものでした。

 簡単にあらすじを書くと、
1960年代ベトナム戦争や民権運動で揺れていたアメリカで、高校を卒業したスザンナは"不安で、頭痛を消したくて"ウォッカとアスピリンを一瓶飲み病院に運び込まれます。
この事件で彼女は境界性人格障害と判断され、そのまま精神病院に入院させられます。そこは心に問題があるとされた同年代の少女たちが収容されている病棟でした。一時的入院と思っていたスザンナはここで反抗的で反社会性病質とされたリサ、虚言症のジョージーナ、自分の顔に火をつけたポリーなどと出会い、2年間過ごすことになります。。。

 境界性人格障害とは、もともと神経症と精神病の境界にあるということで名づけられたのですが、いくつかの特徴を持った患者を指すようになりました。
境界性人格障害の特徴として、
 1)不安定な人間関係(親しくしていたと思うと急にののしる等)
 2)自殺企図、自傷行為、衝動行為(浪費、喧嘩、無謀運転、性的逸脱)
 3)慢性的な抑うつ気分、空虚感
 4)制御不能な激しい怒り
があるそうで、これらは頼っていたもの、愛したものに対する強い見捨てられ不安からくるといいます。
 なにやら一部自分のことを言われているような。。。
私は痛いのは嫌いなので、自傷行為にはちょっと理解が及びませんが、
その他は誰でも多少とも持ち得る感情のような気がします。
(ちなみにDVDの特典映像には未公開シーンとしてリサが手首に自傷行為をしていたエピソードがあります。映画オリジナルのエピソードで映画の中でも後半の展開に絡む割と重要なシーンなのですが、時間的な都合でカットされてしまったようです。)

 依存症、ネグレクト、自殺などシリアスな内容を扱った映画ですが、
全体のトーンは暗くなく、患者同士の連帯や友情を交え、時には笑わせてくれます。
これは映画の原作であるスザンナ・ケイセンの自伝小説「思春期病棟の少女たち」の雰囲気に影響されているようで、原作も暗くなりそうな話を軽妙なタッチでさらりと描写しています。
エンドタイトルでも流れる挿入歌の「恋のダウンタウン」は、今でも聞くと元気を貰える気がします。

 原題は原作も映画も"Girl, Interrupted"。
(しかし主人公は18歳のはずなのに何故「17歳のカルテ」なんだろう?)
この原題はフェルメールの絵画「演奏を中断された少女」から採られていて、人生の大切で楽しい時期を中断、隔離されてしまった著者のとまどい、無念さを簡潔に表しています。
著者がこの体験を冷静に振り返られるようになるには、
それなりに年月が必要だったそうで、本にしたのは40代になってからでした。

主演のウィノナ・ライダーはこの原作が好きでプロデュースもしています。
彼女自身、若い頃精神的に不安定になって一時入院した体験を告白していて、
彼女が時々見せる不安で脆そうな表情はそんな繊細なところからきているのでしょうか。
ウィノナにとってスザンナはぴったりな役柄ですが、
それ以上にはまり役だったのが、リサを演じたアンジェリーナ・ジョリーでした。
当時彼女はほとんど新人でしたが、今にして思うと反抗的で野性児のようなリサは、彼女にとって十八番のような役でした。
この演技でアンジェリーナ・ジョリーはアカデミー賞助演女優賞を獲得しました。
                      (☆☆☆)
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by am-bivalence | 2010-10-13 23:29 | 人間ドラマ | Comments(0)