劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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6.「きっと、うまくいく」 公式サイト
 今年観た中で一番楽しめた作品。 インド映画と言えば往年のMGMミュージカルのようなゴージャスなダンスシーンに、ぶっ飛んだストーリー展開を思い浮かべますが、
これはちょっと違います。
お決まりのダンスシーンはありますが、次々起こるエピソードにウィットや知性を感じさせ、唸らされるのです。
 映画は経済発展で近代化著しいインド社会を反映しているらしく、活躍する主人公ランチョーは身分や既成概念にとらわれない自由な発想の持ち主になっています。 これに対して親友のファルハーンとラージューは、親にエンジニアになることを決められていたり、貧乏でお守りや信仰に縛られていたりします。彼らはカースト制の影響が残っていたり、多くの宗教が混在している古いインド社会の象徴であり、変わるべきものなんでしょう。

7.「42 世界を変えた男」 公式サイト
 あまり目立たないながら観てみると良かった秀作スポーツ映画でした。
黒人初のメジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソンと彼を支えた球団GMブランチ・リッキーの物語。 ロビンソンを採用したジャッキーの動機が人道的な面をおくびにも出さず、金のためと公言するところがいいです。
 彼らが差別に対抗する手段は、抵抗しないことと、プレーで実績を示すこと。
言うは易しでもなかなか出来ない事です。毎年メジャーリーガーがジャッキー・ロビンソンに敬意を表するのも分かります。

8.「そして父になる」 公式サイト
 よく出来た話と思ったら、実際に基になった事件とそれを扱ったドキュメントがあるとか。 家族、親子の関係を成り立たせるものは何か考えさせられます。
 福山演じる主人公野々宮は優秀ながら利己的でちょっと厭な奴なんですが、
野々宮自身、自分の父親の中にそんな面を感じ嫌悪しているところが秀逸です。

9.「夢と狂気の王国」 公式サイト
 「風立ちぬ」制作から引退宣言までの宮崎駿監督をメインにジブリの内部を追ったドキュメンタリー。 プライベート・ビデオ等もまじえジブリの歴史もざっと紹介しています。
 砂田監督は編集で語るタイプらしく、カットのつなぎで大笑いさせてくれたり、宮崎監督の発言が既にアニメで使われていることを示したりして面白いです。
 次回作が楽しみな監督がまた出てきました。
          

10.「ゼロ・グラビティ」 公式サイト
 ストーリーは単純、言ってみればデザスター映画なんですが、冒頭の長回しカットから始まるこの臨場感は特筆ものです。 絶対3Dで観るべき。
長回しカットや自在なカメラワークは「トゥモロー・ワールド」 のクライマックスで見せた臨場感をさらに上回る素晴らしさで、90分間無重力空間にいたかのような錯覚さえ覚えます。
 年最後になって後々語り草になるような映画が観れました。
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by am-bivalence | 2013-12-29 14:57 | 映画鑑賞 | Comments(0)
 2013年も残りわずか、今年見た新作で良かったものを10本挙げてみます。
甲乙つけがたいものもあるので、順位はつけません。観た順番に並べていきます。

1.「ニーチェの馬」 公式サイト
 日本公開は12年ですが、観たのが13年だったので挙げました。
SCREEN129で書いたように、観終わった後味は悪いのですが、ずっと棘のように心に引っ掛かっている映画です。 なぜなら「ニーチェの馬」から感じた生の苦しみや老衰の比喩はある面真実であり、反論し難いからです。
 今も私は完全に反論できないでいます。

2.「ライフ・オブ・パイ」 公式サイト
 後半、話がだんだん奇想天外になっていくのでファンタジー映画なのかと思ったら、
ラストのパイの告白で えっとなる映画でした。 私は「ウミガメのスープ」というゲームを連想しました。
パイにとってトラとは何だったのか、後であれこれ考えさせれます。

3.「東京家族」 公式サイト
 小津監督の代表作「東京物語」を日本人的エモーショナルの機微を描いたら当代随一の山田洋次監督がリメイクすれば、良い作品にならないはずがありません。
 山田組はクランクインする前、スタッフ全員で1本の映画を観るそうですが、この時観たのは「ニーチェの馬」だったとか。
そのせいか、映画の雰囲気にどこか沈鬱なものを感じます。

4.「セデック・バレ 第一部 太陽旗」 公式サイト
 日本統治化の台湾で起こった原住民の反乱・霧社事件を描いた入魂の大作。
人種差別や帝国日本による搾取とだけ描くのでなく、狩猟民族と近代文明の衝突という捉え方もされていて、当時の情勢を冷静に描いていたと思います。
 圧倒的兵力を持った大国日本に戦いを挑んだセデック族は、大国アメリカに無謀な戦争を仕掛けたのちの日本にも重なって見えます。 潔く散ろうとするセデック族のメンタリティも大戦時の日本人と共通したところがあるんじゃないでしょうか。
 後半の第二部は史実とはいえ、尻つぼみのような印象を受けてしまうのが残念。

5.「パシフィック・リム」 公式サイト
 「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロ監督がオタク趣味を全開して撮った娯楽作! 主人公がトラウマを抱えながら戦う、取って付けたようなストーリーがありますが、全然気にしなくてO.K.です(笑)。 これはもう巨大生物と巨大ロボットのリアルで臨場感ある格闘を単純に楽しむ映画でしょう!
(火器が発達してもカイジュウと戦うのは殴り合いなんですねえ)
カイジュウ強え~! 金属製のロボットがボロボロにされていきますが、敵はこのくらい強くなきゃ。
マジンガーZやらエヴァやらロボットアニメのオマージュも随所に感じられます。


 (後半に続く)
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by am-bivalence | 2013-12-29 14:14 | 映画鑑賞 | Comments(0)

intermission4 幻の名曲

 最近、心に残る映画音楽がありません。
以前は「太陽がいっぱい」「ドクトルジバゴ」「ニューシネマパラダイス」
「007」「スターウォーズ」「インディージョーンズ」など、
その曲を聴けば映画を思い出す、
映画を思い出せば、テーマ曲が浮かんでくる、
そんな映画音楽がありました。
と言うより、名作には往々にして印象的な映画音楽があったんです。

 昨日、都心をぶらぶらしてたら偶然、
「ブラザー・サン シスター・ムーン」
の廉価版が出ているのを見つけてしまいました。
 「ブラザー・サン シスター・ムーン」は、私としては珍しく、
音楽が好きになって観た映画でした。
ただ、サントラ盤に恵まれていないので、
私の中では幻の名曲だったのです。
 衝動的に購入し、鑑賞するためにいそいそと家路を急いだのでした。

 「ブラザー・サン シスター・ムーン」は
13世紀イタリアの聖フランチェスコの物語です。
資産家の息子だったフランチェスコは
戦争で心身ともに傷を負います。
精神的に不安定になっていた彼は信仰に目覚め、
親の資産を捨て、富を否定して、清貧の生活をしながら
廃墟になっていた教会の再建を始めます。
最初、彼の変化を笑っていた仲間も、次第に彼の思想に共感し、
供に共同体生活を始めるのですが。。。

 はっきり言ってこの映画、一般の人が見て
面白いものではないかも知れません。
 聖人が主人公なので、非常に宗教的ですし、
製作当時の世相、ベトナム戦争後遺症、反体制、
ヒッピームーブメントの影響が色濃く見られます。
ただ、フランチェスコの訴える清貧の思想は、
物が溢れ、物欲を刺激され続ける今、傾聴に値するような気がします。

 それはとにかく、ドノヴァンの歌う主題歌は美しいメロディで、
その詩は無垢な信仰心がこもっています。
 私は一般的な日本人と同じ、無宗派ですが、
穏やかな自然の中にいると敬虔な気持ちになり、
この曲が浮かんでくることがあります。

 うららかな春の日差しの下で、満開の桜を見上げる時、

 朝のなだらかな草原を、密かに咲く花を見ながら散策する時、

 夏山の稜線を、遠くの山並みを眺めながら澄んだ空気を呼吸する時、

そんな時は、周りに人がいないことを確かめてから、
穏やかな気持ちでこの曲を口ずさんでみるのです。

 ”ブラザー・サン、シスター・ムーン
 私はなかなかあなたの姿、調べに気づきません
 自分の悩みでいっぱいなのです

 ブラザー・ウインドー、シスター・エアー
 私の目を純粋で正しくに見れるよう、開いて下さい
 周りの輝きが見れるように

 私は神の創造物、その一部です
 神の愛が心の中に目覚めていくのを感じます。。。”

詩の「神」を「自然」に読み換えれば、素敵な自然賛歌になるじゃないですか。
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by am-bivalence | 2007-03-11 12:15 | 人間ドラマ | Comments(0)
「カッコイイ」とは、こういうことか  公式ホームページ

 1920年製バイク「インディアン・スカウト」の改造を重ね、1962年に60才以上の高齢で
バイクの世界最高速度記録を打ち立てたバート・マンローの実話を基にした物語です。
映画のエピソードはほとんど本人の体験談だそうです。
 この映画の魅力はマンローという人物の魅力につきます。

 この人、自分の愛車をチューンアップすることに持てる全てを注ぐため、
自宅は倉庫みたいな小屋、庭は全く手入れしないので草ボウボウ、
朝だろうが夜中だろうが夢中になるとエンジンをかけて爆音を轟かせ、
御近所から怒鳴られる、エキセントリックな人です。
よる年波には勝てず、心臓に持病を抱えてたりします。

 でも彼は、田舎育ちの実直さに少年の情熱を併せ持ち、
触れ合う人はみな彼に好意を抱いてしまうのです。
(そして、女性にモテル)
それが彼の窮地を救ったりします。

 さらに彼のすごいのは、速く走ることに関する技術と創造性はピカ一で、
お金がなくても、何でも廃品の中から造り出してしまうところです。
 ジャンクパーツを熔かしてピストンを手造りし、
中古車のエンジンを調整することなど、造作もなくやってのけます。
テストランでは、高齢の彼と骨董品のようなバイクを見てばかにしていた人達を
その技術の結晶である愛車でブッチギって見せ、唖然とさせてしまうのです。
 「カッコイイ」とは、こういうことです。

「紅の豚」のポルコとピッコロを足したようなキャラクターは
宮崎駿監督もきっと好きなはずです。
                    (☆☆)
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by am-bivalence | 2007-02-10 01:37 | 伝記 | Comments(0)

screen8 手紙

 重いテーマだが、物語が。。。  公式ホームページ

 償いきれない罪を犯したらどうすればいいのか。
身内に犯罪者がいるばかりに、理不尽な偏見や、
差別を受け続けたらどうしたらいいのか。
重いテーマです。
最後に兄の出した贖罪のための結論は胸を打ちますし、
勤務先である電気量販店会長の諭す言葉も重みがあります。

 ただ、私はこの原作を読んでいませんので、
どこまでが原作のもので、どこまでが映画の脚色か分かりません。
ですから、映画として見て感じたことを書きます。
 私が映画の世界にシンクロできたのは前半まででした。
途中、由美子と直貴を結びつけたエピソードが物語のリアリティを失わせ、
ドラマの作為的な部分が目につきだしてしまったからです。
 ちょっとしたアラがどうしてこんなにも印象を変えてしまうのかと、
考えてしまった映画でした。

(以下ネタバレ)
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by am-bivalence | 2007-02-05 22:11 | 人間ドラマ | Comments(0)

screen7 ヨコハマメリー

 戦後日本の混沌の中で、
   泥まみれでも凛と生きた女性の伝説  
  公式ホームページ

 私は社会人になるまで横浜市民でした。
学生の頃までは時々関内で映画を観て、
伊勢佐木町の有隣堂に立ち寄ったものでした。
その頃メリーさんはいた筈ですが、
一度も見たことはありません。
見たとしても正直、あの化粧では引いてしまい、
近づくことはなかったでしょう。
この監督は学生の頃メリーさんを見たそうですが、
その容貌に畏怖を感じたそうです。
 でも、人は外見や評判で判断すると、見誤ることがあります。

 この映画は'95年にメリーさんが姿を消した後、
都市伝説のようなその人物像を関係者の証言で追っていきます。
そこには戦後日本の裏社会の息吹がありました。

 貴婦人のような装束で街角に立つ娼婦は、
プライドが高く、将校しか相手にしない。。。
フィクションなら陳腐ですが、
そんな人物が真偽はどうあれ実在したということが、
ドキュメンタリーならではの説得力をもたせます。

 メリーさんが人を惹きつけるのは
その奇天烈な外見だけでなく、
その境遇にもかかわらず、卑しさを感じさせずに、
凛としていたからではないでしょうか。
 住所不定で、年老いてもなお
毅然と女独り暮らしていくのは
並大抵の困難さではないはずです。
彼女に社会福祉を受けさせたくても住所不定のために
出来なかったことを、友人だった元次郎氏が語っています。

 映画の中で彼女の手紙が2通紹介されていますが、
いずれも品があり、教養を垣間見させる文面でした。
80歳を過ぎても手紙の中で夢を語っていることに
はっとさせられました。
 白塗りの化粧は素顔を隠すことで
過去を切り離すめの仮面だったように思われてなりません。

(以下ネタバレ)
 最後にメリーさんは、故郷で元気な姿を見せます。
結局、彼女の素性は伏せられたままでした。
都市伝説は都市伝説のままがいいということでしょうか。
ただ、故郷の彼女は白塗りの化粧を取って、
素顔を見せていました。
 その表情が生き生きと幸せそうで、
ほっと暖かい気持ちにさせてくれました。
                    (☆☆)


 参照文献:東京ホームレス事情 森川 直樹 徳間文庫(絶版)
   ホームレス生活を都会のアウトドア生活のように気楽に言う人がいますが、
  現実はそんなものではなく、そこから抜け出すのは大きな困難があるようです。
  餌とりと呼ぶ残飯あさり、その時に感じる人間としての尊厳の喪失感、
  社会からの疎外感。
  当たり前ですが、自分がそうなったら感じるであろう苦痛を、彼らも感じているのです。
   地縁・血縁のコネ社会である日本は、一度接点を失った人間に冷たいのです。
 
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by am-bivalence | 2007-01-28 23:45 | ドキュメンタリー | Comments(0)

screen6 ダーウィンの悪夢

 資本主義経済の歪みを提示しようとするが、
          イエロージャーナリズムでは?
  公式ホームページ

 西洋資本主義は、途上国をまず自分達の
経済機構の最下層に組み入れ、搾取していきます。
それが端的に表れているのが為替相場だと思います。
途上国の通貨レートは先進諸国の通貨に比べ極端に低く、
先進諸国の平均月収が、為替で換算すると途上国の年収になったりします。
豊かになりたければ這い上がって来いというわけです。

 この構図は今に始まったことではなく、
大航海時代、西洋人が南北アメリカ大陸に進出し、
ネイティブアメリカンなどから搾取した頃からずっと続いています。
これを不条理と思う人間がテロに向かったりするのではないでしょうか。

 ビクトリア湖のカワスズメがナイルパーチによって
壊滅的打撃を受けているのはよく知られています。
 本作はナイルパーチをキーワードにしていますが、
環境問題を取り上げているわけではありません。
むしろ、魚の生態系などはどうでもいいようで、
追っているのは、主にアフリカ社会下層で虐げられている人々です。
そしてそれら惨状とナイルパーチの輸出産業を何とか結び付けようとします。
また、魚の輸出と武器輸入の関連性にもこだわり続けます。
アフリカの貧困の根っこに、日本も含めた先進諸国との経済的力関係を垣間見て、
その責任を問おうとしているのです。

 ただ、これらを追求したい姿勢は分かりますが、明確な関連を示しきれないため、
それが成功しているとは言い難いのが、この映画の悲しいところです。
ナイルパーチのボイコット運動というおかしなリアクションが起こったのも、
そういった点がうまく伝わらなかったからではないでしょうか。
                                   (☆)


 参照書籍:「カナダ先住民デネーの世界―インディアン社会の変動」 新保 満 明石書店
    著者が、カナダ北西準州の先住民を実地に調査・聞き取りした、
   先住民の社会・習慣の変遷をまとめたもの。
   国家など必要なかった西欧人進入前の先住民の暮らしぶりと、
   毛皮商人の侵入により、未知の病気が流行ったり、
   経済格差が生まれていく様などが具体的に語られています。
    グローバリゼーションの原型がここにもあります。

 参照映画:「ナイロビの蜂」 フェルナンド・メイレレス監督 2005年
        「ロード・オブ・ウォー」 アンドリュー・ニコル監督 2005年
    先進諸国にアフリカが搾取される構図は「ナイロビの蜂」、
   武器輸出入と先進国の関連は「ロード・オブ・ウォー」がよく描けています。
   問題を知らしめるのに、フィクションのほうが秀逸なのが残念です。
    がんばれドキュメンタリー!

*補足(以下ネタバレ)
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by am-bivalence | 2007-01-21 15:46 | ドキュメンタリー | Comments(0)
  しゃれたセリフと、プロットをパズル感覚で追うのは楽しいが、
 それって必要?
  公式ホームページ

 まずこの映画、映画を見る前にパンフレットを読んではいけません。
ストーリーが結末まで全部書いてあります。
懇切丁寧にも、人物相関図がネタバレ含めて載っています。
上映前にパンフレットに目を通す人もいるでしょうに、
ツイスト(どんでん返し)映画でここまでする必要があったのでしょうか。

 それはさておき、最近の映画としては珍しく、
やたらセリフや会話に凝っている映画です。
ジョシュとルーシーの会話だけでも楽しませてくれます。
ただ、スタイリッシュなのは"映像"というより、"セット"じゃないでしょうか。
基本はギャングのお話なので、バイオレンスシーンも目につきます。

 冒頭から複線だらけで、パズルとしては凝った造りです。
しかし後からストーリーをよくよく追ってみると
ここまで手の込んだ計略をする必要が見当たらないのです。
あえて言ってしまえば、どんでん返しのため、でしょうか。
計画に20年掛かった理由もはっきりしません。
ラストもハッピーエンドにして見せる取って付けたやり方に思えました。

 結局、パンフレットからプロットまで、
ここまでやる必要があったのか疑問の残った映画なのでした。
                                   (☆☆)

参照映画:「オールドボーイ」 パク・チャヌク監督 2004年
   裏社会を舞台にしている、タランティーノ好みのバイオレンス描写、
  長期に渡る陰謀計画、ラストのどんでん返しなど、共通項が幾つかあります。
  おしゃれさは「ラッキーナンバー7」が上ですが、
  こちらは計画に時間が掛かるのに必然性がありました。
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by am-bivalence | 2007-01-20 10:45 | サスペンス・スリラー | Comments(0)
 新三部作で評価を落としてしまった感のある
スターウォーズ・サーガですが、映画を語る上で
欠かせない作品であるのは間違いありません。

 スターウォーズの世界観を形造るうえで
無くてはならないものの一つが、ライトセイバーです。
(初公開時はライトサーベルと訳されてました。)
強力なビームが剣となるライトセイバーは、
古い世界観とリアルなメカが融合したスペースオペラである
スターウォーズ世界を端的に示したアイテムでした。
ただ、物理法則を無視したような
ライトセイバーのような武器がどうやったらできるかは、
物理学者をも巻き込んで(?)議論されてきました。

 レーザー光のように見えるライトセイバー、
本当にレーザーなら、適当な長さでちょん切れるはずがありません。
スターウォーズ世界には、光の光路を自由に制限できる
テクノロジーでもあるのでしょうか。
もし、仮にそんなテクノロジーがあったとしても、
本当に光ならライトセイバー同士で切り結ぶなんて
できないはずです。
光同士交差しても、すり抜けるだけだからです。

 私はこのライトセイバー、実は光ではなく、
伸縮自在の発光する高エネルギー体でできている、
と考えています。
 そんな夢がない、と思わないで下さい。
証拠が映画の中にあります。

 「スターウォーズ ジェダイの帰還(復讐)」では、
ルークとダース・ヴェイダーが
パルパティーン皇帝の前で決闘します。
戦いたくないルークに、ヴェイダーが
ライトセイバーを投げつけるシーン、
投げられたライトセイバーをよ~く見て下さい。
ライトセイバーは刃を中心にして回転しています。
ライトセイバーが光なら、この動きはあり得ません。

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 物体が空中で回転するとき、
物体は重心を中心にして回転します。
ライトセイバーが光なら、光は質量がほとんどありませんから、
ライトセイバーの重心は刃ではなく、本体側にあるはずです。
本体を中心にして回転しなければなりません。
刃を中心にして回転しているということは、
ライトセーバーの刃は質量を持つ物質であるということになります。

 ライトセイバーが伸縮自在の物質であるなら、
切り結ぶのに何の違和感もありません。
高エネルギーを持った物質がプラズマ発光しているとすれば、
色にバリエーションがあるのも説明できるんじゃないでしょうか。
だから、ライトセイバーは「光の」剣ではなく、
「光る」剣なんです。

 スターウォーズの図解本には
ライトセイバーの中にクリスタルがあって
いかにも光を出すように解説していますが、
これはライトセイバーは光であるという神話を造り、
敵に武器の構造を知られないようにするための、
ジェダイ騎士団の策謀と思われます。
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by am-bivalence | 2007-01-14 01:09 | SF | Comments(2)
  競争社会アメリカの価値観にチャチャを入れ、
 あきらめないことに意義を見出す
  公式ホームページ

 どうもアメリカ人には、
常にポジティブでいなければならない、
という脅迫観念があるみたいです。
 それは入社試験で前向きな姿勢を見せないと落とされるように、
いつもポジティブに見せていないと、
競争社会で落ちこぼれるという不安が
裏にあるようにも感じられます。

 何かと競争することに肯定的なアメリカは、
平等主義日本では(ネガティブに使っているつもりはありません)、
ほとんどあり得ない子供のミスコンも盛んなようです。
(関係無いですが、映画のミスコンの雰囲気は、
ジョンベネ・ラムジーのニュース映像とそっくりでした。)

 アメリカ社会の競争の激しさは、
winner/loserの格差の大きさが根本にあるようです。
というより、格差の拡大が競争をより厳しくさせるのでしょうか。
競争肯定社会は、勝者/敗者の価値観が支配していきます。

 アメリカ人自身、勝者/敗者の二元化を
ちょっとヘンじゃないかと思う人がいて、
このコメディ映画ができたようです。

 面白いのはこの一家、客観的に見れば敗者ばかりですが、
本人達は自分をそう思っていないことです。
薄々気付いてはいるようですが、それを認めようとしません。
 そう、この家族は、お父さんの「成功のための9ステップ」を胡散臭そうに思いながら、
実は9ステップ目の「負けることを拒否する」を実践しちゃってるんです。

 だから、この映画の可笑しさは負け犬の自虐的な笑いではなく、
壊れかけた車を懸命に押して走らせようとするような、
真剣さの中の可笑しさです。
 ただこの映画は笑わせるだけでなく、次にほろりとさせて、
最後は負け組家族を応援したくさせるのです。
勝ち負けにこだわらずに、がんばった自分を褒めてやれと。
 エロじじいも、最後はいい事言ってます。

 脚本が良く出来ており、エピソードの一つ一つが
意外なところでリンクしています。
                (☆☆)


参照書籍:「アメリカ病」 矢部 武 新潮新書
   ポジティブ脅迫観念以外にも、現代アメリカのヘンな部分を理解する上で
  参考になります。
   映画「スーパーサイズ・ミー」の元ネタとなった裁判も取り上げています。
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by am-bivalence | 2007-01-10 22:04 | コメディ | Comments(0)