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劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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SCREEN135 家族を想うとき

 これは10年後の日本の姿だろうか 公式サイト

 「麦の穂をゆらす風」「ジミー、野を駆ける伝説」のケン・ローチ監督が
引退を撤回し82歳にして制作した本作。
首都圏でしか上映していなかったのですが、
コロナ禍で地方シネコンでも上映再開にリバイバルやミニシアター系をかけていて、
思いがけず鑑賞できました。
 社会の不条理を鋭く批判し、そこで誠実に生きる人々への慈愛を感じさせる
ケン・ローチ監督の作調は健在。
でも前作「わたしは、ダニエル・ブレイク」よりも
ユーモアが減っているような気がします。
それだけ深刻度を増しているということでしょうか。

 とにかく、ここで描かれる宅配業者のブラックぶりがすごい。
宅配業者は配送区間を分割し、”フランチャイズ・オーナー”を募って、各区間を担当させます。
収入は配達料に応じた歩合制、トラックは高額でレンタルするか自前。
配送状況は支給された端末で常時監視されていて、端末を壊せば高額な修理代を支払わされます。
労働時間の規定はなく、休みたければ代行者を立てる。
 逆に言えば、配達が終わるまで労働時間は無制限、
代わりのドライバーがいなければ、休みも取れないということになります。
 このことが後半、”オーナー”となった主人公を疲弊させていきます。

 でもこの”フランチャイズ制”、企業が配送ドライバーを正規雇用せずに働かせる
巧妙な仕組みであることがわかります。
 正規社員でなければ福利厚生、社会保障負担もいらないし、
勤務時間規定、休暇付与も必要ない。全ては”オーナー”の自己管理。
でも労働内容は配送ドライバーでしかないことに変わりありません。
むしろ休みなし、労働時間制限なし、の最悪労働条件になっています。

 哀しいのは、このカラクリに労働側が誰も気付かず、
自分が”オーナー”だと思い込んでいることです。

 イギリス社会の格差拡大、中産階級の消失は景気が浮上していない分、
アメリカ以上に深刻なようです。
日本も派遣労働や自己責任だのが拡大解釈していけば、
形は違ってもいずれはこんな社会になってしまうのでしょうか。
 今観るべき映画です。



# by am-bivalence | 2020-07-05 12:14 | 人間ドラマ | Comments(0)
 ここ1,2年、TVアニメをチェックし始めました。
今TVアニメはエライことになっています。
制作されている本数が尋常じゃありません。
例えばAnimate HPによるとこの冬の新作アニメは短編含め45本、
春夏秋冬1クール毎にいつもこの位のペースで次々とアニメが作られています。

 今のアニメは何を基にしているかで4系統に分かれるようです。

 1.コミック原作もの
 雑誌に連載中のマンガをアニメ化したもの。
人気マンガとのコラボなのでストーリーは面白いのですが、
連載中なので完結しないw。
昔だとアニメ版なりに完結させたりしたのですが、
今は「これで終わり?」的エンディングは当たり前のようです。
後はマンガを読んでね、ってこと...

 2.ゲーム原作もの
 ネットゲームとコラボして制作されたもの。
ゲーム会社の潤沢な資金のおかげか、作画は綺麗なのですが、
つまらないものが大半。

 3.ライトノベル原作もの
 人気のラノベをアニメ化。
ストーリーはそれなりに面白いのですが、
ロリコン、シスコン等々、オタクのリビドーが臆面もなく出る事があって、
一般人はちょっと引く部分があります。

 4.オリジナルアニメ
 アニメスタジオがストーリーから独自に企画制作したもの。
制作側の熱意が高く、面白いものが多いです。


 TVアニメが量産、放送される構造は興味深いのですが、
それはまた別の話。
 これだけ数が多いと、多くのアニメファンは総てを観られず、
1,2話見て選別するようです。
 2018年新作で私が全話観て良かったものを5本選んでみました。

「宇宙より遠い場所」
女子高生4人がひょんなことから知り合って、南極に行こうとするオリジナルアニメ。
バカみたいな一途な情熱で突き進む若者の話は好きです。
このアニメは「友達って何?」が大きなテーマになっていて、
それが分かっていないと第5話のエピソードなどは唐突な感じがします。

「ゆるキャン△」
 キャンプ場などで知り合あった女子高生がキャンプ・ライフを満喫するコミック原作アニメ。
ソロキャンプ、冬季キャンプなど、やっていることは意外と中上級者ですが、
ただ野外で食事し、まったりするだけのキャンプです。
野遊びや旅のためのキャンプではなく、
キャンプしたいがためのキャンプがいいです。
これを観ていたら無性にキャンプしたくなりました。

「3月のライオン 第2シリーズ」
孤独な少年棋士が下町の姉妹に知り合い、人間性を取り戻していく物語。
 第2シリーズはいじめを全面的に取り上げていて、かなり重い内容になっています。
前半は観るのも辛いく、涙なしでは観られないのですが、救いはあります。

「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」
 「Just Because!」の鴨志田一原作、ラノベアニメ。
やはり鎌倉の高校を舞台にした青春学園ものですが、
この原作、西尾維新「化物語」の構造をSF仕立てに換骨奪胎したものですね。
 ・主人公が巻き込まれる超常現象:怪異→思春期症候群
 ・主人公を最初の超常現象に巻き込み、やがて恋人になるツンデレヒロイン:
   戦場ヶ原ひたぎ→桜島麻衣
 ・主人公に助言し自身も超常現象に巻き込まれる女友達:
   羽川翼→双葉理央
 その他、超常現象に巻き込まれるのは女子ばかり(いずれ咲太ハーレムと呼ばれる?)など、
共通点を探すのも面白いかと思います。
 ともあれこの作品、会話が軽妙かつ巧妙で魅力の一つになっています。

「色づく世界の明日から」
 子供の頃の体験から色覚を失くしてしまった少女が、
現在の長崎を舞台に成長する学園ファンタジードラマ。
 とにかく作画の綺麗さはトップクラス。
特にヒロインが世界をモノクロでしか感じられないことと対比するため、
色彩設計が素晴らしく、長崎の日常風景が美しく描かれています。
OPテーマ曲「17才」もかなり気に入っています。
 ヒロインが色彩を取り戻せるよう希望的エンディングを用意していますが、
やはりこれは悲恋ではないでしょうか。

 他にも
「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」
「ひそねとまそたん」
「メガロボクス」
「ゴールデンカムイ」
「刻々」
「はねバド!」
等々面白いものはあったのですが、また時間があれば。

# by am-bivalence | 2019-01-27 11:50 | アニメ | Comments(0)