これは10年後の日本の姿だろうか 公式サイト
とにかく、ここで描かれる宅配業者のブラックぶりがすごい。
宅配業者は配送区間を分割し、”フランチャイズ・オーナー”を募って、各区間を担当させます。
収入は配達料に応じた歩合制、トラックは高額でレンタルするか自前。
配送状況は支給された端末で常時監視されていて、端末を壊せば高額な修理代を支払わされます。
労働時間の規定はなく、休みたければ代行者を立てる。
逆に言えば、配達が終わるまで労働時間は無制限、
代わりのドライバーがいなければ、休みも取れないということになります。
このことが後半、”オーナー”となった主人公を疲弊させていきます。
でもこの”フランチャイズ制”、企業が配送ドライバーを正規雇用せずに働かせる
巧妙な仕組みであることがわかります。
正規社員でなければ福利厚生、社会保障負担もいらないし、
勤務時間規定、休暇付与も必要ない。全ては”オーナー”の自己管理。
でも労働内容は配送ドライバーでしかないことに変わりありません。
哀しいのは、このカラクリに労働側が誰も気付かず、
自分が”オーナー”だと思い込んでいることです。
「麦の穂をゆらす風」「ジミー、野を駆ける伝説」のケン・ローチ監督が
引退を撤回し82歳にして制作した本作。
首都圏でしか上映していなかったのですが、
コロナ禍で地方シネコンでも上映再開にリバイバルやミニシアター系をかけていて、
思いがけず鑑賞できました。
社会の不条理を鋭く批判し、そこで誠実に生きる人々への慈愛を感じさせる
ケン・ローチ監督の作調は健在。
でも前作「わたしは、ダニエル・ブレイク」よりも
ユーモアが減っているような気がします。
それだけ深刻度を増しているということでしょうか。とにかく、ここで描かれる宅配業者のブラックぶりがすごい。
宅配業者は配送区間を分割し、”フランチャイズ・オーナー”を募って、各区間を担当させます。
収入は配達料に応じた歩合制、トラックは高額でレンタルするか自前。
配送状況は支給された端末で常時監視されていて、端末を壊せば高額な修理代を支払わされます。
労働時間の規定はなく、休みたければ代行者を立てる。
逆に言えば、配達が終わるまで労働時間は無制限、
代わりのドライバーがいなければ、休みも取れないということになります。
このことが後半、”オーナー”となった主人公を疲弊させていきます。
でもこの”フランチャイズ制”、企業が配送ドライバーを正規雇用せずに働かせる
巧妙な仕組みであることがわかります。
正規社員でなければ福利厚生、社会保障負担もいらないし、
勤務時間規定、休暇付与も必要ない。全ては”オーナー”の自己管理。
でも労働内容は配送ドライバーでしかないことに変わりありません。
むしろ休みなし、労働時間制限なし、の最悪労働条件になっています。
自分が”オーナー”だと思い込んでいることです。
イギリス社会の格差拡大、中産階級の消失は景気が浮上していない分、
アメリカ以上に深刻なようです。
日本も派遣労働や自己責任だのが拡大解釈していけば、
形は違ってもいずれはこんな社会になってしまうのでしょうか。
今観るべき映画です。 #
by am-bivalence
| 2020-07-05 12:14
| 人間ドラマ
|
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