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劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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screen27 スパイダーマン3

 健全な少年のためのヒーローなのだろうが。。。  公式サイト

 アメコミの映画化作品は、ある程度の年齢になると、
その荒唐無稽さについて行けなくなることがあります。
まあ、娯楽と割り切ってしまえば、ツッコミ所満載の映画も
それなりに面白いものです。
 そんななか、「スパイダーマン」シリーズはちょっと視点が変わっていて、
楽しませてくれました。
 内向的な普通の青年が、突然超能力を持ちヒーローになることで
見えてくるリアリティです。

 1作目では、自分には関係ないと逃がしてしまう強盗によって
叔父が殺されてしまうエピソードが、ヒーローになる動機に、
強い説得力を持たせました。
(ヒーロー活動は、見方を変われば”お節介”とも取れますが、
それを”力を持つ者の責任”としたのは、ある意味アメリカ的でもあります。)

 2作目では、アルバイトとスパイダーマン家業の二足のわらじで
ピーター・パーカーが過労気味になってしまうのが、
”ヒーローはボランティアだったんだ”と認識させてくれました。

 では3作目でも、何か新しい視点を示してくれるかというと、
それが見当たらないのです。
 あえて言えば、今回は、スパイダーマン自身が
これまでの敵の苦悩を体験する点でしょうか。

 前作までの敵(グリーンゴブリン、ドック・オク)は
超能力と引き換えに、精神に異常をきたし、
自分を見失って、悪役となっていきました。
 それがスパイダーマンに、敵であっても倒すに忍びないジレンマを与え、
「スパイダーマン」独特の世界観となっていました。

 今回は、アメーバのような生物に取り付かれることで、
スパイダーマン自身が精神的に蝕まれ、
”ダークサイド”に引き込まれそうになります。
(ワルっぽくなったピーターが、
ダサく見えるように演出しているのが笑えます。)
 この体験がスパイダーマンを大きく成長させているかといえば
そう見えないないところが、本作の物足りなさだと思います。

(以下、ネタバレ?)
 むしろこの体験後、最後にスパイダーマンの取った”敵を許す”という決着は、
私は、安直でないか?と疑問に思ってしまうのです。

 相手を理解し、共感するのは大切ですが、
悪にも事情があったからといって、何の贖罪も無しに
犯した罪を許してしまうのは、いかがなものでしょうか。
 サンドマンが娘を思って悪事に走ったのは同情の余地がありますが、
だからといって現金強盗してもよいという事は無いでしょう。
叔父殺しもピーターの中で許せたとしても、見逃せるものではないはずです。
 まだ、「デスノート」のように、殺されて当然の犯罪者を抹殺していくキラを、
殺人は殺人、罪を問われるべきと断罪した倫理観のほうが正しいように思えます。
 スパイダーマンのヒューマニズムが
安易な方向に向いてしまったような気がしてなりません。

 全体的に3部作の完結編的ストーリーとなっているため、
多くを盛り込み過ぎて、消化不足の感がするのが残念です。
                              (☆☆)


 参考文献:「ハリウッド・ビジネス」 ミドリ・モール著 文春新書

  「スパイダーマン」は映画化が望まれながらも、著作権が二転三転して、
  なかなか映画化に結びつかず、ジェームズ・キャメロンも諦めたのは
  よく知られています。
   本書はその経緯を始め、映画の著作権を巡る駆け引き等、
  映画ビジネスの裏側を解説してくれます。
   著作権のトラブルでビデオ・DVD化できなくなった映画が以外にあるそうです。
  そういえばあの映画、最近見かけないけど大丈夫かと、想像したりします。
Commented by mellowww at 2007-05-31 22:51
観なくては・・・
唯一、シリーズ物の「2」が「1」を超えたと思ったのが、
スパイダーマンでした。
http://mellowww.exblog.jp/195091/

「3」を観た人が、MJは時々おばあちゃんに見えるとか、
ピーターが彦摩呂に見えるとか言うものだから、
集中して映画を観ることができるかしら(笑)
Commented by am-bivalence at 2007-06-02 01:15
「スパイダーマン」興味お有りだったんですね。
確かに「2」は人情話?的エピソードがあって良かったです。

 ハハ、言われてみればピーター、彦麻呂入っていたかも(笑)。
私は親友のハリー・オズボーンが真木蔵人にしか見えなくて、
しかたないんですけど。
by am-bivalence | 2007-05-30 23:35 | アクション | Comments(2)