劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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 screen31 レミーのおいしいレストラン

 あるべき形に収まったラストが観る者をしあわせにする  公式サイト

 私がピクサー作品を劇場で観たのは「Mr. インクレディブル」が初めてでした。
「Mr. インクレディブル」の予告編を劇場で見ていて興味を惹かれたのです。
主人公がピクサー初の人間だったことと、
髪の毛の表現がすごいと思ったからでした。

 風になびいたりする髪の動きを
CGで計算して描くのは大変なんだそうです。
 以前、フルCGの映画「ファイナル・ファンタジー」が公開され、
これからは俳優もCGで自由に作れる時代になると話題になりましたが、
この映画では髪が動いているのはヒロイン一人だけでした。
しかも髪の動きは計算したわけでなく、アニメーターが付けていたといいます。
 そんな髪の表現を「Mrインクレディブル」はリアルに計算で見せていました。

 CGに惹かれて観に行った「Mr. インクレディブル」ですが、
予想外に、その内容は大人にも十分楽しめる秀作でした。
ブラッド・バード監督の作品を観たのは初めてで、
ドラマ造りの巧さに感心させられました。
 そのブラッド・バード監督のピクサー第二回監督作が
「レミーのおいしいレストラン」です。

 「レミーのおいしいレストラン」のCGは、身の回りのものを
落ち着いた色彩とリアルな質感で自然に見せ、CGであることを感じさせません。
料理をおいしく見せるのは実写でも技術がいることですが、
CGでおいしそうな質感を表現するのもまた難しいそうで、
この難題もクリアーしてみせています。

 ねずみのレミーが料理に発揮する天才ぶりは
「パフューム」のグルヌイユを連想させました。
グルヌイユは嗅いだ香水を記憶を元に簡単に調合して見せますが、
レミーは、材料の味の記憶と嗅覚だけで料理の味を決めていきます。
一方、グルヌイユが匂いに取り付かれたといった感じなのに対し、
レミーは好きなことをやらずにはいられないという情熱を感じさせます。
 ただ、味覚の映像表現の演出では、それなりに匂いを連想させた
「パフューム」の匂いの映像表現ほうが一歩上じゃないでしょうか。
 
 レミーの天才ぶりに対し、相棒となる若者リングイニは、
全く凡庸で特別な才能は何もありません。
唯一、役に立つのは、髪の毛で体を操れるという"特異体質"だけです。
そんな二人?が、パートナーとして全く対等なのが意外です。
レミーが信頼を裏切って材料を盗んだと知ったリングイニは、
自分は全く料理ができないのに、レミーを追い出してしまうのです。
 どうも監督は能力差が生み出す力関係には焦点を当てずに、
純粋に二人の友情を描きたかったようです。
だからリングイニはコック見習いといっても、仕事が欲しかったからというだけで
料理に対する思い入れが全くない設定にしたんでしょうか。
 
(以下、ネタバレ)
 映画は前半、店の相続問題がクローズアップされますが、
この話で全体を引っ張るのかと思いきや、急展開であっさり解決し、
後半の批評家との対決になだれ込みます。
 この対決、悪役と思っていたイーゴ(声はなんとピーター・オトゥール)が
意外な面を見せ、
彼がプロフェッショナルな批評家であったことが判るのです。
最後を締めくくる批評家の言葉は感動的で、
日頃、好き勝手に映画のことを書いている私のような者にとっては
身につまされるものでもあります。
 彼の批評の内容は子供が簡単に理解できるほど平易なものではないので、
これは、明らかに大人に対するメッセージなのでしょう。

  コメディ映画ですが、アクションも恋愛も親子関係も織り交ぜて、
ラストは全ての歪みが是正され、あるべき形に収る大団円で、
観客をしあわせな気分にさせてくれるのでした。
                           (☆☆☆)


*蛇足の補足

  この映画の中のキーワード、"Anyone Can Cook"は
 「誰でも名シェフ(になれる)」となっていますが、
 正確には「誰でも料理できる(権利がある)」じゃないでしょうか。

  もし、誰でも名シェフになれるのであれば、
 料理センス・ゼロのリングイニにレミーが料理を教え、
 立派なシェフにするというストーリー展開の方が自然でしょう。
  しかし、映画は最後まで天才的才能を持ったレミーが料理をしています。
 映画のポイントは、おいしい料理を作る能力と情熱があれば
 ねずみでも調理場に立てるという点にあったのではないでしょうか。
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Commented by mellowww at 2007-07-29 03:14
さすが!!!!
感動を読んで、わたしは子供やなぁ~と思いましたよ。

けど、髪の毛の表現は、全く同じことを思ってました。
今回の技術はかなり確立されてましたよね~

確かに「パフューム」とかぶりますね。
今回、わたしは映画から香り(匂い)を感じましたが、
「パフューム」=汚い匂い
「レミー~」=おいしそうな匂い
という別物表現として、それぞれの映画のすごさにびっくりします。

全く同じ時期に同じ映画を観てるのが、
かなりうれしいんですけど(笑)
Commented by mellowww at 2007-07-29 03:15
あ、追記です、すみません。
「ダイ・ハード4.0」観ましたよ!レイトショーで安かったので。
しかも、だんなは2回目です(初めて映画2回観るぐらいおもしろかったみたいですね)。
また感想載せますので、遊びに来てください。
Commented by am-bivalence at 2007-07-29 14:04
実は今回観に行ったのは先行レイトショーだったんですが、
この感想だと分析ばかりで、映画の面白さがうまく表現できず
今ひとつだなぁ、とアップするのをためらってました。
mellowwwさんの感想は感動がそのまま伝わってきて、
読んだ人が観に行きたくなる文で、良かったです。

 髪の表現、注目されてましたか。さすが、よく見てますね。
「レミー~」は「Mr.~」よりも人の表情が良く動いていてアニメに近く、
人形が動いているような感覚が、大分少なくなっているように感じました。

 「レミー~」は料理のいい香りを感じさせる映像作りでしたが、
もうちょっと味まで想像できる映像だったら、と。高望みですね(笑)。

 今回は注目した映画がぴったり合いましたね。びっくりです。
私の次回はあのシリーズものかな。

 「ダイ・ハード4.0」感想読ませてもらったら、
またコメントさせてもらいます。

Commented by mellowww at 2007-07-30 23:55
褒められて伸びる子なので、もっとお願いします(笑)

どうしてもアニメっていうと、宮崎アニメを想像してしまうのですが、
ピクサーは本当にすごいですよね、なめらかさも表現しちゃうなんて。
人間はまだちょっと不自然な点はありましたが、
動物系はパーフェクツ!って感じでした!

スープの味が全く想像できなくて、イライラしてましたよ(笑)
ピクサーの次の課題は、”味わえるアニメ”ですね。キマリ。

「ダイ・ハード」意外にもはまったかも(^^;)
Commented by am-bivalence at 2007-07-31 21:47
 「ダイ・ハード」は1作目が一番面白いと思います。
機会があったらぜひ観てみて下さい。オススメです。

 ただ、今観るならパイレーツシリーズですね。
この手の映画は音響のいい大スクリーンで観るのが一番なので、
1,2をガンバって観て追いついてから、終了する前に
3を映画館で観るのが絶対オススメです。

 あ、週末に「エレファント」観たので、今さらですがコメントさせてもらいました。
感想書こうとしたら、字が多すぎてダメでした(笑)。
Commented by mellowww at 2007-07-31 22:36
じゃ、パイレーツがんばるか!!!焦る(笑)

「エレファント」は番外編で”screen”じゃないけど、
ここに感想のっけてください(懇願)
Commented by am-bivalence at 2007-07-31 23:46
「エレファント」はmellowwwさんのブログで知ったので、
そちらに感想寄せたかったのですが、
字数制限があるとは思わなかった(笑)。
ありがたい御要望です。私もがんばってここに「エレファント」のこと、書いてみます。(^^)
by am-bivalence | 2007-07-29 00:14 | アニメ | Comments(7)