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劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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screen38 めがね

 "たそがれる"という、モダンな湯治  公式サイト

 「かもめ食堂」の荻上直子監督、またやってくれました。
この映画、言ってみれば現代風"湯治"です。
舞台の南の島は湯治場なんです。
観光地はありません。
おすすめ観光スポットは?と聞くと、きょとんとされます。
ここは"たそがれる"という湯治療養に専念できるところなんです。

 この映画に出てくる人物はマリン・パレスの人達以外、
誰も働いていません。
高校教師だというハルナは、一度も授業している姿を見せません。
宿の主人ユージは、訪れる人のために食事を作っていますが、
これは労働というより、もてなすための趣味のようなものです。
お客が起きたから布団を干す、といった光景はありません。
この誰も働いていない、生活感の無さ。
 いいんです、浮世を忘れる湯治なんですから。

 感動的なドラマどころか、前作「かもめ食堂」以上に、
ストーリーらしいストーリーもありません。
 いいんです、保養地にワクワクドキドキ感といった、
ドラマチックなものは要らないんです。
安心できる居場所があればいいんです。

 長回しと引きの画面で生まれる時間と空間の余白が、
なぜか心地良くさせてくれます。
この間と微妙な会話が、どのカットでもクスッと笑ってしまう(ワハハではない)
独特な空気を作ります。
 BGMがほとんどないのも、この映画の特徴です。
これも感情を大きく波立たせずに、リラックスするための湯治だからなんです。

 豪華ではありませんが、丁寧に作られた美味しい食事、
これも療養には欠かせない要素でしょう。

 人の死とはとか、旅は必ず終わりがあるとか、
シリアスな話題が出ても、すんなりと受け入れられてしまう、
そんな心境になったら、静養もそろそろ終わりです。

年に一度そこに集って、ただたそがれる療養。
街の喧騒を忘れ、眉間に寄ったしわを伸ばす、休息時間が欲しい人はぜひ。

 でも何で「めがね」なんだろう。。。
                      (☆☆☆)
Commented by mellowww at 2007-09-29 22:54
やっぱり観てましたか・・・。
この映画はお友達に「今あなたが観るべき映画だよ」と言われました。

今日観ようと思ったのですが、体がだるく(風邪気味)ずっと寝てました。
明日も予定が入っているので、平日にでも観れたらなぁって思ってます。
Commented by am-bivalence at 2007-09-30 10:45
「かもめ食堂」が気に入ったので、観に行きました。
批評家などの評価がそれほど高くなかったので、
観ようかちょっと迷ったのですが、観て良かったです。

 ただ、映画を楽しもう!と気合いを入れて行くと、
期待外れになるかもしれません。
リゾートで何もせずに過ごすような気持ちで観に行けば、
心地良い映画です。
 仕事でストレスの溜まっている人の休息にはお薦めですよ。
体調良くなったら観てみてください。
by am-bivalence | 2007-09-29 21:01 | ハートウォーミング | Comments(2)