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劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
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screen93 僕らのミライへ逆回転

 素朴な映画作りへの愛情が感じられるコメディ 公式サイト

 中学、高校の文化祭って、どこかしらのグループが
自主制作映画を上映してませんでしたか?
素人の学生が作る映画は、お金の無い分 知恵を絞って作ってあって、
予想外に面白いことがあります。
 私が中学の時、隣のクラスが「桃太郎」を8mmで"映画化"して上映したんですが、
鬼の住む宮殿と称して小田急・片瀬江ノ島駅を登場させ、
大ウケしていました。(ローカル・ネタですみません)
 「僕らのミライへ逆回転」を観ていたら、そんなことを思い出しました。

 「エターナル・サンシャイン」で斬新な映像表現を見せてくれたゴンドリー監督、
今回は映画作りの原点に返ったように、
アナクロな手法の映像表現を楽しもうというコンセプトです。
 磁気を帯びた男がレンタル・ビデオ屋のテープを消してしまい、
自分達で撮り直すってムリクリな設定も、
つまりは、手作り映画をやってみたかったから。
 宮崎駿監督は「崖の上のポニョ」で、
CG映像は面白くないと、手描きにこだわりましたが、
ゴンドリー監督も映像に個性が感じられなくなるCGに
飽きてしまったんでしょうかね。

 だから見どころは、手軽に映画のシーンを再現する工夫。
「ゴーストバスターズ」のすべり棒を滑り降り出動するシーンを
階段の手すりを使って代用したり、
古いフィルムのキズやちらつきを
換気扇と針金をカメラの前に置いて再現したり、
とてもアナログで手作り感いっぱいです。
できた映像はチープでも、映画作りを面白がっている雰囲気が伝わります。

 勝手リメイクを聞きつけて、著作権協会が法外な罰金を請求したり、
最新のDVDレンタル店には映画ジャンルが
「アクション」と「コメディ」の二つだけだったり、
著作権にやたらうるさく、出てくる新作はアクションかコメディばかりという
今のアメリカ映画への皮肉もちょっと効いています。

 ラストは下町人情も絡め、
「ニューシネマパラダイス」を彷彿とさせるようなシーンで、
監督の映画製作に対する愛情が溢れた一本でした。
                       (☆☆)
by am-bivalence | 2008-11-28 19:33 | コメディ | Comments(0)