人気ブログランキング |

劇場で観た映画の覚え書き


by am-bivalence
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
 ここ1,2年、TVアニメをチェックし始めました。
今TVアニメはエライことになっています。
制作されている本数が尋常じゃありません。
例えばAnimate HPによるとこの冬の新作アニメは短編含め45本、
春夏秋冬1クール毎にいつもこの位のペースで次々とアニメが作られています。

 今のアニメは何を基にしているかで4系統に分かれるようです。

 1.コミック原作もの
 雑誌に連載中のマンガをアニメ化したもの。
人気マンガとのコラボなのでストーリーは面白いのですが、
連載中なので完結しないw。
昔だとアニメ版なりに完結させたりしたのですが、
今は「これで終わり?」的エンディングは当たり前のようです。
後はマンガを読んでね、ってこと...

 2.ゲーム原作もの
 ネットゲームとコラボして制作されたもの。
ゲーム会社の潤沢な資金のおかげか、作画は綺麗なのですが、
つまらないものが大半。

 3.ライトノベル原作もの
 人気のラノベをアニメ化。
ストーリーはそれなりに面白いのですが、
ロリコン、シスコン等々、オタクのリビドーが臆面もなく出る事があって、
一般人はちょっと引く部分があります。

 4.オリジナルアニメ
 アニメスタジオがストーリーから独自に企画制作したもの。
制作側の熱意が高く、面白いものが多いです。


 TVアニメが量産、放送される構造は興味深いのですが、
それはまた別の話。
 これだけ数が多いと、多くのアニメファンは総てを観られず、
1,2話見て選別するようです。
 2018年新作で私が全話観て良かったものを5本選んでみました。

「宇宙より遠い場所」
女子高生4人がひょんなことから知り合って、南極に行こうとするオリジナルアニメ。
バカみたいな一途な情熱で突き進む若者の話は好きです。
このアニメは「友達って何?」が大きなテーマになっていて、
それが分かっていないと第5話のエピソードなどは唐突な感じがします。

「ゆるキャン△」
 キャンプ場などで知り合あった女子高生がキャンプ・ライフを満喫するコミック原作アニメ。
ソロキャンプ、冬季キャンプなど、やっていることは意外と中上級者ですが、
ただ野外で食事し、まったりするだけのキャンプです。
野遊びや旅のためのキャンプではなく、
キャンプしたいがためのキャンプがいいです。
これを観ていたら無性にキャンプしたくなりました。

「3月のライオン 第2シリーズ」
孤独な少年棋士が下町の姉妹に知り合い、人間性を取り戻していく物語。
 第2シリーズはいじめを全面的に取り上げていて、かなり重い内容になっています。
前半は観るのも辛いく、涙なしでは観られないのですが、救いはあります。

「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」
 「Just Because!」の鴨志田一原作、ラノベアニメ。
やはり鎌倉の高校を舞台にした青春学園ものですが、
この原作、西尾維新「化物語」の構造をSF仕立てに換骨奪胎したものですね。
 ・主人公が巻き込まれる超常現象:怪異→思春期症候群
 ・主人公を最初の超常現象に巻き込み、やがて恋人になるツンデレヒロイン:
   戦場ヶ原ひたぎ→桜島麻衣
 ・主人公に助言し自身も超常現象に巻き込まれる女友達:
   羽川翼→双葉理央
 その他、超常現象に巻き込まれるのは女子ばかり(いずれ咲太ハーレムと呼ばれる?)など、
共通点を探すのも面白いかと思います。
 ともあれこの作品、会話が軽妙かつ巧妙で魅力の一つになっています。

「色づく世界の明日から」
 子供の頃の体験から色覚を失くしてしまった少女が、
現在の長崎を舞台に成長する学園ファンタジードラマ。
 とにかく作画の綺麗さはトップクラス。
特にヒロインが世界をモノクロでしか感じられないことと対比するため、
色彩設計が素晴らしく、長崎の日常風景が美しく描かれています。
OPテーマ曲「17才」もかなり気に入っています。
 ヒロインが色彩を取り戻せるよう希望的エンディングを用意していますが、
やはりこれは悲恋ではないでしょうか。

 他にも
「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」
「ひそねとまそたん」
「メガロボクス」
「ゴールデンカムイ」
「刻々」
「はねバド!」
等々面白いものはあったのですが、また時間があれば。

by am-bivalence | 2019-01-27 11:50 | アニメ | Comments(0)
6.「きっと、うまくいく」 公式サイト
 今年観た中で一番楽しめた作品。 インド映画と言えば往年のMGMミュージカルのようなゴージャスなダンスシーンに、ぶっ飛んだストーリー展開を思い浮かべますが、
これはちょっと違います。
お決まりのダンスシーンはありますが、次々起こるエピソードにウィットや知性を感じさせ、唸らされるのです。
 映画は経済発展で近代化著しいインド社会を反映しているらしく、活躍する主人公ランチョーは身分や既成概念にとらわれない自由な発想の持ち主になっています。 これに対して親友のファルハーンとラージューは、親にエンジニアになることを決められていたり、貧乏でお守りや信仰に縛られていたりします。彼らはカースト制の影響が残っていたり、多くの宗教が混在している古いインド社会の象徴であり、変わるべきものなんでしょう。

7.「42 世界を変えた男」 公式サイト
 あまり目立たないながら観てみると良かった秀作スポーツ映画でした。
黒人初のメジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソンと彼を支えた球団GMブランチ・リッキーの物語。 ロビンソンを採用したジャッキーの動機が人道的な面をおくびにも出さず、金のためと公言するところがいいです。
 彼らが差別に対抗する手段は、抵抗しないことと、プレーで実績を示すこと。
言うは易しでもなかなか出来ない事です。毎年メジャーリーガーがジャッキー・ロビンソンに敬意を表するのも分かります。

8.「そして父になる」 公式サイト
 よく出来た話と思ったら、実際に基になった事件とそれを扱ったドキュメントがあるとか。 家族、親子の関係を成り立たせるものは何か考えさせられます。
 福山演じる主人公野々宮は優秀ながら利己的でちょっと厭な奴なんですが、
野々宮自身、自分の父親の中にそんな面を感じ嫌悪しているところが秀逸です。

9.「夢と狂気の王国」 公式サイト
 「風立ちぬ」制作から引退宣言までの宮崎駿監督をメインにジブリの内部を追ったドキュメンタリー。 プライベート・ビデオ等もまじえジブリの歴史もざっと紹介しています。
 砂田監督は編集で語るタイプらしく、カットのつなぎで大笑いさせてくれたり、宮崎監督の発言が既にアニメで使われていることを示したりして面白いです。
 次回作が楽しみな監督がまた出てきました。
          

10.「ゼロ・グラビティ」 公式サイト
 ストーリーは単純、言ってみればデザスター映画なんですが、冒頭の長回しカットから始まるこの臨場感は特筆ものです。 絶対3Dで観るべき。
長回しカットや自在なカメラワークは「トゥモロー・ワールド」 のクライマックスで見せた臨場感をさらに上回る素晴らしさで、90分間無重力空間にいたかのような錯覚さえ覚えます。
 年最後になって後々語り草になるような映画が観れました。
by am-bivalence | 2013-12-29 14:57 | 映画鑑賞 | Comments(0)
 2013年も残りわずか、今年見た新作で良かったものを10本挙げてみます。
甲乙つけがたいものもあるので、順位はつけません。観た順番に並べていきます。

1.「ニーチェの馬」 公式サイト
 日本公開は12年ですが、観たのが13年だったので挙げました。
SCREEN129で書いたように、観終わった後味は悪いのですが、ずっと棘のように心に引っ掛かっている映画です。 なぜなら「ニーチェの馬」から感じた生の苦しみや老衰の比喩はある面真実であり、反論し難いからです。
 今も私は完全に反論できないでいます。

2.「ライフ・オブ・パイ」 公式サイト
 後半、話がだんだん奇想天外になっていくのでファンタジー映画なのかと思ったら、
ラストのパイの告白で えっとなる映画でした。 私は「ウミガメのスープ」というゲームを連想しました。
パイにとってトラとは何だったのか、後であれこれ考えさせれます。

3.「東京家族」 公式サイト
 小津監督の代表作「東京物語」を日本人的エモーショナルの機微を描いたら当代随一の山田洋次監督がリメイクすれば、良い作品にならないはずがありません。
 山田組はクランクインする前、スタッフ全員で1本の映画を観るそうですが、この時観たのは「ニーチェの馬」だったとか。
そのせいか、映画の雰囲気にどこか沈鬱なものを感じます。

4.「セデック・バレ 第一部 太陽旗」 公式サイト
 日本統治化の台湾で起こった原住民の反乱・霧社事件を描いた入魂の大作。
人種差別や帝国日本による搾取とだけ描くのでなく、狩猟民族と近代文明の衝突という捉え方もされていて、当時の情勢を冷静に描いていたと思います。
 圧倒的兵力を持った大国日本に戦いを挑んだセデック族は、大国アメリカに無謀な戦争を仕掛けたのちの日本にも重なって見えます。 潔く散ろうとするセデック族のメンタリティも大戦時の日本人と共通したところがあるんじゃないでしょうか。
 後半の第二部は史実とはいえ、尻つぼみのような印象を受けてしまうのが残念。

5.「パシフィック・リム」 公式サイト
 「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロ監督がオタク趣味を全開して撮った娯楽作! 主人公がトラウマを抱えながら戦う、取って付けたようなストーリーがありますが、全然気にしなくてO.K.です(笑)。 これはもう巨大生物と巨大ロボットのリアルで臨場感ある格闘を単純に楽しむ映画でしょう!
(火器が発達してもカイジュウと戦うのは殴り合いなんですねえ)
カイジュウ強え~! 金属製のロボットがボロボロにされていきますが、敵はこのくらい強くなきゃ。
マジンガーZやらエヴァやらロボットアニメのオマージュも随所に感じられます。


 (後半に続く)
by am-bivalence | 2013-12-29 14:14 | 映画鑑賞 | Comments(0)
f0126707_10355815.jpg

 「アバター」のヒットで3D元年となった今年。
必ずどこかの映画でやるだろうと思っていた、レンチキュラーレンズを使った3D写真付プログラム。「ヒックとドラゴン」がやってくれました。
古文書風表紙にヒックとトゥースの3Dイラストが貼り付けてあります。


f0126707_10363646.jpg

 「バッタ君町に行く」のプログラムは窓付き封筒を模したもの。
映画を観た人なら、なぜ封筒なのかすぐ分かるでしょう。
封筒の窓からバッタ君が見えるのにニヤリとなるはずです。


f0126707_10372643.jpg

 ”オヤジ版アメリ”といわれる「ミックマック」。
「アメリ」同様、全てのカットが絵のような完璧な構図、独特の色彩設計はお見事。
プログラムは表紙に透明フィルムを使って、一ひねりした装丁。
f0126707_10375058.jpg



f0126707_10421339.jpg

 「ノルウェイの森」はビートルズの楽曲がタイトルになっているのを意識してか、レコードジャケット仕様。Norwegian Wood=ノルウェーの森は日本のレコード会社の誤訳で、本当は”北欧木工家具”ぐらいの意味だそうな。。。確かに歌詞には"森"など何も出てきません。
 映画に出てくる美しい高原は兵庫県砥峰高原だそうです。

f0126707_10425015.jpg

 番外編、2002年公開時の「17歳のカルテ」プログラム。
文庫本より小さな冊子に包帯が巻いてある装丁は
手が込んでいて、今見ても斬新です。
by am-bivalence | 2010-12-26 10:51 | 映画鑑賞 | Comments(0)
intermisson13 2010年のプログラム(前編)

f0126707_0335171.jpg

 昨年後半、身辺にちょっとしたゴタゴタがあって、ブログを更新する余裕も気持も失くしていました。でもやっぱり映画を観ていると、あれこれ言いたくなってきます。
 だから少しづつでも、もうちょっと続けていくことにしました。

 という訳で、今年はやっておきましょう、2010年のプログラム。
(最近ロードショーでない映画館もよく行くようになったので、一部今年公開でない映画も入っています)

f0126707_20545671.jpg しばらくブログから離れていたといっても、映画を観ていなった訳ではありません。むしろ今年は普段より映画館通いがひどくなってしまいました。しかも2,3本立てを観るようになって、更に観るペースが上がっています。これも一つには「午前10時の映画祭」のせい。。。いや影響が大きいのですが。。。それはとにかく、「午前10時の映画祭」も公式プログラムと称するキネマ旬報編集ムックが発売されています。ムックだから映画館だけでなく、書店でも買えます。私は本屋で買いました。
 ただこの中の映画に関する解説やこぼれ話は、私の知る限りDVDの特典映像を元ネタにしたものがよくあります。キネ旬編集なのに。。。
他にはキネ旬の過去記事を再録しているものもあって、三谷幸喜がビリー・ワイルダーにインタビューした時の記事は貴重で面白かったです。


f0126707_0355210.jpg

 料理コンテストをに参加するスペインのシェフ追ったドキュメンタリー「ファイティング・シェフ」はレストランのメニュー風。
 アメリカの有名料理研究家ジュリア・チャイルドのフランス料理524種を1年で全て作るというブログを立ち上げ有名になったジュリーを映画化した「ジュリー&ジュリア」。ちょっと太り出して実物のジュリア・チャイルドに近づいた?メリル・ストリープの熱演が見ものでした。プログラムには映画でも出てくるフランス料理レシピが幾つか紹介されています。


f0126707_0373913.jpg

 「アイガー北壁」はなぜか大学ノート風の装丁。
映画には大学ノートなんて出てこないのですが。。。
 実話を基にした映画はたいていプログラムを買うようにしています。
事実はどうだったのか、プログラムに解説が載っていることが多いからです。


f0126707_0381544.jpg

日めくりの形式に構成された「(500)日のサマー」。
映画のロケ地マップなんていうのも載ってますが、
これを見てロサンゼルスにロケ地めぐりに行く人、いるんだろうか?
 (後編に続く)
by am-bivalence | 2010-12-26 00:45 | 映画鑑賞 | Comments(0)
 screen86 母べえ  (公式サイト無し)

 よく"空気を読め"って、時々聞きますけど、
それって、言ってみれば周りに歩調を合わせろってことで、
ファッショな臭いを感じるのは私だけでしょうか。
ブログの炎上現象や、以前あったイラクで拉致された日本人に対するバッシングといい、
メディアの一面的で一律な報道といい、
一斉に同じ方向に向く最近の日本の風潮と、それをおかしく感じなくなっている雰囲気に
危ういものを感じてしまうのですが。
 アンコール上映で観に行った「母べえ」に描かれる人たち、
今の価値観なら当たり前のことを、
太平洋戦争前後の日本が全体主義だった時代に主張して
受難する人たちを観ていると、そんなことを連想しました。
 山田監督らしいユーモラスで人間味あるドラマの
根底に感じられたのは、静かな怒り。
真っ当な事を言っている人達が、時代の波に虐げられて死んでいく姿は、
善良な人たちばかりなだけに、不条理と怒りを感じさせるのです。
 最後に映画の舞台が現代に飛んで、
それまでの物語が今につながる実際のことであるのが強調されるのも、
「たそがれ清兵衛」等の時代劇と共通した演出で、
この映画にリアリティーと重みを感じさせました。
                 (☆☆☆)

 screen87 パコと魔法の絵本  公式サイト

 色彩はどぎついですが、
中島監督は相変わらずカットの一つ一つが凝っていて、
丹念に作られているのは、さすがです。
ただ個性的な映画なのに、役所広司演じる大貫のメイクが
「世にも不幸な物語」のジム・キャリーそっくりなのは、ちょっと残念。
 しかしなぜ中島監督、子供向けのように映画を作ったんでしょう?
内容的に子供に解るのかなあ?と思うようなところも多々あったんですが。
ジュディ・オングの「魅せられて」をギャグにしても、
今の若者だって知らないんじゃないですか。
 現場では厳しいことで知られる中島監督、
たぶん周囲からはかなり恐れられ、煙たがられているはず。
嫌われ者の大貫に監督自身を投影しているようにも見えて、
そう思いながら観ていると、面白いです。
                (☆☆)

 screen88 イーグル・アイ  公式サイト

 映画前半、謎の女性が出す指示が超人的すぎるので、
正体が推測できてしまうんですが、正体が分かってからの展開が
ありがちなんです。(ああ、「2001年宇宙の旅」)
 展開はスピーディーだし、(ただ、スピーディー過ぎて、
カーアクションが何をやっているのか分からないんですけど。)
逃走アクションもそれなりに面白く楽しませてくれました。
                     (☆☆)                 

 screen90 ぐるりのこと。  公式サイト
 
 冒頭、夫の浮気防止のため?「する日」を決めてカレンダーに印をつけ
実行している妻にドキッとさせられます。
そんな几帳面な妻が、娘を亡くしたことがきっかけで精神的に崩れていく姿と
それを支えようとする夫の日常を淡々と描いてるんですが、
セリフが映画のストーリーを進めていくための説明的なものでなく、
あくまで日常会話的で自然なところがいいです。
のほほんとして女好きの夫の役がリリー・フランキーなのもぴったり。
 夫を法廷画家とすることで、殺伐とした時代の世相が
夫婦の物語と平行して出てきますが、
もう一つ、夫婦の話とはリンクしていない気が。。。
9.11以降、世界が殺伐としていくことで鬱病になったという
監督の体験から出た実感なんでしょうけれど。
                   (☆☆)

 screen91 ブーリン家の姉妹  公式サイト

 今が旬な女優2人の共演で注目された歴史物。
アンが実際はメアリーの姉でなく妹だったように、
映画は史実を忠実にたどっている訳ではないらしく、
かなり脚色されているようです。
ブーリン家が積極的に娘たちをヘンリー8世に差し出した事実はないことや、
アンは10代をほとんどフランスで過ごし、フランス宮廷で成長したことなどから、
どうも映画は姉妹の愛憎劇を強調して描きかったらしいのです。
追放されていたアンがフランスから呼び戻されてくる姿などは
さながらヒース・クリフが嵐が丘に戻ってくるような雰囲気です。
 エリザベス1世による大英帝国黄金時代の前史として、
ケイト・ブランシェット主演「エリザベス」とあわせて観ると
母子2代に渡る宮廷内の権謀術数がいっそう分かって面白いと思います。
                             (☆☆)
by am-bivalence | 2008-12-18 23:15 | 映画鑑賞 | Comments(0)
 年も押しつまって参りました。
サボって書かなかった映画を、この際まとめて出しちゃいます。

screen79 スカイ・クロラ  公式サイト

 ある意味「崖の上のポニョ」とは対極にあるアニメ。
絵は思ったよりきれいですし、
試作迎撃機「震電」そっくりの「散香」はカッコイイですが。。。
 ショーのための戦争とか、死ねない戦士とか、
設定が凡庸なんですよねえ。
 そしてこの世界観。
世界は変化なく永遠に続き、明日は今日の繰り返しでしかない日常。
情報として死は溢れているけど、現実感が伴わない。
 テレビゲームの中のようなこの感覚は、
今の若者の気分を代弁しているのでしょうか。
 押井監督は今の若者に希望伝えたいと言っていますが、
この映画の何処に希望があるのでしょう。
最後に主人公が少しでも現状を変えようと闘いを挑みますが、
その顛末と、エンドタイトル後のシーンは、
やはり繰り返される世界を暗示しているとしか思えないんです。
感じたのはこれまでの押井作品同様、倦怠感と閉塞感でした。
                              (☆☆)

screen81 闇の子供たち  公式サイト

 臓器売買や児童買春など、嘔吐したくなるような現実。
メディアでも扱いにくいセンシティブでセンセーショナルな問題を
正面から取り上げる熱意は買いますが、
その前に、映画としてどーよ?と思ってしまう作品。
 プロットの中心になっていたはずの臓器移植の話は、
結局どう決着したのか、うやむやに終わってしまいますし、
最後の警察介入による解決も取ってつけたようで、うそ臭く見えてしまいます。 
                                   (☆☆)

screen83 落下の王国  公式サイト

 「ザ・セル」で精神世界をシュールな映像でみせたターセム監督の2作目。
CMの仕事で世界中の絶景を見てきたターセム監督が
ここぞという場所を寄せ集めただけあって、
映像は美しく、奇抜です。
 でも前作「ザ・セル」の斬新な映像が、
実はダリの絵からモチーフを取っていたりして、
今回もどこまでオリジナリティーのあるものなのか、わかりません。
この映画の元となったというブルガリア映画「Yo Ho Ho」のプロットを読むと、
元にしたというより、リメイクといっていいんじゃないかというほど、
そのまま使われているような気がします。
 そんな疑念で観ていると、斬新な映像が売りの映画なだけに
素直に楽しめないんです。
             (☆☆)

screen84 ウォンテッド  公式サイト

 暗殺組織に巻き込まれた青年というお話なので、
007のようなアクション映画かと思っていたら、
そこは「ナイトウォッチ」のベクマンベトフ監督、しっかりダークファンタジーでした。
アンジー姉御も最初と最後に鬼のような形相を見せてガンバっています。
 それにしてもこういう在り得ないことを、映像で強引に納得させてしまう映画は
面白いですねえ。
弾道を曲げてしまう技はともかく、
銃を撃った後、着弾するまでにその銃を投げて渡すなんざ、
どう考えたって在り得ないんですけど、
そこがハイスピード撮影のマジック!
観ていて違和感がないのがすごいです。
 こういう映画は封切られた時に観るのが旬、ですな。
                       (☆☆☆)

screen85 アイアンマン  公式サイト

 ヒーローがスーパーマンのように品行方正でなく人間的なところや、
兵器産業の社長が反省から正義に目覚めるところが受けたらしいのですが、
「スパイダーマン」や「ダークナイト」を観た後では見劣りしてしまうのは否めません。
 それにこの社長、脱兵器産業を宣言した後、何をしたいのかよくわからないんですよ。
ひたすら"兵器"であるパワードスーツの開発にのめり込むのみで、
スーツを作って、何をしようという目的が見当たらないんです。
 兵器産業が生み出す紛争への反省なら、対峙べき敵は、
テロリストとか、戦争を続ける軍とかが、明確な対象になるはずなのに、
政治的になってしまうのを避けたのか、そういう展開はしません。
 結局クライマックスで出てくる"敵"は、定番の
ヒーローと同じ能力を持った相手、パワードスーツ。
でもこれがアイアンマンのプロトタイプをデカくしただけなので、
強敵に見えないのが致命的です。
                 (☆)
by am-bivalence | 2008-12-12 22:33 | 映画鑑賞 | Comments(0)
「カッコイイ」とは、こういうことか  公式ホームページ

 1920年製バイク「インディアン・スカウト」の改造を重ね、1962年に60才以上の高齢で
バイクの世界最高速度記録を打ち立てたバート・マンローの実話を基にした物語です。
映画のエピソードはほとんど本人の体験談だそうです。
 この映画の魅力はマンローという人物の魅力につきます。

 この人、自分の愛車をチューンアップすることに持てる全てを注ぐため、
自宅は倉庫みたいな小屋、庭は全く手入れしないので草ボウボウ、
朝だろうが夜中だろうが夢中になるとエンジンをかけて爆音を轟かせ、
御近所から怒鳴られる、エキセントリックな人です。
よる年波には勝てず、心臓に持病を抱えてたりします。

 でも彼は、田舎育ちの実直さに少年の情熱を併せ持ち、
触れ合う人はみな彼に好意を抱いてしまうのです。
(そして、女性にモテル)
それが彼の窮地を救ったりします。

 さらに彼のすごいのは、速く走ることに関する技術と創造性はピカ一で、
お金がなくても、何でも廃品の中から造り出してしまうところです。
 ジャンクパーツを熔かしてピストンを手造りし、
中古車のエンジンを調整することなど、造作もなくやってのけます。
テストランでは、高齢の彼と骨董品のようなバイクを見てばかにしていた人達を
その技術の結晶である愛車でブッチギって見せ、唖然とさせてしまうのです。
 「カッコイイ」とは、こういうことです。

「紅の豚」のポルコとピッコロを足したようなキャラクターは
宮崎駿監督もきっと好きなはずです。
                    (☆☆)
by am-bivalence | 2007-02-10 01:37 | 伝記 | Comments(0)

screen8 手紙

 重いテーマだが、物語が。。。  公式ホームページ

 償いきれない罪を犯したらどうすればいいのか。
身内に犯罪者がいるばかりに、理不尽な偏見や、
差別を受け続けたらどうしたらいいのか。
重いテーマです。
最後に兄の出した贖罪のための結論は胸を打ちますし、
勤務先である電気量販店会長の諭す言葉も重みがあります。

 ただ、私はこの原作を読んでいませんので、
どこまでが原作のもので、どこまでが映画の脚色か分かりません。
ですから、映画として見て感じたことを書きます。
 私が映画の世界にシンクロできたのは前半まででした。
途中、由美子と直貴を結びつけたエピソードが物語のリアリティを失わせ、
ドラマの作為的な部分が目につきだしてしまったからです。
 ちょっとしたアラがどうしてこんなにも印象を変えてしまうのかと、
考えてしまった映画でした。

(以下ネタバレ)
by am-bivalence | 2007-02-05 22:11 | 人間ドラマ | Comments(0)

screen7 ヨコハマメリー

 戦後日本の混沌の中で、
   泥まみれでも凛と生きた女性の伝説  
  公式ホームページ

 私は社会人になるまで横浜市民でした。
学生の頃までは時々関内で映画を観て、
伊勢佐木町の有隣堂に立ち寄ったものでした。
その頃メリーさんはいた筈ですが、
一度も見たことはありません。
見たとしても正直、あの化粧では引いてしまい、
近づくことはなかったでしょう。
この監督は学生の頃メリーさんを見たそうですが、
その容貌に畏怖を感じたそうです。
 でも、人は外見や評判で判断すると、見誤ることがあります。

 この映画は'95年にメリーさんが姿を消した後、
都市伝説のようなその人物像を関係者の証言で追っていきます。
そこには戦後日本の裏社会の息吹がありました。

 貴婦人のような装束で街角に立つ娼婦は、
プライドが高く、将校しか相手にしない。。。
フィクションなら陳腐ですが、
そんな人物が真偽はどうあれ実在したということが、
ドキュメンタリーならではの説得力をもたせます。

 メリーさんが人を惹きつけるのは
その奇天烈な外見だけでなく、
その境遇にもかかわらず、卑しさを感じさせずに、
凛としていたからではないでしょうか。
 住所不定で、年老いてもなお
毅然と女独り暮らしていくのは
並大抵の困難さではないはずです。
彼女に社会福祉を受けさせたくても住所不定のために
出来なかったことを、友人だった元次郎氏が語っています。

 映画の中で彼女の手紙が2通紹介されていますが、
いずれも品があり、教養を垣間見させる文面でした。
80歳を過ぎても手紙の中で夢を語っていることに
はっとさせられました。
 白塗りの化粧は素顔を隠すことで
過去を切り離すめの仮面だったように思われてなりません。

(以下ネタバレ)
 最後にメリーさんは、故郷で元気な姿を見せます。
結局、彼女の素性は伏せられたままでした。
都市伝説は都市伝説のままがいいということでしょうか。
ただ、故郷の彼女は白塗りの化粧を取って、
素顔を見せていました。
 その表情が生き生きと幸せそうで、
ほっと暖かい気持ちにさせてくれました。
                    (☆☆)


 参照文献:東京ホームレス事情 森川 直樹 徳間文庫(絶版)
   ホームレス生活を都会のアウトドア生活のように気楽に言う人がいますが、
  現実はそんなものではなく、そこから抜け出すのは大きな困難があるようです。
  餌とりと呼ぶ残飯あさり、その時に感じる人間としての尊厳の喪失感、
  社会からの疎外感。
  当たり前ですが、自分がそうなったら感じるであろう苦痛を、彼らも感じているのです。
   地縁・血縁のコネ社会である日本は、一度接点を失った人間に冷たいのです。
 
by am-bivalence | 2007-01-28 23:45 | ドキュメンタリー | Comments(0)